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スマホを安全に処分するには?完膚なきまでに破壊する方法を選ぶ

筆者が所有している数年前のAndroidスマホで処分サービスに申し込んでみた

 一般的に、不要になったスマホを処分したい場合、各キャリアのショップに持ち込むのが手っ取り早い。主要キャリアは不要スマホの無償回収サービスを行なっており、店頭に持ち込むだけで引き取ってくれる。キャリアを問わず受け付けてくれるので、ユーザーとしては非常に利便性が高い。

 これらのキャリアによる回収サービスでは、保存されたデータは削除されるとされているが、実際にどのような処理が行なわれるのかを確認することはできない。特にスマホの場合はバッテリが内蔵されていることもあって、HDDのように破砕するためのマシンによってユーザーの目の前で穴を開けるのは不可能で、ユーザーはキャリアを信頼して任せるしかないというのが現状だ。

 こうした中、スマホを破壊する工程を動画に収め、それらのスクリーンショットを含めた証明書を発行してくれるサービスがある。今回はこのサービスを実際に使ってみたので、レビューをお届けする。

今回紹介するのはリネットジャパンの「おまかせ安全データ消去サービス」。スマホを物理的に破壊し、その様子を記録した動画をもとに証明書を発行してくれる

破壊する過程を録画して証明書を発行

 今回紹介するサービスを提供しているのはリネットジャパン。同社はPCが1台以上含まれていれば無料で回収してくれるサービスを提供しており、これまでにも何度か紹介しているので、名前を知っている人も多いだろう。

 さて今回紹介するスマホの「おまかせ安全データ消去サービス」は、不要なスマホを送ると専用ソフトによるデータ消去を行なったのち、専用マシンで物理的な破壊を行ない、その過程を収めた動画の中から抜粋したスクリーンショット入りで、証明書を発行してくれるというサービスだ。

リネットジャパン。PCの無料回収で多数の自治体と提携している

 今回は筆者が所有している、数年前のAndroidスマホを処分する目的で申し込んでみた。

 前述のPC無料回収サービスと共通のフォームで必要事項を入力し、集荷希望日時を指定したら、あとは梱包して待てばよい。ちなみに入力にあたっては、回収品の中にスマホが含まれていること、データ消去のおまかせサービスを利用すること、さらに必要に応じて消去証明書の郵送オプションを申し込むこと、以上3つを指定する必要がある。

 なお今回試したところ、選択したはずの項目が確認画面ではなぜか未選択になっている現象が繰り返し発生したため、最終的に確認画面から申込内容を変更することによってようやく意図したオプションで申し込みを完了させた。フォームの不備か、あるいは筆者の環境によるものかは不明だが、実際に申し込む場合は、確認画面の時点できちんと選択されているか、よく確認することをおすすめする。

申し込み手順
申し込みはオンラインで行なう。回収品目にPCがあった場合は基本料金が無料になるが、今回は「なし」を選択
「携帯電話/スマートフォン」で「1台」を選び、「データ消去をおまかせする。」にチェックを入れて次に進む。このあと回収の箱数、希望日時、回収先情報などを入力する
さきの画面で消去サービスを申し込んだはずが、お支払合計の内訳を見るとなぜか反映されていない。何度か繰り返しても同様の症状だった
仕方がないので入力項目の修正画面へと移動し、携帯電話/スマホ台数を「1台」、消去サービスを利用するも同じく「1台」、さらに「消去証明書の郵送を希望する」にもチェックを入れて「上記内容に変更」を選択
今度は正しく入力された。回収予定日も含めて再確認し、問題なければ「申込む」をクリック
申し込み完了。続けて「申込書の印刷はこちら」をクリック
申込書のPDFが表示されるので印刷を実行する
印刷してから種類、メーカー名、型番/商品名を入力する

 また梱包方法は少々クセがある。申込書をプリントアウトして記入、それをスマホ本体とともに段ボールに詰めて発送するのだが、申込書が封筒状になるよう折り曲げ、スマホを包むようにテープ留めするよう指示されている。

 これは本体と申込書がバラバラにならないようにするのが目的と考えられるが、包み方の説明がイラスト1枚しかなく、「本当にこれでいいの?」と少々ドキドキする。実際にやってみてやや面食らった部分だ。

梱包方法
申込書の印字面が外になる状態で、スマホを包むようにしてテープ留めする
完成したものの説明がシンプルすぎてこれでよいのかやや不安だ
完全に封をするのではなく上下は空いた状態で構わないようだ

