トピック

“3万円パソコン”とは思えない品質に注目! GALLERIA/ドスパラを手がけるサードウェーブが作った激安ノートの新定番

~フルHD液晶/指紋認証センサー搭載など機能も充実

「THIRDWAVE」ブランドは信頼性の高い国内パソコンメーカーが展開

THIRDWAVE「VF-AD4」税別2万9,980円(税込3万2,978円)

 パソコンユーザーなら、パソコン専門店の「ドスパラ」や、ゲーミングパソコンブランドの「GALLERIA(ガレリア)」を知っている方は多いだろう。

 しかしその親会社である「サードウェーブ」や、その社名を冠した国内パソコンブランドとして「THIRDWAVE」が、コンシューマ向けに展開されていることはあまり知られていないかもしれない。THIRDWAVEブランドでは、比較的リーズナブルな価格帯のラインナップで各種パソコンが揃えられている。

 サードウェーブは創業35周年の老舗。サポートも充実しており、最近ではeスポーツ振興にも力を入れている信頼の国内メーカーなのだ。

 そんなTHIRDWAVEブランドがパソコン初心者向けに税別2万9,980円(税込3万2,978円)で販売している激安14型ノートパソコンが、今回レビューする「VF-AD4」だ。

 THIRDWAVEの激安ノートシリーズは、2016年登場の初代「VH-AD」から価格を3万円以下に抑えるというコンセプトのもと連綿と続いており、今回の「VF-AD4」ではJIS規格準拠のキーボード開発、指紋認証センサーの搭載、液晶ディスプレイのフルHD化など、さまざまな進化を遂げた最新モデルになっている。

シンプルな外観の「VF-AD4」
「VF-AD4」は3万円台で購入できる国内メーカー製のWindows 10搭載ノートパソコンだ
筐体は白アルマイト処理を施したアルミニウムとマグネシウムの合金仕様で天板は無地のシルバー。クセのないシンプルなデザインはあらゆる場所に馴染む

「VF-AD4」はなぜ税別3万円切りを実現できたのか? 開発者に聞いてみた

 一般的に低価格ノートパソコンは、ディスプレイ解像度やセキュリティ機能を割り切ることで低価格を実現している。しかし、「VF-AD4」はCPUにCeleron N4000、メモリにLPDDR4 4GB、ストレージにeMMC 64GBを搭載しつつ、広々と使えるフルHD(1,920×1,080ドット)液晶ディスプレイ、パスワードを入力せずにロック解除可能なWindows Hello対応指紋認証センサーを採用する。

 さらに、見た目への影響が大きい外装の素材にはチープに見えるプラスチックではなく、表面に白アルマイト処理を施したアルミニウムとマグネシウムの合金(A5052)が使われているため、とても3万円パソコンで実現できるとは思えない剛性の高さと高級感を実現している。

フルHD解像度のディスプレイ
14型、フルHD(1,920×1,080ドット)液晶ディスプレイはデスクトップを広々と使える。デフォルトのスケーリング(拡大縮小率)は150%(写真左)だが、100%(写真右)に設定すれば情報量をもっと増やせる
指紋認証センサーを搭載
タッチパッドの左奥にはWindows Hello対応指紋認証センサーを搭載。第三者が行き交うコワーキングスペースなどで仕事をするさいには、パスワードを入力せずにロックを解除できる指紋認証センサーは必須装備だ

 この価格なので「VF-AD4」はパソコンをはじめて買うような初心者にうってつけ。これからICT教育を受ける小中高生、お年寄りなど、きちんとした国内サポートがついてくるので安心だ。もちろん、すでにパソコンを持っている人でも持ち歩き用に使うこともできる。後述するが、重量は約1.28kgで軽く、USB PD(Power Delivery)にも対応しているので、モバイルノートとしても優秀だ。

 しかし、いったいどのようにして税別3万円切りを実現したのだろうか? 価格に不安を覚える人もいると思われるため、この理由について、THIRDWAVEの開発陣に直接聞いてみることにした。


――「VF-AD4」は価格ありきで開発がスタートしたのでしょうか? それともTHIRDWAVEが考えるエントリー向けノートパソコンのスペックを積み上げたギリギリの結果が税別2万9,980円だったのでしょうか?

THIRDWAVE開発陣 両方Yesです。先代モデル含めて税別2万9,980円でどこまでできるかをターゲットにしています。

――税別2万9,980円という価格を実現するにあたって、もっとも苦労した点を教えてください。

THIRDWAVE開発陣 キーボードの日本語化開発コストがもっとも苦労した点になります。詳細は伏せますがこの価格帯でほぼ完全な日本語キーボード実装は開発面もコスト面も苦労がありました。

――「VF-AD4」は非常に安価ですが、御社の最上位モデルと同等のサポートを受けられるのでしょうか?

