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小型ゲーミングPCの作り方!低価格でGeForce RTX 4060搭載!さらにCPUを2名にプレゼント!
2023年10月10日 06:24
2023年もPCゲームは盛況だ。エーペックスレジェンズやVALORANTなど対戦型FPSは変わらずに盛り上がり続け、ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON、Starfield、ストリートファイター6など人気ゲームも多数発売された。これからゲーミングPCを自作しようと考えている人もいるだろう。
そこで、今回は最新世代のCPUとビデオカードを使いながら、10万円台前半の比較的手頃な価格に抑えつつ、設置スペースにも悩まなくて済むコンパクトなゲーミングPC自作プランを考えていきたい。ゲーミングPCは欲しいけど、大型のデスクトップPCを設置するのはちょっと……と思っている人には参考になるはずだ。
小型のゲーミングPCなので、マザーボードやPCケースはMini-ITXサイズから選ぶことにする。Mini-ITX規格はマザーボードのサイズが170×170mmで、ATX規格の305×244mmに比べるとかなり小さいのが最大の特徴だ。Mini-ITXサイズのPCケースもそれに合わせて非常に小型の製品も存在しているが、小さくなるほどパーツの組み込み難易度は高くなっていく。今回は、パーツの組み込みやすさ、拡張性やメンテナンス性の高さも考慮して選びたい。
そして、ゲーミングPCの心臓部と言えるビデオカードには一番予算を割り振る。10万円台前半という予算でも、最新世代のミドルレンジクラスを選び、FPSなら高フレームレートでプレイでき、描画負荷の高い重量級ゲームも遊べる環境を目指す。
そして、その条件を満たせるプランとして考えたのが以下の通りだ。
カテゴリ | メーカー名・製品名 | 実売価格 |
---|---|---|
CPU | Intel Core i3-13100F(4コア/8スレッド) | 1万8,000円前後 |
マザーボード | ASRock B660M-ITX/ac(Intel B660、Mini-ITX) | 2万2,000円前後 |
メモリ | Micron Crucial DDR4 Pro CP2K16G4DFRA32A(DDR4-3200 16GB×2) | 9,000円前後 |
ビデオカード | MSI GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC(GeForce RTX 4060) | 4万5,000円前後 |
ストレージ | ADATA LEGEND 800 ALEG-800-2000GCS(PCI Express 4.0 x4、2TB) | 1万1,000円前後 |
CPUクーラー | CPU付属 | - |
PCケース | Cooler Master MasterBox NR200P(Mini-ITX) | 1万4,000円前後 |
電源ユニット | Cooler Master V SFX Gold 650W(650W、80PLUS Gold) | 1万8,000円前後 |
合計 | 13万7,000円前後 |
CPUは最新世代から選ぶことにしたので、第13世代Coreの「Core i3-13100F」を選択した。GPUを内蔵していない「F」型番なので、GPU内蔵の「Core i3-13100」よりも3,000円ほど安いのがポイント。最近のゲームはメニーコアへの対応が進んでいるため、4コアでは物足りないように思えるが、ミドルレンジのビデオカードと組み合わせる場合、CPU性能がゲームに影響を与える前に、ビデオカードの性能が限界に到達するケースが多い。そのため、2コアのCeleronやPentiumを選ぶ手もあるが、普段使いの快適度まで考えてCore i3-13100Fとした。
なお、人気の6コアCPUであるCore i5-13400Fに交換した場合の結果も後半に掲載する。
マザーボードは、Core i3-13100Fに対応するMini-ITXサイズで価格も手頃なASRockの「ASRock B660M-ITX/ac」を選択した。6フェーズ電源のシンプルな作りだが、Wi-Fi 5やBluetoothに対応、PCケースのフロント用USB Type-Cコネクタを備えるなど機能面は充実している。Xboxワイヤレスコントローラなど無線型のコントローラを使いたい人にはうれしいところだろう。
