レビュー

ASUS製GeForce RTX 2060のレイトレ性能を3DMark Port Royalで比較してみた

ASUS ROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMING。3連ファンを搭載した大型GPUクーラーを搭載する

 GeForce RTX 2060を搭載したASUS製ビデオカード「ROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMING」が1月18日より発売となる。

 これに先立ち、同ビデオカードをテストする機会が得られたので、注目のミドルレンジGPUを搭載したASUSオリジナル仕様のビデオカードがどのような製品に仕上がっているのか、そして1月8日に3DMarkに追加されたばかりのリアルタイムレイトレーシング用ベンチマーク「Port Royal」でその性能をチェックしてみた。

GeForce RTX 2060搭載のASUS製ビデオカード

 ASUSの「ROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMING」は、新GPUであるGeForce RTX 2060を搭載したビデオカード。カードサイズは300×132×50mm(幅×奥行き×高さ)で、占有スロット数は約3スロット。

 PCゲーマー向けブランド「ROG STRIX」に属する本製品は、セミファンレス機能「0dB テクノロジー」に対応した大型GPUクーラーと、完全自動生産プロセス「オートエクストリームテクノロジー」で製造されたオリジナル基板を採用。これらの優れた冷却能力と電力供給能力を活用することで、GeForce RTX 2060のブーストクロックを1,680MHzから1,830MHzにまでオーバークロックして搭載した。

 なお、ROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMINGでは、専用ユーティリティ「GPU Tweak II」を利用することで、標準動作モードの「Gaming Mode」のほかに、より高いGPUクロックで動作する「OC Mode」と、低クロック動作で発熱と騒音を抑える「Silent Mode」が選択できる。

 動作に必要な補助電源コネクタは6ピン+8ピン。ディスプレイ出力端子には、DisplayPortとHDMIを各2系統ずつ備えている。

基板裏面には金属製バックプレートを搭載。ROGロゴにはRGB LEDが組み込まれている
ディスプレイ出力端子。HDMI×2、DisplayPort×2
カード後方の上部に補助電源コネクタを備える。構成は8ピン+6ピンの2系統
専用ユーティリティ「GPU Tweak II」。標準動作モードであるGaming Modeのほか、OC Mode、Silent Modeを選択できる
標準動作モードである「Gaming Mode」。ベースクロック1,365MHz、ブーストクロック1,830MHz
「OC Mode」。ベースクロック1,395MHz、ブーストクロック1,860MHz
「Silent Mode」。ベースクロック1,335MHz、ブーストクロック1,800MHz

 ROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMINGの基板は、ASUS独自の設計に基づき、自動生産プロセス「オートエクストリームテクノロジー」で生産されたもの。実装部品にはASUS独自のカスタムパーツ群「Super Alloy Power II」を用いており、個々の部品から製造工程にいたるまでASUS独自の品質技術が投入されている。

 電源回路は8+2フェーズ。基板にはVRAM冷却用の放熱板を兼ねた強化フレームが取りつけられており、基板をゆがみやねじれから保護している。

基板表面。自動生産プロセス「オートエクストリームテクノロジー」で製造されており、基板表面にはフラックスの残渣などは見られない
基板裏面
8+2フェーズの電源回路を搭載。実装部品はASUS独自の高耐久パーツである「Super Alloy Power II」を使用
GPUコアのGeForce RTX 2060
VRAM。14Gtpsで動作する合計6GBのGDDR6メモリが、192bitのバス幅でGPUと接続されている
VRAMの放熱板を兼ねた強化フレームを装備。バックプレートとの組み合わせにより基板のゆがみやねじれを防いでいる

 約3スロットを占有する大型のGPUクーラーは、セミファンレス機能「0dB テクノロジー」に対応した3基の冷却ファンを搭載。これらのファンは静圧を高める独自形状のウイングブレードファンを採用し、IP5Xに準拠した防塵性能も備えている。

 放熱部には、6本のヒートパイプを搭載した2ブロックタイプのヒートシンクを搭載。GPUコアと接する銅製ベースプレートに、精密な機械加工による表面研磨でGPUとの密着性を高める「MaxContactテクノロジー」を採用しており、GPUの熱を効率的に受け取ってすばやく放熱できるヒートシンクとなっている。

GPUクーラーは約3スロットを占有する大型のものを採用している。
独自形状の「ウイングブレードファン」仕様の冷却ファン。IP5X準拠の防塵性を備えている。
6本のヒートパイプを搭載した2ブロックタイプのヒートシンク。GPUのほか、電源回路の発熱も放熱する。
GPUに接するベースプレート。MaxContactテクノロジーによる精密機械加工で鏡面に仕上げられている。

 ROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMINGには、ファン制御設定が異なる2種類のBIOS、「Q-Mode」と「P-Mode」が搭載されており、基板上部のスライドスイッチで利用するBIOSを選択できる。Q-Modeはセミファンレス機能の「0dB テクノロジー」に対応した静粛性重視のファン制御を行ない、P-Modeでは冷却ファンを常時稼働させることでGPUや周辺パーツの温度をつねに低く保つ。

 Q-ModeとP-Modeの両BIOSで、ベンチマーク実行中のビデオカード各部の動作をモニタリングした結果が以下のグラフだ。テスト時の室温は約27℃。

 測定結果は、Q-Modeのピーク温度が63℃、ファン回転数が最大約1,310rpmであったのに対し、P-Modeのピーク温度は57℃、ファン回転数は最大約1,600rpmだった。「静粛性重視のQ-Mode」と「冷却重視のP-Mode」という各モードの性質が反映された結果であり、どちらも温度ターゲットの83℃より十分に低いGPU温度を保っている。

