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「REON POCKET」が買えないなら、ジェネリックなペルチェクーラーは?

 今年(2023年)の夏はとにかく暑い。8月に入り気温は35℃を超え、特に本州は猛暑と言える状態だ。

 筆者は7月末に台湾へ無駄に渡航してきたが、正直台湾の方がまだマシに思えたほど。
こういった時は皆冷却グッズが気になってくるところなのだが、ちょうど筆者が同じく7月末にレビューした「REON POCKET 4」の記事について、「長い」、「物売ってないのかよ」など魯肉飯も喉を通らなくなるような意見を頂戴したため、今回は今買えるペルチェ素子を使った冷却グッズを簡単に紹介していこうと思う。

ペルチェ素子とは

 異なる金属や半導体を直列に接合して電流を流すと接合部分で吸熱もしくは放熱が行なわれる。冷える部分の反対側は逆に熱を持ってしまうためここをいかに放熱するかがポイントとなる。

 そして扇風機とは違い直接冷えるため、風が苦手な読者には向いているが、その一方で冷感に人間側が慣れてしまう。その対策をどうするかメーカー側の課題と言えるだろう。

YOCOM 瞬間冷感首掛け扇風機

YOCOM 瞬間冷感首掛け扇風機

 首回りに2つのペルチェ素子を搭載したネックバンド型のクーラーとなる。

 また、ペルチェ素子の背後に2つの冷却ファンが搭載されており、ペルチェ素子による冷感、ファンによる空冷どちらにも対応する。基本的に一定に冷やすことしかできないため長時間の連続動作には向いていない。

 動作時間はファンのみの動作で最大12時間、ファン+ペルチェで最大3時間だ。質量は320gとなっており、少々メカメカしいデザインではある。左右に2,000mAhずつ、合計4,000mAhのバッテリを内蔵。充電はUSB Type-Cから行なうことができる。

 同様の見た目の製品はほかにもあり、まさに「2023年最新版」にふさわしい製品ではあるが、このYOCOM製については、国内のデンキ物語(日昇商事株式会社)が取り扱っているところが多少プラスに働く。そして価格も執筆時点で同じ見た目の商品よりも安い。

コイズミ ネッククーラーKNC-0511

コイズミ ネッククーラーKNC-0511

 こちらもネックバンド型のクーラーとなる。左右に2つのペルチェ素子が内蔵されている。

 バッテリは内蔵しておらず、モバイルバッテリで駆動するタイプとなる。そのためどうしてもケーブルを気にする必要があるため注意したい。逆に言えば長期保管した時のバッテリの劣化についてはあまり考えなくても良いというメリットもある。

 動作モードは強/中/弱の3つだ。基本的に一定に冷やすことしかできないため長時間の連続動作には向いていない。

 本体と給電側は専用のコントローラ付きのケーブルで接続する。そのためUSB Type-Aポートが必要になる。強モードで使用した場合、5,000mAhのモバイルバッテリで約4時間動作する(電源を入れてから60分で自動的にOFFにする機能あり)。

 カラビナで吊り下げられる収納ベルトと収納ポーチが付属しており、持ち運びまで考慮されているところはうれしい。

 KNC-0512が旧モデルとなるが、KNC-511と仕様は同じだ。

ドウシシャ Tempo LOOP クール&ホット デバイス 2電源対応(充電式・USB電源)

ドウシシャ Tempo LOOP クール&ホット デバイス 2電源対応(充電式・USB電源)

 ドウシシャのTempoブランドの首掛け型クーラーだ。カードホルダーのように首からシンプルにぶら下げられるという。

 こちらはネックバンド型が多く占めるペルチェ素子を使ったクーラーの中では珍しい形で、バッテリとペルチェ素子を分離している。

 何よりもTempoシリーズはREON POCKETと同じく冷感だけでなく温熱にも対応しており、夏だけでなく冬でも使えるというところは大きい。

 首側にすべてまとめていない分、バッテリの持ちも長い。冷感時は強で約3時間、弱で約6.5時間。温熱では強で約4時間、弱で約5時間動作するという。連続動作は1時間となっており、ドウシシャではこの1時間を1サイクルと表現している(例:3時間=3サイクル)。

 筆者はこのサイクルという言葉から冷感慣れ防止の機能が搭載されているのかと思ってしまったが、こちらも基本的に一定に冷やすことしかできないため長時間の連続動作には向いていない。

ドウシシャ Tempo Clip クール&ホット デバイス 2電源対応(充電式・USB電源)

ドウシシャ Tempo Clip クール&ホット デバイス 2電源対応(充電式・USB電源)