THIRDWAVE開発陣 各種サポートに関して、販売価格で左右されることは一切ございません。延長保証やセーフティサービスなど追加料金でご設定いただくオプションのサービスがありますが、基本的な保証については全製品共通のものになります。保証サービスにつきましては会員向けサービスのページをご参照ください。

ユーザーの使い勝手に配慮したハードウェア設計

 低価格を追求した「VF-AD4」だが、その一方でユーザーの使い勝手に配慮して入念にハードウェアが設計されている。まず、低消費電力、低発熱のCPU「Celeron N4000」の搭載に伴い、ファンレス設計を採用。冷却ファンの音がしないという点に注目しがちだが、吸気口からホコリが入ることがないので故障が少ないというのも大きなメリットだ。

ファンレス設計なので静かで壊れにくい
冷却ファンを内蔵すると、吸気口からどうしてもホコリが混入してしまう。どんなに吸気口の穴を小さくしたとしても、1~2年使用すれば筐体内部に大量のホコリがたまってしまうのだ。ファンレスで空気の流れが存在しなければ、このような心配は不要となる

 インターフェイスは左側面にUSB 3.0 Type-C、Micro HDMI、USB 3.0、右側面にUSB 2.0、マイク入力・ヘッドフォン出力共用端子、microSDカードリーダ(SDXC対応)が配置されている。

 ひんぱんに抜き差しする機会の多い主要インターフェイスを左側に配置し、右側におもにマウス用としてUSB 2.0 Type-Aを配置しているのは理に適った設計だ。

使いやすいインターフェイスの配置
左からUSB 3.0 Type-C、Micro HDMI、USB 3.0を用意
左からUSB 2.0、マイク入力・ヘッドフォン出力共用端子、microSDカードリーダ(SDXC対応)が配置

はじめてのパソコンや自宅学習用に最適な「VF-AD4」

 お手頃価格の「VF-AD4」はパソコン初心者向けの配慮が施されている。代表的なのがJIS配列準拠、84キーの日本語キーボード。日本語キーボードが搭載されていること自体はめずらしくはないが、キーピッチ19mm、キーストローク1.5mmとフルサイズと同等で、なおかつ一部キーを除いてすべて等幅にそろえられている。

 そして、キートップの刻印(文字)が大きいのがポイント。お年寄りでも確認しやすいし、はじめてパソコンを使う小さなお子さんや、スマホ世代の中高生も目的のキーを探しやすい。1台目のパソコンには、余裕のあるサイズで、配列に癖のないキーボードを搭載した「VF-AD4」のようなノートパソコンを強くおすすめする。

キーボードは日本語で自然で打ちやすいレイアウト
「,」、「/」、「\(¥)」以外のキーはすべて等幅にそろえられている。また一般的なキーボードよりも文字の刻印が大きい。癖のないキーボードのほうが早くタッチタイピングをマスターできるはずだ

「VF-AD4」は低価格だがスペックは充実

 前述したとおり、CPUはCeleron N4000、メモリはLPDDR4 4GB、ストレージはeMMC 64GBを搭載。安価なノートパソコンのなかにはストレージが32GBしか搭載されていないモデルもあるが、ストレージ容量が足りないとOSのアップデートができないことがある。

 その点、64GBストレージを搭載する「VF-AD4」は、アプリやデータをたくさん保存しないかぎり問題なくOSアップデートが可能。小さなお子さんや、中高生の学習用としてだけでなく、仕事や遊びのサブ機としても本格利用できるマシンだ。

microSDカードで容量不足を補える
写真や動画などの容量の大きなデータは、カードリーダに装着したmicroSDカードに記録すれば、「VF-AD4」内の64GBストレージを温存できる
プログラミングの学習用端末としても使える
無料の教育プログラミング言語「Scratch」をセットアップすれば、プログラミング学習にもってこい

 また、Webカメラ、マイク、スピーカーが内蔵されており、追加出費なしにZoom、Microsoft Teams、Google Meetなどのビデオ会議アプリを利用可能。テレワークやオンライン学習用ノートパソコンとしても活躍してくれる。

Webカメラをヒンジの上部に装備
ディスプレイ上部にHD画質(1,280×720ドット)のWebカメラが内蔵。なお、マイクはキーボード奥に配置されている

使い勝手に直結する装備も充実している

 一度使ったら手放せないのが前述の指紋認証センサー。顔認証センサーを搭載するノートパソコンも増えてきているが、顔認証センサーに使用されているIR(赤外線)カメラは太陽光下では動作しないことがある。環境に左右されず確実に動作するという点で指紋認証センサーのほうが使い勝手が良いと言える。