BIOS切り替えスイッチ。セミファンレス機能が利用できる静粛性重視の「Q-Mode」と、冷却ファンを常時稼働させる冷却重視の「P-Mode」を切り替え可能
「Q-Mode」で実行したベンチマーク時のモニタリングデータ。
「P-Mode」で実行したベンチマーク時のモニタリングデータ。

ASUS ROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMINGの性能をほかのGeForce RTX 20シリーズと比較

 ROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMINGが持つ性能をベンチマークテストでチェックしてみよう。今回のテストでは、参考までにほかのGeForce RTX 20 シリーズを搭載したROG STRIXシリーズのビデオカードを用意した。

 ROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMINGに関しては、標準動作モードの「Gaming Mode」に加え「OC Mode」でもベンチマークを実行する。ベンチマーク実行時の各ビデオカードの動作設定は以下の表のとおり。

【表1】各ビデオカードのテスト時動作仕様
GPURTX 2060 [Gaming]RTX 2060 [OC]RTX 2070RTX 2080RTX 2080 Ti
ビデオカードベンダーASUS
製品名ROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMINGROG-STRIX-RTX2070-O8G-GAMINGROG-STRIX-RTX2080-O8G-GAMINGROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING
ベースクロック1,365MHz1,395MHz1,410MHz1,515MHz1,350MHz
ブーストクロック1,830MHz1,860MHz1,815MHz1,860MHz1,650MHz
メモリ容量6GB GDDR68GB GDDR611GB GDDR5
メモリスピード14Gtps
メモリインターフェース192bit256bit352bit
メモリ帯域336GB/s448GB/s616GB/s
GeForce RTX 2070搭載の「ROG-STRIX-RTX2070-O8G-GAMING」
ROG-STRIX-RTX2070-O8G-GAMINGのGPU-Z実行結果
GeForce RTX 2080搭載の「ROG-STRIX-RTX2080-O8G-GAMING」
ROG-STRIX-RTX2080-O8G-GAMINGのGPU-Z実行結果
GeForce RTX 2080 Ti搭載の「ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING」
ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGのGPU-Z実行結果

 ベース機材にはCore i9-9900Kを搭載したIntel Z390環境を用意。グラフィックスドライバには、テスト時点での最新版である「417.71」を利用した。そのほかのテスト環境については以下のとおり。

【表2】テスト機材一覧
CPUCore i9-9900K
CPUクーラーASUS ROG RYUJIN 240
マザーボードASUS TUF Z390-PLUS GAMING (UEFI: 1002)
メモリDDR4-2666 8GB×2 (2ch、16-18-18-36、1.35V)
システム用ストレージIntel SSD 760p (256GB SSD/M.2-PCIe 3.0 x4)
アプリケーション用ストレージSanDisk Ultra 3D SSD (1TB SSD/SATA 6Gbps)
電源玄人志向 KRPW-TI700W/94+ (700W 80PLUS Titanium)
グラフィックスドライバGeForce Game Ready Driver 417.71
OSWindows 10 Pro 64bit (Ver 1809 / build 17763.253)
電源設定高パフォーマンス
室温約27℃

ベンチマーク結果

 今回実行したベンチマークテストは、「3DMark Port Royal」と「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク v1.2」の2種類。

 2019年1月に追加された3DMarkの新テスト「Port Royal」は、DirectX Raytracing (DXR)によるリアルタイムレイトレーシングを実行したさいの性能を測定するベンチマークテストだ。標準ではWQHD解像度(2,560×1,440ドット)で実行される。

Port Royal実行中の画面。レイトレーシングによって影や鏡面への映り込みがリアルに描写される
Port Royalで実行されるテストは1種類のGraphics Testのみで、スコアも「Graphics Score」のみというシンプルな内容だ

 ROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMINGは、Gaming Modeで3,962、OC Modeで4,012のスコアを記録。上位のGeForce RTX 2070搭載モデルの8割程度の性能を発揮した。

3DMark v2.7.6283「Port Royal」

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク v1.2では、描画設定を「高品質」に固定して、3つの画面解像度でスコアを取得した。

 ROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMINGは、WQHD解像度まではベンチマーク評価「快適」の基準となる6,000を超えている。WQHD解像度以下のスコアはGeForce RTX 2070の87~90%に達している。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク v1.2

 ワットチェッカーを使ってシステム全体の消費電力を測定した結果が以下のグラフだ。アイドル時の消費電力と、3DMark Port Royal実行中のピーク消費電力を測定している。

 ROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMINGのアイドル時の消費電力は、動作モードに関わらず40Wを記録。この数値は1つ上のGeForce RTX 2070と並んで比較製品中もっとも低い。

 ベンチマーク中のピーク消費電力については、Gaming Mode時が222Wなのに対し、OC Mode時には12W高い234Wを記録した。

システムの消費電力

洗練されたGeForce RTX 2060搭載ビデオカードROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMING

 GeForce RTX 2060を搭載したROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMINGは、上位GPUであるGeFoece RTX 2070搭載モデルに対し、リアルタイムレイトレーシングを活用するPort Royalで約8割、FINAL FANTASY XVでは9割近い性能を実現しており、本格的なゲーミングPCを構築したいユーザーにとって魅力的な性能を備えている。

 ROG STRIXシリーズのビデオカードとして、静粛性と冷却性能を兼ね備えたGPUクーラーと高品質な基板を組み合わせたROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMINGは、性能面以外でも高い満足度が得られる完成度の高い1枚だ。約3スロットを占有する点には注意が必要だが、カードの品質や静粛性にもこだわりたいゲーマーなら、ぜひ検討したいビデオカードである。