 発送の翌日には到着したとの連絡がメールで届き、そこからさらに中2日で「データ消去完了証明書」がメールに添付されて届く。常時今回と同じスケジュールで作業が行なわれているかは分からないが、極めてスピーディな印象だ。

 この証明書には、回収日や工場到着日、消去終了日といったスケジュールのほか、端末情報、消去方式や消去結果が記載されている。また「回収端末」「破砕中」「破砕後」という3つのプロセスの写真が掲載されており、端末の破壊が確実に行なわれたことが分かるという仕組みになっている。

データ消去完了証明書
データ消去完了証明書に記載されている消去日時を見ると、作業が行なわれた当日中にこの証明書を発行、送付しているようだ
「回収端末」「破砕中」「破砕後」という3つのプロセスの写真が掲載されている

確実に消去したい人向けのサービス。バッテリ取り外し作業も見たい

 流れは以上の通りで、手順は分かりやすく、また発送から完了報告までのスピーディさも文句なしなのだが、気になる点は2つある。順に見ていこう。

 まずひとつはコストの問題だ。これらの処分にあたっては、宅配回収料金(1,760円)に加えて、メインである「おまかせ安全データ消去サービス」(3,498円)、証明書の郵送費用(550円)と、3種類の費用が発生する。証明書はメール添付のみで済ませるとしても、トータルでは5千円を超えてしまう。

 今回はすべてのオプションを付けた形で申し込んでいるので、郵送での証明書発行をなくし、さらに不要なPCと同時に発送することで宅配回収料金を0円にすれば、かかる費用は消去サービスの実費のみとなるが、それでも3,498円はかかる計算だ。

 これは証明書の発行が付いたデータ消去サービスとしては決して高額とは思わないが、キャリアショップに持ち込んだ場合は処分費は無料、かつ本サービスのように申込書の記入や梱包といった手間はかからない。確実にデータを消去したい場合はありだが、そうでなければほかの選択肢のほうが低コストであることは、理解しておく必要がある。

作業の進捗はマイページから確認できる。これは消去完了証明書が発行された直後の状態で、回収・処理状況が「配送済み」となっている
今回はフルコースで申し込んでいるため高額になったが、うまくやりくりすれば3,180円+消費税で済む

 また発行されるデータ消去完了証明書については、フォーマットに過不足は感じないが、本サービスの売りである、破砕の様子をキャプチャした画像はわずか3枚で、かつ全体的に暗く見えづらいのは、少々期待外れだった。中でも肝心の、バッテリの取り外し作業が省略されているのはイマイチだ。

 もちろん全工程の動画そのものを見られるようにしてほしいといったリクエストは、さすがにコスト的にも不可能なのは承知だが、バッテリの取り外しはたとえデータそのものの処理とは関係なくとも、スマホの破砕作業においてはキモと言える部分だけに、それらの画像も含まれていれば、より印象はよかったように感じる。

オプションの郵送サービスを申し込んでいれば、「データ消去完了証明書」をプリントアウトしたものが後日あらためて郵送で届けられる。内容は同じで、画像で掲載されている工程の数も変わらない

宅配回収料金の無料特典をうまく利用したい

 以上のように、事前の期待値からすると満足度は7~8割といったところだが、とはいえ証明書に掲載されている端末の写真は紛れもなく自分が発送したものであり(あまり市場に残っていない古い機種ゆえ、同型機の写真をどこかから持ってくるほうが手間がかかるだろう)、またシリアル番号もきちんと記録されている。

 そうした意味では、窓口で手渡しすれば以降は追跡できないキャリアショップ持ち込みでの処分よりは信頼性は高いし、もしこれが家族や友人から処分を委託されていた場合でも、証明書があるというだけで、信頼性がまったく変わってくるはずだ。

 いずれにせよ、スマホを処分する機会というのは定期的に発生するわけで、このような選択肢があるということを知っているだけで、役に立つことはあるだろう。ひとまず利用にあたっては、PC無料回収サービスを併用すると宅配回収料金の1,760円が無料になるので、そうした特典をうまく利用するのがおすすめと言えそうだ。

申し込みフローの冒頭、回収品にPCがあれば、宅配回収料金の1,760円が無料になる。その時点で行なわれているキャンペーンの内容にもよるので同社サイトで確認してほしい