狭すぎず広すぎずでちょうど良いタッチパッド
指紋認証センサーが埋め込まれているタッチパッドは実測105×76mmと広め。Windows 10のジェスチャーも快適に操作可能だ

 左側面のUSB 3.0 Type-C端子はUSB PD(Power Delivery)に対応。付属の充電器だけでなく、USB Power Delivery対応のサードパーティ製充電器やモバイルバッテリも利用できる。約8.6時間と必要十分なバッテリ駆動時間が確保されているが、モバイルバッテリを組み合わせればさらに長時間外出先で運用できるのは安心感が高い。

USB PD対応なのでモバイルバッテリで充電することも
公共交通機関ではコンセントを確保できないことが多い。USB PD対応モバイルバッテリを用意しておけば、長時間移動するさいにも作業を中断する必要はない

 薄型、軽量なことも「VF-AD4」の美点。本体サイズは332.5×222×14mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.28kgと毎日持ち歩いても負担にならない携帯性が実現されている。また、くさび形の筐体は価格以上の高級感を備えているぞ。

約1.2kgと軽量で持ち運びも苦にならない
「VF-AD4」の実測重量は1,253g(仕様では約1,280g)。ナップザックなどに入れていれば、半日背負って歩き回ってもほとんど疲労を感じない

実践! 「VF-AD4」を使いこなしてみよう

 さて「VF-AD4」を実際に使ってみた感想だが、一般的なアプリであれば実用十分な速度で動作するというのが正直な感想だ。

 今回、新しい「Edge」上でYouTube動画を再生しながら、オフィスソフト「WPS Office」で文字入力してみたが、動画がコマ落ちすることはほぼなかった。もちろんもっと多くのアプリを同時実行すれば、アプリの切り替えなどが遅くなる可能性が高いが、こまめにアプリを終了すれば実用的な動作速度で利用できるはずだ。

 またYouTubeのStudioモードで、アップロードした動画をトリミングしたり、BGMを追加してみたが、とくにストレスなく動作した。「VF-AD4」に「Adobe Premiere Pro」などの本格動画編集アプリはさすがに荷が重いが、Webアプリを使った簡易的な動画編集なら十分こなせると言える。

YouTubeでのながら作業も問題なし
YouTube動画再生中に文書を編集しても、動画がコマ落ちすることはほとんどない
YouTube Studioでの動画編集も可能
YouTubeのStudioモードはWebアプリなので、サーバー側の処理や通信速度に起因する待ち時間は発生するが、ブラウザ上の操作自体は快適だ

カジュアルなゲームは遊べるのか?

 パソコンには遊びも重要ということで、定番ゲーム「Minecraft for Windows 10」をインストールしてみたが、まったく問題なくプレイできた。多少フレーム落ちはしているようだが、プレイに支障はない。

 そこで今度はダメ元でレースゲーム「アスファルト9 : Legends」を試してみたが、アプリの起動には結構時間がかかったものの、プレイ自体はなんとか可能だった。エントリークラスのスマートフォンでプレイできるカジュアルゲームであれば、「VF-AD4」でも遊べる可能性が高そうだ。

軽めなゲームならプレイ可能
「Minecraft for Windows 10」は快適にプレイできる。多少フレーム落ちはするが、3D酔いするほどではない
「アスファルト9 : Legends」はちょっとレスポンスが遅れてしまう。先読みすればなんとか遊べる

microSDカードを使って「VF-AD4」のストレージを節約

 「VF-AD4」には64GBストレージが搭載されているが、長く使っていれば容量が足りなくなる。もしOSのアップデートができないほどストレージ容量が圧迫されてしまったら、microSDカードを装着してドキュメント、ピクチャ、ビデオ、ミュージック、OneDriveなどの容量の大きなフォルダを移動しよう。

 ドキュメント、ピクチャ、ビデオ、ミュージックフォルダの移動は簡単。目的のフォルダを右クリックして「プロパティ」を選び、タブの「場所」をクリックしてから「移動」を選択。そして、microSDカード内に同名のフォルダを作成したうえで移動先として選択し、最後に「OK」を押せば作業完了だ。CドライブのストレージからmicroSDカードにフォルダが移動されて、以降はmicroSDカード内に自動的に記録される。

ドキュメントなどの場所をmicroSDカードに移動する
(1) まずは目的のフォルダを右クリックして「プロパティ」を選択
(2) タブの「場所」をクリックしてから「移動」を選ぶ
(3) microSDカード内に同名のフォルダを作成したうえで移動先として選択
(4) 最後に「OK」を押せば作業完了だ

