パソコン工房新製品レビュー
16型だけど1.28kgしかない軽量ノート。大画面モバイルしたい人に推したい1台
~パソコン工房「SENSE-16FH129-U7-UH2X」
2024年5月21日 10:00
15.6型および16型クラスのノートPCと言えば、デスクトップPCの代替として使われるイメージだ。大抵は2kg前後の重量なので、持ち運びするには重く、自宅や事務所で据え置きで使うのが一般的だろう。
ところが今回試すことになったパソコン工房の「SENSE-16FH129-U7-UH2X」は、16型ノートPCでありながら重量1.28kgと非常に軽量。実際、箱から取り出した時の印象は「軽っる!」だった。筆者は普段1.16kgの14型モバイルノートを使用しているが、その差はわずか120gだ。SENSE-16FH129-U7-UH2Xの軽さがモバイルノート並みであることが分かる。
もちろん、SENSE-16FH129-U7-UH2Xの本体サイズは、358×253×23.2mmとそれなりの大きさだ(手持ちの14型のほうは323.5×217.1×15.95mm)。そのため、大画面ノートを使いたいという人のニーズを満たしつつ、モバイルノートとしても利用できる製品になっているわけだ。
せっかく軽いんだから外で使ってみる
このような重量感とサイズ感のSENSE-16FH129-U7-UH2Xは、デスクトップPCの代替用途だけではもったいない。そこで今回は、本当にモバイルノートとして使えるのか実験してみてみようと思い至った。自宅にこもって作業をしていて気分が滅入ったところだ。SENSE-16FH129-U7-UH2Xを外に持ち出し、原稿を書いてみることにした。
なお、筆者はこれまでにも15.6型クラスのノートPCや、さらに大きな17.3型クラスのノートPCを持ち運んだことがある。雑誌のDTP用ノートPCが15.6型のゲーミングモデル(3kg弱)で、校了日の前後はこれをバックパックに入れて自宅と編集部をバイクで往復していたが、背負うとなると後ろに引っ張られる感覚があった。しかし、SENSE-16FH129-U7-UH2Xは普段背負っているモバイルノートと変わらない印象だ。
SENSE-16FH129-U7-UH2Xを喫茶店で使用すると、やはり普段のモバイルノートと比べて若干大きいことを感じる。よい点としては画面サイズで、14型と比べると2インチ、対角で5cmほど大きな画面は快適だ。あるいは、テキストフォントのサイズを小さくして情報量を増やすことも可能になる。
一方、街中にあるテーブルが小さめの喫茶店ではそもそも14型でも横にマウスを置くと窮屈に感じていたが、16型のSENSE-16FH129-U7-UH2Xでマウスを置くとさらに窮屈になる。タッチパッドが大きいのが幸いだが、細かな作業はマウス必須という場合、席をテーブル面積で選ぶようなことになるかもしれない。
都会を離れてリラックスできる場所で作業
自動車移動なら背負わずに済むから重さはさほど関係ない。気にするなら電源だ。SENSE-16FH129-U7-UH2XはUSB PD充電に対応しているので、アクセサリソケットに65W対応のUSB PD充電器を付けておけば走行中に充電できる。
また、実際にPC操作をするのは停まった時。エンジンを切った後はバッテリを使うことになる。駆動時間の公称値は動画再生6.8時間、アイドル時8.4時間(JEITA3.0)。PCMark 10のバッテリベンチマーク(Modern Officeシナリオ)で計測したところ5時間58分だった。実際の原稿書きもおおむねこれに近い印象だ。
SENSE-16FH129-U7-UH2Xを勤務時間(8時間?)中ずっと使い続けるというのは無理だろう。ただし、モバイルバッテリやポータブル電源を組み合わせれば駆動時間の問題は解決する。
このように、SENSE-16FH129-U7-UH2Xをモバイルできる16型ノートPCとして使うのは好印象だ。実際、重さは苦にならない。景色のよいところに出かけて、そこで仕事をする。会議はオンライン(Webカメラも搭載している)。データはローカルが基本になるが、必要に応じてクラウドを利用すればよい。最近は結構な山奥でも4Gなら届くので、スマホのテザリングでどうにでもなるだろう。
ビジネス&モバイルにうれしいディスプレイ、デザイン、インターフェイス
あらためてSENSE-16FH129-U7-UH2Xの外観をじっくりと見ていきたい。
16型液晶ディスプレイは解像度1,920×1,200ドットで、少し縦に拡大している分、1画面に表示できる情報量はフルHDよりも多い。パネルは非光沢だ。ディスプレイ上部ベゼルには200万画素のWebカメラを搭載する。
液晶パネルにもユニークなスペックが盛り込まれている。本製品はゲーミングモデルではないが、リフレッシュレートが165Hzと高い設定になっている。デスクトップやアプリケーション表示でも、たとえばマウスカーソルがなめらかでチラつきがないといった点でメリットがあるだろう。
キーボードは日本語配列でテンキー付きだ。アイソレーションタイプでキーピッチは18mmほど。ややキートップの面積が小さい印象なのはテンキーのスペース確保のためだろう。
Enter周辺のキーはやや幅が詰まっており、テンキー側のピッチは16mmほどに抑えられている。やや窮屈に感じるが数値の入力が多いデザイン分野などテンキーを多用する用途には適している。
電源ボタンが独立しているところも使い勝手がよい。キーボードと一体化しているものだと、押し間違えもあるためだ。タッチパッドも面積が広めで、細かなカーソル操作もしやすい。
