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しつこいWindows 11の「広告」表示を減らし、設定を見直そう
2024年9月25日 06:18
Windows 11のスタート画面やタスクバーにはデフォルトで「広告」が表示されるように設定されている。こんな話をしても、「Windows 11に広告なんか表示されたことはないよ」という人も多いだろう。筆者も広告が表示された印象はあまりなかったので、本稿の執筆に際してちょっと調べてみることにした。
一般的には「広告」と言われると、Webサイトなどでこちらが見ようとした記事の内容とは別に挟み込まれた他社のプロモーション画像や文字などをイメージするかもしれない。だが、Windows 11で表示される「広告」は、こうしたオーソドックスな広告ではない。たとえばMicrosoft 365やOneDriveの契約を勧める画面や、Windows 11が提示する「おすすめアプリ」なども広告と言える。
こうしたWindows 11側が提示する情報が必要か不要かは、個人のPCの使い方にもよるし、契約済みの人などは全く気にならないだろうが、そうでない場合は表示されると煩わしい。そしてこうした提示される情報の元になっているのは、PC操作時の情報であり、こうした行為そのものに不快感を示す人がいるのもまた事実。そこで今回はWindows 11の広告に関連する設定を見直してみたい。
月例更新の後にMicrosoft 365やOneDrive契約を勧めてくる画面
月例のWindows Updateの後などの再起動で、たまに初回起動時のような画面が表示される場合がある。この画面では、オフィススイートの「Microsoft 365」やサブスクリプション型の「PC Game Pass」などの契約を勧めてくる。急いで仕事を開始したいのに、表示されるのは煩わしい。
この挙動については「設定」→「通知」の中で一番下までスクロールし、「追加の設定」にある「更新後およびサインイン時にWindowsのウェルカムエクスペリエンスを表示して、新機能と提案を表示する」、および「Windowsを最大限に活用し、このデバイスの設定を完了する方法を提案する」のチェックをオフにすることで表示されなくなる。
通知でも広告が表示される
もう1つ、Windows 11では通知機能を介して、広告が表示されることがある。たとえばOneDriveの契約を促したり、PC Game Passの加入を促すものだ。
「設定」→「システム」にある「通知」の項目を見ると、ここにも「おすすめ」なる項目があるので、この通知をオフにしておこう。ついでに、OneDriveを使用していないのなら、OneDriveの通知も切っておけば良い。
ちなみにOneDriveはデフォルトでスタートアップ時に起動していることが多く、Xboxアプリもなんらかの拍子でスタートアップに登録されることもある。そもそもこれらを使うつもりがないのなら、「タスク マネージャー」で切ってしまうのが手っ取り早い。
さらに、通知の設定画面の「追加の設定」として、「Windowsを使用する際のヒントや提案を入手する」という項目があることが分かる。ここをオフにすることで、通知画面におすすめなどが表示されなくなる。
スタートメニューや検索ボックスの広告
次にスタートメニューの広告をオフにする方法だ。Windows 11ではWindowsボタンを押すとスタートメニューが開く。ここではピン留め済みのアプリやインストールされている全てのアプリを起動できるが、画面下部には「おすすめ」として、過去に開いたアプリやファイルの情報とともに、おすすめのアプリが提案される場合もある。
こうした提案を防ぎたい場合は「設定」→「個人用設定」の「スタート」を開き、「ヒント、ショートカット、新しいアプリなどのおすすめを表示します」をオフに設定すればOKだ。
余談だが、この設定の上の項目の通り、Windows 11のスタートメニューでは最近開いた項目を表示するようになっている。これではスタートメニューを押しただけで、今までどんなことをPCでやっていたのか、プライバシーが丸見えだ。画面共有をしたりプレゼンテーションを行なったりする機会が多いPCでは、ついでにこの項目もオフにしておくことをおすすめする。
そのほか、Windows 11に備える「検索」ボックスを使用した際に「検索のハイライト」として、検索内容以外のパーソナライズされた情報などが提示される。こちらをオフにしたい場合は「設定」→「プライバシーとセキュリティ」を開き、「検索アクセス許可」から「検索のハイライトを表示する」のチェックをオフにすることで、「検索」利用時のおすすめ表示をオフにできる。
ロック画面の提案
続いてはロック画面の提案を無効にする設定だ。後述するプライバシー設定をオフにしていると、ロック画面の提案自体がなくなるが、それでも過剰な情報が表示される場合がある。
実際にWindows 11のロック画面を眺めていると、最初のうちは日時のみが表示されていたが、少し待っているとゲームに関する情報や、天気、株式市場の情報などが表示されるようになった。これらは「広告」や「提案」とは異なり、Windows 11に標準で備える「天気」アプリなどの機能となるが、これらをオフにすることも可能だ。
ロック画面の表示を無効にするには、「設定」→「個人用設定」にある「ロック画面」を開く。ここで「ロック画面の状態」の選択肢を「なし」に設定する事で、こうした情報は表示されなくなる。
なお、「ロック画面を個人用に設定」の項目で「画像」を選択している場合には、これに加えて「ロック画面にトリビアやヒントなどの情報を表示する」の設定が表示されるので、ここのチェックもオフにするのがいいだろう。これで静かなロック画面が訪れるようになる。