 OneDriveのフォルダ移動はやや面倒だ。まず大前提として、microSDを「NTFS」でフォーマットしておく必要がある。つぎにタスクバーのOneDriveのアイコンを右クリックして、「設定」を選択。するとウィンドウが表示されるので「アカウント」タブから「このPCのリンク解除」を選ぶ。その後表示される確認ウィンドウでも「アカウントのリンク解除」を選択しよう。

 するともう一度OneDriveの設定画面が表示されるので、メールアドレスを入力して「サインイン」、パスワードを入力して「サインイン」と進み、OneDriveフォルダの設定画面で左下の「場所の変更」を選択し、microSDカードのルートフォルダを選ぶ。最後に「次へ」をクリックするとmicroSDカード内にOneDriveフォルダが作成される。

 以降、OneDrive内のファイルにアクセスすると、CドライブではなくmicroSDカード内にファイルがダウンロードされるようになる。

OneDriveの場所をmicroSDカードに移動する
(1) まずmicroSDを「NTFS」でフォーマットする
(2) タスクバーのOneDriveのアイコンを右クリックして、「設定」を選択
(3) ウィンドウが表示されるので「アカウント」タブから「このPCのリンク解除」を選ぶ
(4) その後表示される確認ウィンドウで「アカウントのリンク解除」を選択
(5) もう一度OneDriveの設定画面が表示される
(6) メールアドレスを入力して「サインイン」
(7) パスワードを入力して「サインイン」と進む
(8) OneDriveフォルダの設定画面で左下の「場所の変更」を選択
(9) microSDカードのルートフォルダを選択
(10) 最後に「次へ」をクリックするとmicroSDカード内にOneDriveフォルダが作成される

 もう1つシステムストレージの節約方法を解説しておこう。それはWindowsの「ディスククリーンアップ」を利用する方法だ。

 まずスタートメニューの「Windows管理ツール」を開き、「ディスクのクリーンアップ」を起動する。そのなかに「削除するファイル」として「ダウンロードされたプログラムファイル」や「インターネット一時ファイル」などが一覧表示されている。そのなかで容量が大きいファイルにチェックを入れていこう。

 最後に「OK」を押すと「これらのファイルを完全に削除しますか?」という確認メッセージが表示されるので、「ファイルの削除」をクリックすれば、選択したファイルがすべて消去されストレージの空き容量が増える。これで作業は完了だ。

システムファイルのクリーンアップで空き容量を増やす
なお、「システムファイルのクリーンアップ」を選択すれば、システムファイルもクリーンアップの対象となる。Windows 10のバージョンアップで作られた容量の大きな作業ファイルなどを消去できる。空き容量をもっと増やしたいときに活用しよう

 少々設定が難しいところもあるが、「VF-AD4」の64GBというかぎられたシステムドライブの容量を有効活用するため、ぜひ参考にしてほしい。

 なお、若干ハードルは上がるが、じつはVF-AD4にはM.2 SSDを増設可能なSATA接続のM.2 SSDスロットが実装されている。別途SATA接続のM.2 SSDを用意することで256GB、512GB、1TBなど大容量の高速ストレージを追加することが可能だ。動作保証外ではあるが、興味がある方は本体底面の端にある長方形カバーのネジを外してみよう。M.2スロットが現れるはずだ。

このほかのTHIRDWAVEのノートパソコンラインナップも魅力的

 THIRDWAVEは「VF-AD4」以外にも、予算と目的に合わせて多くのラインナップを用意している。もちろんデスクトップパソコンも販売されているが、最後にノートパソコンに限定して簡単に紹介しておこう。

THIRDWAVEブランドのノートパソコン
DX-C3(税別5万9,980円)
CPUに2コア4スレッドの「Core i3-10110U」を搭載した15.6型ノートパソコン。THIRDWAVEの15.6インチノートパソコンのなかでも低価格な最新世代CPU搭載モデルだ
F-13KR(税別6万4,980円)
厚さ15.9mm、重量1.19kgの小型・軽量筐体を売りにした「スマートモバイルパソコン」。薄型筐体だがフルサイズのHDMI端子が搭載されている
DX-C5(税別6万7,980円)
CPUに第10世代「Core i5-10210U」を搭載した15.6型ノートパソコン。Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)対応でワイヤレス通信も快適だ
DX-C7(税別7万9,980円)
CPUに第10世代「Core i7-10510U」を搭載した15.6型ノートパソコン。NVMe接続のSSDが採用されており、OS、アプリの起動、ファイルの読み書きが高速だ