レビュー

ASUSのOC版GeForce RTX 3080カード「ROG-STRIX-RTX3080-O10G-GAMING」フォトレビュー

ROG-STRIX-RTX3080-O10G-GAMING

 ASUSより、ファクトリーオーバークロックのGeForce RTX 3080ビデオカード「ROG-STRIX-RTX3080-O10G-GAMING」が発売となった。税別実売価格は118,000円前後だ。今回発売に先立ってサンプルをお借りできたので、写真で見ていきたい。

 本製品はゲーミングブランドである「ROG Strix」を冠したビデオカードで、同社ラインナップのなかでもフラグシップに属するモデル。パッケージには本体のほかに、定規にもなっているPCBで作られたキーホルダーと、ケーブルタイといったオマケが付属し、付加価値を高めている。

 ビデオカード本体自体から感じられるクラフトマンシップも随一だ。ヘアラインやテクスチャ、凹凸に富んだ素材がふんだんに使われており、ヒートシンクカバーやバックパネルには、じつに9枚もの保護フィルムが貼られている。開封してから組んで使うまで、その外観をじっくり堪能してほしいという開発者の意図が垣間見えるほどだ。

 たとえば、ヒートシンクカバーに刻印されている「25.124839 121.471145」は、Googleマップで検索すればわかるとおり、ASUS本社ビルの位置を指し示している。こうした隠されたギミックも、フラグシップ製品ならではの楽しみだ。

製品パッケージ
付属品は多め
側面に「GEFORCE RTX」のプレート
ヒートシンクカバーも細かいところまでディテールにこだわっている
25.124839 121.471145は想像できるとおり北緯と東経の座標
Googleマップで検索すると、ASUS本社となっている

 ヒートシンクは2.9スロットとされており、実質3スロットを占有する超大型のもの。特徴的なのは3基の「Axial-techファン」で、このうち中央が13枚のブレード、両側が11枚のブレードで構成されている。このうち両側は反時計回り、中央は時計回りに回転することで、気流の乱れを抑えたという。55℃以下では、ファンも停止し静音性を高めた。

 ブレードのエッジをつなぐ「バリアリング」を備えており、このリングの形状も異なる。両側のファンはリングの一方が波状となっており、横からの吸気性を高める役割、一方中央のファンはリングの両辺が並行で、静圧を高める役割を果たす。一見他社と同じように見えるヒートシンクにも、これだけの工夫が詰め込まれているわけだ。

 ちなみに標準の動作クロックは1,905MHzと、標準の1,710MHzより195MHzも高い。OCモードではさらに1,935MHzまで引き上げており、この規模のGPUとしては驚異的と言ってもいいだろう。

ヒートシンクは2.9スロット占有の超大型タイプ
Axial-techファン(サイド)
本体背面も金属プレートで剛性が強化されている

 基板は同社お得意の「Auto-Extreme」自動製造プロセスによりはんだ付けされている。これによりなめらかな接合部とヒューマンエラーを排除している。採用されているコンデンサやチョークコイル、MOSFETも高品質なもので、高負荷時の電源供給を安定させている。

 側面にはデュアルBIOSの切り替えスイッチを備えており、ソフトウェアなしで「パフォーマンス」と「静音」モードをすぐに切り替えられる。また、側面にはアドレサブルRGB LEDによるイルミネーションを備えており、独自ユーティリティ「Armoury Crate」でカスタマイズ可能だ。

 GeForce RTX 3080のオーバークロックで消費される大量の電力に対応するために、8ピンのPCI Express補助電源コネクタを3基備えた仕様となっているが、この電源を監視する回路がオンボードで実装されており、電圧低下などのさいには赤色に光って警告する仕組みとなっている。つまり、RGB LEDイルミネーションは装飾と機能を兼ね備えたものであるというわけだ。

 GeForce RTX 3080のビデオカード自体、決して安い買い物ではなく、そのユーザー満足度の大半はゲーム性能という体験であったりするわけだが、ROG-STRIX-RTX3080-O10G-GAMINGはそれに加えて、ハードウェアの体験満足度としての価値も高い製品だと言えるだろう。

本体側面にはRGB LEDイルミネーションを内蔵している
PCI Express補助電源は8ピン×3
一時期「これが安定性に影響するのか?」と騒がれたGPU背面のコンデンサ。実際はドライバで解決できた。本製品はすべてMLCCとなっている
デュアルBIOS切り替えスイッチ
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