パソコン工房新製品レビュー

年末の注目ゲームも高画質&4Kで余裕!285Kと7900XTX搭載のモンスターPC

~「LEVEL-R78P-LC285K-ZEX [RGB Build]」のゲーム性能を検証

パソコン工房の「LEVEL-R78P-LC285K-ZEX [RGB Build]」。価格は48万6,800円から

 パソコン工房のミドルタワーゲーミングパソコン「LEVEL∞ R-Class」に超ハイエンド構成のモンスターモデルが登場した。

 注目ゲームを高画質設定および4K解像度でも余裕で楽しめるハイパワーで、ゲーミング性能に妥協をしたくない人は注目だ。その性能を安定動作させるだけの高い冷却力、ゲーミングらしい演出も備えている。早速レビューをお届けしたい。

Radeon RX 7900 XTとCore Ultra 9 285Kを搭載

 「LEVEL-R78P-LC285K-ZEX [RGB Build]」は、ミドルタワーケースを採用するLEVEL∞ R-Classに属するデスクトップ型のゲーミングPCだ。サイズは突起物を含まず約220mm×493mm×465mmとミドルタワーとしてはやや大きめだが、ラジエータ36cmクラスの大型簡易水冷クーラーを搭載、天面と背面にもファンを備え、ハイエンド構成を支える強力な冷却力を実現している。

ビデオカードにはASRockのRadeon RX 7900 XTX Phantom Gaming 24GB OCが搭載されていた。補助電源は8ピン×3仕様だ

 ゲーミングPCの心臓部と言えるビデオカードには、AMD最新世代の「Radeon RX 7900 XTX」搭載モデルを採用。RDNA 3アーキテクチャを採用し、CU(Compute Unit)を96基も搭載するRX 7000シリーズ最上位のGPUだ。前世代最上位のRadeon RX 6950 XTのCUは80基だったので、回路規模だけ見ても大幅に強化されているのが分かる。定格のブーストクロックは2,500MHzだが、搭載カードは2,615MHzまでオーバークロックされていた。

GPU-Zでの表示。Radeon RX 7900 XTXを採用している。ブーストクロックは定格から115MHz向上させた2,615MHzとなっていた

 メモリはGDDR6が24GBと大容量で、メモリインターフェイスは384bitもあり、メモリ帯域は960GB/sだ。さらにInfinity Cacheを加えた実効メモリ帯域は3494.4GB/sにも達する。このほか、AV1のハードウェアエンコード機能も搭載。ゲームをプレイしながらの配信や録画も快適に行なえるようになっている。

 CPUは、Intel最新のCore Ultra 200Sシリーズから最上位モデルの「Core Ultra 9 285K」を採用。パフォーマンス重視のPコアを8基、効率重視のEコアを16基と合計24コア24スレッドになっている。1コアで2スレッドの処理を行なうハイパースレッディングの廃止、AI特化型プロセッサのNPUを内蔵、Thunderbolt 4コントローラの搭載など、デスクトップ向けでは初の“Core Ultra”だけに前世代から大幅な変更が加わっている。

CPU-Zでの表示。CPUにはCore Ultra 9 285Kを搭載。24コア(Pコア8基、Eコア16基)24スレッドで最大5.7GHz動作だ

 そのほかスペックは、メモリがDDR5-5600を16GB×2枚搭載で合計32GBとゲームプレイに十分な容量と言える。

メモリはMicron製のDDR5-5600が32GB(16GB×2)搭載されていた

 ストレージはPCI Express 4.0 x4接続のNVMe SSDを採用しており、ゲームのロードなどに遅さを感じることはないだろう。容量は1TBだ。

CrystalDiskMark 8.0.5の実行結果。シーケンシャルリードで6,534.73MB/s、ライトで5,963.34MB/sとPCI Express 4.0 x4接続のSSDとして十分高速だ

 電源ユニットは1,000Wと大出力で、80PLUS Platinum認証を取得している電気変換効率が高いもの。ハイエンドモデルへのこだわりが感じられる部分だ。

 なお、カスタマイズしての注文にも対応しており、メモリやストレージの容量変更が可能だ。多くのゲームをインストールしたい人はストレージをより大容量にするのもアリだろう。

ケース内部はかなり余裕あり

PCケースの内部。ケーブル類はキレイにまとめられており、エアフローは良好だ

 次はPCケースをチェックしよう。大きめのミドルタワーだけあって、36cmクラスの大型の簡易水冷クーラーを前面側に備えながら、内部にはゆとりがある。簡易水冷クーラーは吸気となっており、天面に2基、背面に1基ある12cm各ファンで排気する強力なエアフロー。このハイエンド構成で長時間ゲームをプレイしても安心だ。

 また、すべてのファン、水冷ヘッド、底面にはLEDが備わっており、ゲーミングPCらしい演出も楽しめる。このほか、Wi-Fi 7やBluetooth 5.4のワイヤレス機能も搭載。

