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マクニカ、最先端AI技術で”早期認知症診断に関わる”記憶能力を予測、 脳波分析を用いた深層学習アプローチの論文が国際会議EMBC2024にて採択

株式会社マクニカ(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:原 一将、以下マクニカ)は、7月15日にフロリダ州オーランドで開催された生体医工学分野の代表的な国際会議であるIEEE Engineering in Medicine and Biology Society(EMBC)2024において、論文「Label Distribution Learning for Memory Decline: A Deep Learning Approach Using EEG Analysis」(邦題「記憶力低下のためのラベル分布学習: 脳波分析を用いた深層学習アプローチ」)が採択されたことを本日発表いたします。

■研究の背景
現代社会において、アルツハイマー型認知症や軽度認知障害(MCI)などの認知機能の低下は、高齢化に伴いその人口が増大しており、深刻な社会問題となっています。症状が軽いMCIの段階で早期発見、治療することができれば、認知症症状の改善や発症を遅らせる効果が確認されており、いかに早期段階で発見できるかが認知症患者の増加を防ぐためには非常に重要となっています。現在、認知症検査の手法は血液検査など既存の評価方法がありますが、マクニカのBrain AI Innovation Lab(以下BRAIL)*1では、脳の認知機能に着目し、既存の評価手法の補完となる新たな評価手法の検証を行っています。そしてこの度、記憶力領域に関する新たな評価手法に関して得られた成果をポスター論文として発表しました。

■論文の概要
<検証内容>
認知機能低下の主な要因の一つである記憶力に着目し、脳波測定結果から「記憶能力」を予測するモデルを構築しました。個人の認知能力の予想モデルの精度は、最大90%に達する精度を実現しました。
マックス・プランク研究所ライプチヒ「Mind-Brain-Body(以下LEMON)*2」のオープンデータから、以下2項目データを用いて分析を実施しました。


画像 :
概要図:The Instruction pipeline of the proposed model.

【使用データ】
① CVLT(California Verbal Learning Task): 16個の単語を記憶して、何個覚えていられるか、5回テスト実施し、短期メモリー、長期メモリーを評価する手法
② 脳波データ:休息状態の脳波測定結果

<分析手法>
重症度指標と期待値回帰アプローチを用いた記憶能力を予測する新しいフレームワークです。
この方法は「動的グラフ畳み込み神経ネットワーク(DGCNN)*3」と「ラベル分布学習(LDL)」という技術を活用しています。

LEMONの脳波データをDGCNNにより特徴点を抽出し、LDLによりCVLT結果を標準化しました。さらに、ラベルの分布を生成するためにガウス関数を使用し、モデルの最適化にはKullback-Leibler(KL)発散を損失関数*4として適用しました。LDLを用いることによって従来の方法とは違った、認知症の詳細な要因まで解釈可能なモデルを構築できることが示されています。

論文はこちらからご覧いただけます。
https://www.macnica.co.jp/business/ai/manufacturers/files/embc24-POC3poster-v4.pdf
https://www.macnica.co.jp/business/ai/manufacturers/files/Poc3_1-Page_abstract_final.pdf

なお、本論文はBRAIL(Wei Chen、Aldrin Domer、Kapeleshh KS)及びXi'an Polytechnic University Hong Ji教授による著作です。

■今後の展望
今回のEMBCにおいて、MCI認知症関連の研究発表が多数見受けられました。世界的に社会課題として認識されていると改めて確認し、今後MCI関連の研究やサービスが進展していく分野だと想定されます。
 BRAILでは、今回の論文は記憶流域に絞った分析を行いましたが、LEMONのオープンデータには複数の認知症関連尺度(リアクションスピードやタスク完了する速さなど)データが含まれており、今後はこれら記憶力以外の項目を加えて、複合的な認知能力の評価手法を検証していく予定です。
マクニカは、今後も人々の健康と福祉向上に資する先進的な技術開発に取り組んでまいります。

企業及び医療機関、研究機関にて、実際のタスクテストデータを用いた研究を進めることも可能なため、詳細な情報やお問い合わせは、以下のリンクよりご確認ください。

*1:BRAIL(ブレイル)は、Brain(脳)とAI(人工知能)を掛け合わせた『Brain-AI』により、自覚していない本質的なデータを脳から取り出し、課題を解決するアプローチを提供しています。国内外を問わずさまざまな製品パートナー及び大学、研究所のような学術的な組織との連携を行い、このようなパートナー連携を通して、脳科学の活用方法やアイデアのみならず、最先端の研究を基にした知見を社会と共有していきます。脳活動から生み出される情報は、社会に新たな価値を提供していくと考えています。BRAILは、脳科学がもたらす新たな価値に注目し、引き続き社会のデジタライゼーションの加速に加え、より良い人とデジタル社会とのかかわり方をパートナーとの研究、開発を基に提案、推進してまいります。
https://www.macnica.co.jp/aboutus/technology/ai/brail/

*2: Mind-Brain-Body(LEMON)は、153人の若年者と74人の高齢者を対象に、MRI、脳波、心血管測定、精神評価などを実施。心-体-感情の相互作用を研究するためのオープンデータセットです。

*3:動的グラフ畳み込み神経ネットワーク(DGCNN:Disordered Graph Convolutional Neural Network )とは、AIモデルで、グラフニューラルネットワークを採用していて、脳の各周波数の動的特徴量を捉えるために使用します。

*4:損失関数とは、機械学習モデルが予測した結果と正解との差を計算する数式のことです。
※本文中に記載の社名及び製品名は、株式会社マクニカおよび各社の商標または登録商標です。
※ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご承知ください。


株式会社マクニカについて


マクニカは、半導体、サイバーセキュリティをコアとして、最新のテクノロジーをトータルに取り扱う、サービス・ソリューションカンパニーです。世界26か国/地域92拠点で事業を展開、50年以上の歴史の中で培った技術力とグローバルネットワークを活かし、AIやIoT、自動運転など最先端技術の発掘・提案・実装を手掛けています。
マクニカについて:www.macnica.co.jp

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