ただし注意したいのは、第13世代Coreに対応するにはUEFIバージョン5.03以上が必要だ(それ以前は第12世代Core対応)。購入時にはUEFIバージョンは確認しておきたい。
ゲーミングPCで最も重要になるビデオカードは、NVIDIA最新世代のミドルレンジGPU「GeForce RTX 4060」を搭載するMSIの「GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC」を選択した。GeForce RTX 4060は発売当初は価格の高さが指摘されていたが、2023年9月末には8,000円ほど安くなり、お買い得感がアップ。この製品はデュアルファンで2スロット厚とコンパクトなのでMini-ITXケースにも組み込みやすいのがポイントだ。
GeForce RTX 40シリーズは、新アーキテクチャによって性能の底上げが図られているのはもちろん、アップスケーラーとフレーム生成を組み合わせ、フレームレートを向上させるDLSS 3に対応し、高画質&高圧縮の動画コーデック「AV1」へのハードウェアエンコードが可能など、機能面が向上しているのも特徴だ。GeForce RTX 4060の実力は後半のベンチマークで確認してほしい。
小型のゲーミングPCを作る上で重要となるPCケースは、Cooler Masterの「MasterBox NR200P」を選択した。185×376×292mmと幅と高さのないコンパクトサイズで、カード長330mm、3スロット厚までの大型ビデオカードに対応できる拡張性があり、最大7基のファンを搭載可能と冷却力にこだわることが可能。さらに、両側面や天面も取り外しが可能でパーツが組み込みやすいと今回の目的に一致するというのが最大の理由だ。高さ155mmまでの空冷CPUクーラーや280mmクラスの簡易水冷クーラーも搭載できる。左側面は、通気性の高いスチールパネルと中が見えるのでドレスアップに便利な強化ガラスパネルの2種類を標準で付属。目的に合わせて選べるのも楽しい。
そのほか、メモリはDDR4-3200の16GB×2枚のセットで合計32GBとゲームプレイには十分すぎる容量を確保。SSDは、近年のゲームは1タイトルで100GBを超えることもあり、容量重視でADATAの「LEGEND 800 ALEG-800-2000GCS」を選択。PCIe 4.0対応の2TBモデルで1万1,000円前後という低価格が強みだ。電源は、PCケースがSFX対応なので、Cooler Masterの「V SFX Gold 650W」とした。今回使用するビデオカードの推奨電源は550W以上だが、将来的なアップグレードも視野に入れ、ちょっと余裕を持たせて650Wにしている。
パーツの組み込みもケーブル接続もラクラク
ここからは組み立てとなるが、PCケースのMasterBox NR200Pは両側面、天面パネルも外せるのでパーツの組み込みに苦労することはない。マザーボードにCPU、CPUクーラー、メモリ、SSDを接続してPCケースに固定。電源ユニットに必要なケーブルを接続してPCケースに取り付け、マザーボードに電源類を接続、PCケースのUSBやスイッチ類をマザーボードに接続、ビデオカードを挿し込むという流れだ。
最後にPCケースの天面に付属のファン2基を取り付けて、マザーボードにファンの電源を接続してパネルを閉じれば作業は完了だ。自作経験者ならスムーズに作業できるだろう。
組み上がったところで、あとはOSインストールと各種ドライバの導入を済ませれば使うための準備は完了だ。
人気ゲームはどこまで快適にプレイできる?CPUとGPUの温度もチェック
次は性能チェックといこう。まずは定番のPCの基本性能を測る「PCMark 10」、3D性能を測る「3DMark」、ストレージの速度を測る「CrystalDiskMark」を実行しよう。
比較対象がないので分かりにくいが、スペック通りの性能が出ていると言ってよいだろう。3DMarkはGeForce RTX 4060のほぼ平均スコアが出ており、Core i3-13100Fでも性能を引き出せているのが分かる。SSDについては、PCIe 4.0対応としてトップクラスではないが、ゲームプレイで困ることはない速度だ。
小型ということで冷却力が気になる人もいるだろう。OS起動10分後をアイドル時、3DMarkのStreet Test(Time Spy)を10分間実行したときの最大値を高負荷時として、CPUとGPUの温度をモニタリングアプリの「HWiNFO Pro」でチェックした。
高負荷時でもCPUは78℃、GPUは68.1℃と心配のいらない温度。CPUは付属クーラーということもあってやや高めだが、GPUはよく冷えている。天面に2基のファンがあり、天面、側面とも通気性に優れるメッシュ構造なので冷却力は十分確保されていると言ってよいだろう。SSDに関してもOS起動10分後、CrystalDiskMarkを3回連続実行した時の温度を「HWiNFO Pro」でチェックしてみた。