CPUクーラーには36cmクラスの大型簡易水冷を採用している
ビデオカードはガッチリとサポートステイで固定されていた。大型カードだけに安心のポイントだ
NVMe SSDには厚みのあるヒートシンクが取り付けられており、熱対策は万全と言える
各ファンおよび水冷ヘッド、底面にはLEDを搭載。ハデな演出を楽しめる
天面にはヘッドフォン出力、マイク入力、USB 3.2 Gen 1 2基、USB 3.2 Gen 1 Type-Cが備わっている
背面には映像出力のほか、5Gbpsの有線LAN、Thunderbolt 4、USB 3.2 Gen 2、USB 3.2 Gen 2 Type-C、USB 3.2 Gen 1 2基、USB 2.0 4基、サウンド入出力などが搭載されている

最新&人気のAAA級ゲームも4Kで楽しめるハイパワー

 ここからは、実際の性能をチェックしていく。まずは、CGレンダリングでシンプルにCPUパワーを測る「Cinebench 2024」、PCの基本性能を測る「PCMark 10」を試そう。

 Cinebench 2024のマルチコアで2,351ptsは、コンシューマ向けのCPUとしては最高クラスのスコアだ。本機はCore Ultra 9 285Kの性能をしっかり引き出している。

Cinebench 2024の結果

 PCMark 10は、Web会議/Webブラウザ/アプリ起動の“Essentials”で4,100以上、表計算/文書作成の“Productivity”で4,500以上、写真や映像編集“Digital Content Creation”で3,450以上が快適度の目安となっているが、すべて2倍以上のスコアを出した。特にDigital Content Creationのスコアが高く、クリエイティブ作業にも強いことが分かる。

PCMark 10の結果

 続いて、実ゲームで性能を見ていこう。定番のFPSとして「Apex Legends」、「オーバーウォッチ 2」を試す。Apex Legendsは射撃訓練場の一定コースを移動した際のフレームレートを、オーバーウォッチ 2はbotマッチを観戦した際のフレームレートをそれぞれ「CapFrameX」で測定した。

 Apex Legendsは最大300fpsのゲームだ。WQHDまではほぼ最大に到達。4Kでも平均254.7fpsと強烈に高いフレームレートを出した。描画負荷が高くなるオーバーウォッチ2でも4Kで平均144.7fpsに到達。4K/144Hzのゲーミング液晶も生かし切れる。

 では、描画負荷が非常に高いゲームはどうだろうか。代表格と言える「サイバーパンク2077」を用意した。ゲーム内のベンチマーク機能を利用している。

 2020年発売ながら、未だに最重量級ゲームの1つ。Radeonがやや苦手とするレイトレーシングをゴリゴリに効かせたレイトレーシング : ウルトラ設定でも4Kでラクラク遊べる平均91.8fpsを出している。FSRやフレーム生成の効果があるとはいえ、さすがハイエンドモデルというところだ。

 続いて、2024年末発売の注目タイトルを試してみたい。「Horizon Zero Dawn Remastered」、「S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl」、「Microsoft Flight Simulator 2024」を用意した。Horizon Zero Dawn Remasteredは母の頂の一定コースを移動した際のフレームレート、S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobylはザリシアの一定コースを移動した際のフレームレート、Microsoft Flight Simulator 2024はアクティビティの着陸チャレンジのシドニーをプレイした際のフレームレートをそれぞれ「CapFrameX」で測定した。

 Horizon Zero Dawn RemasteredはFSRとフレーム生成の両方に対応していることもあって、最高画質設定でも4Kで平均171.1fpsと高いフレームレートを出している。S.T.A.L.K.E.R. 2も非常に描画負荷が高いゲームだが、FSRとフレーム生成の効果もあって4Kで平均128.8fpsと十分高いフレームレートを出した。Microsoft Flight Simulator 2024は今回の環境ではフレーム生成を利用できなかったが、それでも4Kで平均60fpsを超えており、快適なプレイが可能。最新のAAA級ゲームも最高画質かつ4Kでプレイできるのは非常に心強いところだ。

CPU/GPUの温度とクロックもチェック!冷却力は非常に高い

 最後にCinebench 2024とサイバーパンク2077をそれぞれ10分間実行したときのCPUとGPUの温度をシステム監視アプリの「HWiNFO Pro」で測定した。室温は22℃だ。合わせて動作音も前面と上部のそれぞれ10cmの位置に騒音計を設置して測定している。

 CPUの全コアに100%の負荷がかかるCinebench 2024だが、平均72.5℃と非常に低い。ベンチ中は200W以上の消費電力が発生するCPUの温度とは思えないほど。GPUの温度にもほとんど変化がなく、PCケース内部も熱くなっていないのが分かる。

 サイバーパンク2077はCPU、GPUとも高い負荷がかかるゲームだが、CPUは平均50.2℃、GPUも平均58.2℃とこちらも低い。ただ、それだけに動作音は大きめだ。冷却力とはトレードオフの関係と言えるので仕方のないところ。性能と高い冷却力による安定性を重視する人に向いたモデルだ。

 本製品は、トップクラスの描画負荷を持つAAA級のゲームも最高画質&4K解像度で快適にプレイできるモンスター級のゲーミングPCだ。FPSでも高いフレームレートを出しており、eスポーツ系のゲームをガチでプレイしたい人にもピッタリ。さらに、Core Ultra 9 285Kはクリエイティブ系の処理にも強く、幅広い用途で活躍が可能だ。性能に妥協したくないなら、ぜひ注目してほしい。