液晶パネルを閉じると、SENSE-16FH129-U7-UH2Xはスペック以上にスリムに見える。23.2mmという厚みがゴム足を含めたものであることもその印象を強くする。加えて、キーボード面の高さはおよそ13mmほどだが、エッジの部分は6mm程度でその下を斜めにカットしたデザインによって、使用者にスリムな印象を与えるのだろう。
天板を開くと、キーボード面がチルトする構造だ。ヒンジがL型になっており、ここが角度を生む。また、最大180度のフラットな状態まで液晶パネルを倒すことができる。机の上に置き、複数人で画面を覗き込むようなことも可能だ。
インターフェイスはThunderbolt 4(USB PD対応)、USB 3.1 Type-C(USB PD対応)、USB 3.1、USB 3.0、HDMI、microSDカードスロット、ヘッドフォン/マイクコンボだ。USBとして使えるのが計4ポート、Type-Cが両方ともPD対応といったスペックがうれしい。
また、映像出力もThunderbolt 4、HDMIと2系統あり、本体ディスプレイと合わせて最大3画面出力が可能だ。ネットワークについては有線なし、無線はWi-Fi 6E+Bluetooth 5だ。
付属のACアダプタは、USB PD対応なのは当然として、比較的小型である。市販のものにはより小型の65W対応USB PD充電器もあるが、付属のものも小さめな設計なので持ち運びに向いている。その上でプラグを折りたたんで収納できるし、USB Type-Cケーブルを取り外せるタイプだ。
これが次世代スタンダード。NPU搭載Core Ultraと16GBメモリ
SENSE-16FH129-U7-UH2Xの内部スペックを紹介しよう。
SENSE-16FH129-U7-UH2Xのスペック | |
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CPU | Core Ultra 7 155U(12コア/14スレッド、最大4.8GHz) |
メモリ | 16GB |
ストレージ | NVMe SSD 1TB |
ディスプレイ | 16型非光沢液晶(1,920×1,200ドット) |
OS | Windows 11 Home |
無線機能 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5 |
主なインターフェイス | Thunderbolt 4、USB 3.1 Type-C、USB 3.1、USB 3.0、HDMI、microSDカードスロット、音声入出力 |
カメラ | 200万画素 |
本体サイズ | 約358×253×23.2mm |
重量 | 約1.29kg |
SENSE-16FH129-U7-UH2Xには下位モデルもあり、本製品がCore Ultra 7 155U搭載するのに対し、下位モデル(SENSE-16FH129-U5-UH2X)はCore Ultra 5 125Uを採用している。
ここまで特に触れていなかったが、本製品が属する「SENSE∞」ブランドはクリエイター向けの製品を展開している。NPUを実装するCore Ultraというところで、クリエイター向けのスペックを備えていると言えるだろう。
メモリはDDR5で、オンボード8GB+スロット8GBの計16GBが標準構成。スロットが1基なので8+32GBの計40GBが最大搭載量だ。
ストレージは1TBのNVMe対応M.2 SSD。ここはBTOパソコンなので柔軟にカスタマイズでき、最大構成ではセカンドスロットも利用した2TB+2TBが可能である。
今回は上位モデルの標準構成から少しカスタマイズしたものを借用している。パフォーマンスについては、CPUがCore Ultra 7とあって十分に快適だ。
とはいえ、Core Ultra 7モデルは18万7,800円からという価格になる。クリエイター向けとしては妥当か安いくらいの価格だが、予算が厳しい場合はCore Ultra 5モデルが15万9,800円からなのでこちらを検討したい。
Core Ultra 7 155UもCore Ultra 5 125Uもともに、Pコア2基、Eコア8基、LP Eコア2基の計12コア/14スレッドといったコアレイアウトだ。CPUクロックやGPUクロックにはもちろん差があり、Core Ultra 7のほうが高性能ではある。
メモリは標準で16GBあるので、テキスト中心の作業、Web開発などでは問題ない。画像編集、映像編集も程度によるがそこまで凝ったものでなければ十分、足りないと感じたらカスタマイズしたい。ストレージも容量については使用者のデータ量に合わせて変更しよう。
転送速度(評価機は1TB×1基を搭載)はメインストリーム向け相当で、シーケンシャルリード4.1GB/s、同ライトが2.9GB/sだった。ディスクリートGPUを搭載する3D開発向けの場合はもう少し速さを求めたくなるが、2D主体の本製品なら許容範囲だろう。ランダムアクセスについては4KiBリードで64.6MB/s、同ライトで114.9MB/sあるのでアプリケーション起動などのレスポンスはよかった。
動作音とパフォーマンスに関わるユーティリティも紹介しておこう。
本製品には「Control Center」というユーティリティが導入済みで、パフォーマンス、エンターテイメント、静音の3つのプロファイルが用意されている。これらは性能重視、バランス、静音・省エネといったイメージだろう。デフォルトのエンターテイメントも比較的静かだったが、静音に切り換えると特に静かさを実感できる。