2回目までは70℃以下と問題ないが、3回目は78℃まで上昇。サーマルスロットリングによる速度低下も見られた。ゲームプレイでここまで負荷がかかることはないが、動画編集で大容量ファイルをコピーするなどSSDに長時間負荷がかかる作業をするなら、ヒートシンクを追加したほうがよいだろう。
次は実ゲームを試そう。タイトルとテスト条件は以下の通りだ。
- レインボーシックス シージ(ゲーム内のベンチマーク機能を使用)
- エーペックスレジェンズ(トレーニングモードの一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測)
- ストリートファイター6(CPU同士の対戦を実行した際のフレームレートをCapFrameXで計測)
- ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(ミッション「武装採掘艦破壊」で一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測)
- Starfield(ジェミソンのロッジ周辺の一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測)
- サイバーパンク2077(ゲーム内のベンチマーク機能を使用)
レインボーシックス シージは4Kでも平均79fpsと十分快適にプレイできるフレームレートを出した。フルHDなら平均264psと240Hzの高リフレッシュレート液晶を活かし切れるだけのフレームレートが出ている。エーペックスレジェンズはフルHDで平均220.1fps、4Kでも平均91fpsと十分高いフレームレートを発揮できている。
ストリートファイター6は最大120fpsまで設定できるが、対戦時は最大60fpsのゲームだ。WQHDまではほぼ60fpsで動いており、最高画質でも快適にプレイできる。さすがに4Kだとカク付いた動きになってしまう。
ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICONは最大120fpsのゲームだ。武装採掘艦破壊は特に描画負荷の重いミッションで、どの解像度でも120fpsには届いていないが、WQHDまでは快適なプレイの目安である平均60fpsをクリアできている。
Starfieldは、現在のPCゲームで最も描画負荷が重い部類のゲームだ。画質プリセットを「中」まで落とすことで、ようやくフルHDで平均60fpsを超えることができる。将来的にDLSSに対応を表明しているだけに、今後もっとフレームレートが出るようになることを期待したい。
サイバーパンク2077も描画負荷が非常に重いゲームだが、こちらはDLSS 3に対応しているため、画質プリセットを上位のレイトレーシング:ウルトラに設定してもフルHDで平均124.5fps、WQHDで平均83.5fpsに到達できている。レイトレーシングをバリバリ効かせてもWQHDまで快適にプレイできるのはDLSS 3の威力があってこそだ。
CPUとGPUを変えると性能はどう変わる?
ここからは、パーツを変えた場合、どう性能が変わるか試していきたい。CPUをワンランク上のCore i5-13400F(10コア/16スレッド)、GPUをワンランク上のGeForce RTX 4060 Ti(8GB)を搭載したGainwardの「GeForce RTX 4060 Ti Pegasus 8GB」に変更した場合の性能をチェックする。
今回のプランであるCore i3-13100FとGeForce RTX 4060のほか、CPUをCore i5-13400Fに変えた場合、ビデオカードをGeForce RTX 4060 Tiに変えた場合、CPUとGPUの組み合わせをCore i5-12400FとGeForce RTX 4060 Tiに変更した場合の合計4パターンのベンチマーク結果を掲載する。タイトルはエーペックスレジェンズとARMORED CORE VI FIRES OF RUBICONとサイバーパンク2077で、テスト条件は上記と同じだ。
エーペックスレジェンズとサイバーパンク2077については、ワンランク上のGeForce RTX 4060 Tiに変えることで15~23%ほどフレームレートが上昇。CPUによる差は小さく、Core i3-13100Fでもプレイに問題ないことが分かる。