 同じくドウシシャのTempoブランドのクリップ型……もといREON POCKET型だ。

 基本的な機能としてはTempo LOOPと同じで、こちらも冷感と温熱どちらも対応できる。

 こちらはケーブルの煩わしさがないところがポイントとなるが、バッテリの動作時間については短く冷感時は強で約1.5時間、弱で約2.5時間。温熱では強で約1.5時間、弱で約2.5時間動作するという。

THANKO ネッククーラーSlim TKNNC22 (ホワイト/TKNNC22WH)

THANKO ネッククーラーSlim TKNNC22 (ホワイト/TKNNC22WH)

 サンコーから発売されているネッククーラーのシリーズの中でスリムなタイプの製品となる。名前の通りネックバンド型だが、よくある弱、強モード以外にも冷感持続ゆらぎモードを搭載しているところが特徴と言えるだろう。

 ペルチェ素子のクーラーについては冷感慣れが課題になるのだが、この製品についてはゆらぎモードで対策を行なっている。

 バッテリの動作時間については、強モードで最長1時間、最長2時間とSlimだからなのか少し短め。モバイルバッテリとの併用も検討したい。

LaFuture ハンディファン 冷却プレート付 手持ち扇風機 ライト クーラー 携帯扇風機

LaFuture ハンディファン 冷却プレート付 手持ち扇風機 ライト クーラー 携帯扇風機

 こちらはハンディファン型となるが、こういった製品にもペルチェ素子が入っている。どうせフルパワーでペルチェ素子を動かしても人間が冷感慣れしてしまうのであれば必要な時だけ当てれば良いやと思う読者向けだ。

 ペルチェ素子の反対側にはかわいい「宇宙飛行士」ライトが付いている……ライトはありがたいが、宇宙飛行士はなくても良かったのかなと筆者は思うところだ。

ジェネリックREON POCKET? なドウシシャ Tempo Clipを買ってみた

 最後に今回紹介したアイテムの中でTempo Clipを実際に買ってみたのでREON POCKETと比較していこうと思う。

 筆者がAmazonで購入価格した価格は1,361円だが、執筆時点では1,280円まで値下がりしている。販売元は有象無象なところが多いが、出荷元はAmazonなので安心できる。

 価格だけREON POCKET 4と比較すると10分の1以下の価格で似たようなコンセプトの製品が買えてしまうので衝撃的だ。

外観

 外観はREON POCKETがシュッとした流線型のデザインに対して四角形の箱という感じだ。

Tempo Clip
Tempo Clipの裏面、金属プレート部分が冷える
REON POCKET 4(写真右)との比較

装着時のイメージ

 Tempo Clipは黒い部分が吸気口となっており、ペルチェ素子の熱を本体上部のスリット部分のプレート送風口から排出する。そのため、この吸気口とプレート送風口についてはなるべく開放しておく必要がある。REON POCKET 4では吸気口は完全に服の中になってしまうのだが、完全に覆ってしまわないようなデザインで避けている。

Tempo Clipの装着イメージ
Tempo Clipの位置が下がると吸気口を覆ってしまう
REON POCKET 4の装着イメージ

動作について

 Tempo Clipについては、REON POCKETのようなスマホ連携や温湿度センサーなどもない。電源オンになったら強、弱のモードはあるものの、ただ一定のパワーで冷やすだけとなる。
そのため、ハードウェア側で冷却慣れについての対策が全くできていないため使用開始から5分ほどで何も感じなくなってしまう。

 逆に言えば電源オンからの5分間については、REON POCKET相当の体験をすることができるのも確かだ。

 この先冬に役立つと考えられる温モードについては、冷却慣れについての心配はないため一定のパワーで温めても問題なく利用できる。この値段で電子カイロとしてはなかなか良いのではないだろうか。

 動作音については、冷モードでも温モードでも室内ではファンの音がそれなりに感じられる。自作PCユーザー的に言えば、マザーボードについているようなチップセットファンがそのまま後頭部にあるイメージだ。

Tempo Clip 冷モード強の温度
Tempo Clipを冷モードでしばらく使用し、排熱が追いつかない場合の温度
温モード強の温度

Tempo Clipはアリか

 REON POCKET 4を使っている筆者から言えば値段なりと言いたいところだが、温モードについてはそれなりに使えることを考えるとアリと感じた。

 まずはお試しでTempo Clipを使ってみてコンセプトは悪くないが、もう少し良くしたいと思ったのであればREON POCKETに手を出すというのも良いのかもしれない(REON POCKETにすれば解決するというわけでもないのだが……)。