もう1点、ウィジェットに表示される提案情報をオフにする設定だ。ウィジェットはデフォルトは、タスクバーの左端にあるアイコンをクリックすると表示されるWindows 11の機能の1つで、スマートフォンのようにアプリのウィジェットを小さい枠で表示できる機能となる。
ウィジェット自体は引き続き使いたいが、ウィジェット以外の情報は不要という場合は、ウィジェットの設定を開き、「フィードの表示/非表示」から「フィード」をオフにすれば、ウィジェットは引き続き使いつつ、広告や提案の表示のみをオフにできる。
ちなみにウィジェット自体を使いたくない、使う必要がない場合には、「設定」→「個人用設定」の中にある「タスクバー」を開き、「タスクバー項目」の「ウィジェット」をオフにすることで、ウィジェットそのものを表示しないようにすることが可能。ただし、タッチデバイスでは、これをオフにしても画面左からのスワイプインで表示されてしまうのは回避できないようだ。
カスタマイズされた広告は、広告IDのオフで
ここからは広告の表示と非表示とは別の話とはなるが、Windows 11の広告関連の設定として広告IDがある。広告IDを無効にすることで、個別にパーソナライズされた広告が表示されなくなる。ただ、この設定を行なったとしても、それはWindowsの広告IDを使うアプリなどにおいてパーソナライズされた広告が表示されなくなるだけで、表示される広告の数そのものに変更はないため注意したい。
この設定について、一部は既にオフになっている人もいるかもしれない。というのも、Windows 11は初回起動時に「Windows Out Of Box Experience(OOBE)」と呼ばれるユーザーが入力可能な初期設定を実行している。具体的にはWindows 11初回起動時の「ようこそ」画面のことを指すが、ここでの「プライバシー設定」にて、あらかじめオフにすることもできるからだ。
ただし、OOBEはPCを提供するメーカー側がどのような設定を提示するか取捨選択できるため、この「プライバシー設定」についても最大7つの設定が表示可能だが、実際にどのくらい表示されるかはメーカーに依存する。そのため、これら設定が表示されない可能性もある点には注意が必要だ。
設定の方法は、「スタート」→「設定」にある「プライバシーとセキュリティ」→「全般」を開き、「アプリに広告IDを使用して個人用に設定された広告を表示させる」の項目をオフにすればOKだ。
ほかにもここでは「Webサイトが言語リストにアクセスして、ローカルに関連するコンテンツを表示できるようにする」や「設定アプリでおすすめのコンテンツを表示する」、「設定アプリで通知を表示する」あたりをオフにしておけば、余計な通知はされなくなるだろう。
また、「診断とフィードバック」にもいくつか気になる設定が存在する。ここの「オプションの診断データを送信する」を見ると、閲覧したWebサイト、アプリと機能の使用方法、拡張エラーレポートに関するデータが含まれるという表記があるので、気になる人はここもオフにしておくのがいい。また、「カスタマイズされたエクスペリエンス」も広告やヒント、おすすめに関するデータに関する内容のため、オフにするのがいいだろうだ。
ここまではPCごと個別の設定だったが、それらとは別にログイン時に使用するMicrosoftアカウントにも広告に関する設定がある。WebサイトでMicrosoftアカウントにログインして、「プライバシー」の設定を開く。すると「広告とプロモーション コミュニケーションを管理する」項目の中に「パーソナライズされた広告の設定」があり、ここで「ユーザーが関心のある広告を表示する」というチェックをオフにすることで、個々のPCだけではなく、Microsoftアカウントに対しての広告表示の設定もオフにすることができる。
そのほかにも、ブラウザにある広告に関連する設定をオフにすることで、広告表示が軽減される場合もある。今回はMicrosoft Edgeのみチェックするが、ほかのブラウザにも類似の設定があるため、気になる場合は調べてみてほしい。たとえばEdgeの場合は、ブラウザの「設定」を開いたら「プライバシー、検索、サービス」の項目を開く。そして「個人用設定 & 広告」のチェックボックスをオフにすることで、こちらのブラウザ履歴や使用状況、お気に入り、閲覧アクティビティ、その他閲覧データをMicrosoftが保存できなくなるため、これによりカスタマイズされた広告が表示できなくなる寸法だ。
ブラウジング時の広告表示はWebサイトの作りにもよるため、これで広告が表示されなくなるようなことはないが、少なくともこの設定変更により、こちらのブラウジング関連の情報をMicrosoftに渡さずに済むという点において役に立つのは確かだ。
OSの広告表示はユーザーにとって本当によい「体験」なのか?
以上、Windows 11の広告設定に関して、色々とチェックしてみた。こうした提案と称した広告の表示について気にならない人はいるかもしれないし、まったくのPC初心者であれば、むしろMicrosoftのサービスなどと出会えるいい機会になるかもしれない。しかし使い慣れた上級者や、既に別のサービスを利用しているユーザーが煩わしく感じるのも確かだ。
2024年9月現在のMicrosoft公式サイトでのWindows 11 Home(ダウンロード版)の価格は1万9,360円。現時点では、有料のOSなのにMicrosoft自社の広告が多いのはやや納得しがたいが、今後OS内の広告表示が広く認知され、サービスの契約者が増えるようになっていくと、Windowsが無料配布される日が来るのかもしれない。