例外的なのは、ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICONだ。ミッション「武装採掘艦破壊」はCPU負荷も非常に高く、Core i3-13100FではフルHD解像度だとCPUパワー不足でフレームレートが伸びていない。そのため、GeForce RTX 4060 Tiに変えてもフルHDではフレームレートがほとんど変わらない現象が起きている。
ここまで極端なゲームは少ないが、フルHD解像度はGPUパワーが十分足りていることがあり、CPUパワーがフレームレートに影響を与えやすいのは確かだ。これはGPUの性能が上がるほど顕著になる。ハイエンドクラスのビデオカードを使う場合、CPUパワーの重要度も高くなるというのは覚えておきたい。
参考までにCore i3-13100FとCore i5-13400FのCinebench 2024の結果も掲載しよう。CGレンダリングでシンプルにCPUパワーを測定するベンチマークなので、4コア/8スレッドと10コア/16スレッドの差が思いっきり出ている。動画編集などCPUパワーが求められる作業も考えているなら、上位CPUを選んだほうが快適だ。
続いて、今回のプランではCPUクーラーはCPU付属のクーラー(いわゆるリテールクーラー)を使用しているが、大型の空冷クーラーに交換した場合、温度や騒音がどう変わるのか試してみたい。
今回のPCケースは高さ155mmまで対応と、多くの空冷クーラーを取り付け可能だが、ここではThermaltakeのTOUGHAIR 110を用意した。高さは114mmで、直径6mmのヒートパイプを4本備え、ヒートシンクも大型とリテールクーラーよりも確実に冷えるはずだ。スペック上の動作音は23.6dBと非常に低く、静音性の向上も期待できる。
温度と騒音はどう変化するか。OS起動10分後をアイドル時、Starfieldを10分間プレイしたときの最大値を高負荷時として、CPUの温度をモニタリングアプリの「HWiNFO Pro」、動作音をPCケースの天面から10cm離れた位置に騒音計を設置して計測した。
冷却力の差は圧倒的だ。TOUGHAIR 110に交換するとアイドル時で4℃、高負荷時は23℃も変わっている。動作音もリテールクーラーは最大47.5dBで実際使っていてもうるさいと感じるほど。しかし、TOUGHAIR 110では高負荷時でもアイドル時からわずかに上がるだけで、断然静かになる。冷却力、静音性の両方を高めたいならCPUクーラーを交換すべきだろう。
WQHDまで快適な小型ゲーミングPCが完成
PCケースのMasterBox NR200Pは、Mini-ITXケースとして小さいほうではないが、その分、パーツを組み込みやすく、冷却力も確保されており、自作初心者でも挑戦しやすいプランに仕上がっている。それでもATXやmicroATXケースよりはコンパクトなので、小型のゲーミングPCを求めている人のニーズにも応えられるハズだ。
ビデオカード以外の予算を抑えることで、13万円台でWQHDまで多くのゲームを快適にプレイできる性能を実現しており、コストパフォーマンスも上々と言える。これからゲーミングPCの自作を考えている人の参考になれば幸いだ。
今回の記事で使用したCPU「Core i3-13100F」と「Core i5-13400F」をそれぞれ1名様にプレゼントいたします。ふるってご応募ください。
応募に当たっては、プレゼント応募の決まりをご確認の上、下記のフォームから申し込みを行なってください。なお、どちらも記事制作に際して一度開封した製品となり、応募時にCPUの種類は選べません。あらかじめご了承ください。
どのプレゼントにも共通する決まりを以下に挙げます。詳しい応募方法は、各プレゼントごとの説明をご覧ください。
・当選者の発表は、商品の発送をもって代えさせていただきます。
・ご応募いただいた方の個人情報は発送のためだけに使用し、当選者決定後、データは削除します。
・発送は宅配便または普通郵便にて行ないますが、長期不在、受け取り拒否などで未着の場合は当選を無効とさせていただきます。
・ご応募は日本国内に在住の方に限らせていただきます。
・本人以外の仮名や家族名義での応募は無効とさせていただきます。
・ご応募はおひとり様1通とさせていただきます。複数の応募を確認した場合は無効といたします。
・贈呈品につき、メーカーによる通常保証を受けられません。予めご了承ください。
応募方法
応募方法 :上記の条件を満たし、PC WatchのX(旧Twitter)アカウント(@pc_watch)をフォローの上、下記応募フォームに必要事項を入力して送信してください
応募締切 : 2023年10月17日(火) 11:59まで