2024年10月31日 14:00
IEEE(アイ・トリプルイー)は世界各国の技術専門家が会員として参加しており、さまざまな提言やイベントなどを通じ科学技術の進化へ貢献しています。
IEEE(アイ・トリプルイー)は、ブラジル、中国、インド、英国、米国の世界的なテクノロジーリーダーを対象とした最新の調査「2025年以降のテクノロジーインパクト:IEEEグローバルスタディ」の結果を発表しました。この調査では、2025年の最も重要なテクノロジーと、AIの市場成長、メリット、用途、スキルセットに関する予想を含む、今後のテクノロジートレンドに焦点を当てています。本調査と2025年以降のテクノロジーインパクトについてさらに詳しく知りたい方は、 https://transmitter.ieee.org/iot-2025/ をご覧ください。
■AIは来年最も重要なテクノロジーとなるが、まだ主流となるには程遠い
IEEEのテクノロジーインパクトに関する年次グローバル調査で、AIが今後1年で最も重要なテクノロジーのリストでトップに輝くのは2年連続となります。12以上のテクノロジー分野の中から、2025年に最も重要となるものを3つ選ぶように質問したところ、回答者が選んだのは次の通りでした。
・(58%)AI(予測および生成AI、機械学習、自然言語処理を含む)
・(26%)クラウドコンピューティング
・(24%)ロボティクス
その他の2025年の重要なテクノロジーには、メタバース、拡張現実、仮想現実、複合現実を含むクロスリアリティ(XR)(21%)、産業用モノのインターネット(19%)、量子コンピューティングを含む量子技術(17%)、電気自動車/EV充電(17%)が挙がりました。
しかし、大多数の回答者(91%)は、生成結果の正確性やディープフェイクの透明性など、この技術で何ができ、何をすべきかについて、国民の関心と認識がより深い理解と期待へとシフトするにつれ、2025年には生成AIに対する再評価の時が訪れることに同意しています。
生成AIの導入に関して、2025年に自社がどの段階に達すると予想するかという質問に対しては、ほとんどの回答者が積極的に取り入れる段階と予想しています。それでもなお、回答者の約4分の1は、課題があることを理由に自社のアプローチを再考するか、この技術の詳細な調査を開始するつもりであると回答しています。こうした洞察を踏まえると、来年に一般市場へ浸透するのは時期尚早であると言えます。
・(33%)大いに期待:大きな期待を寄せており、小規模プロジェクトで生成AIを試行する
・(24%)調査中:引き続き生成AIの実用的な用途を探し、メリットを見出す
・(20%)日常的に使用中:生成AIは日常業務の一部として付加価値をもたらしている
・(18%)課題あり:難題に直面した為、生成AIへのアプローチを再考する
・(5%)活動開始:生成AIの調査を開始する
■AIが世界のセキュリティ、教育、医療、エネルギー需要などを支援
データを最適化し、複雑なタスクを実行し、人間に近い精度で意思決定を行うAIアプリケーションとアルゴリズムに対して、来年最も実現性の高い用途としてテクノロジーリーダーが選んだものは次の通りです。
・(48%)リアルタイムでのサイバーセキュリティ脆弱性の特定と攻撃防止
・(39%)学習のカスタマイズやインテリジェントな指導システム、大学のチャットボットなどを通じた教育活動の促進
・(35%)ソフトウェア開発の支援・加速
・(33%)サプライチェーンと倉庫の自動化による効率向上
・(28%)カスタマーサービスの自動化
・(26%)疾患マッピングと創薬の迅速化
・(25%)公共電力源の自動化・安定化
■2025年のAI関連職務に求められる多様なスキル
生成AIアプリケーションの急速な普及に伴い、組織はそれらをワークフローに組み込む方法を評価し、必要な人材を見極めています。テクノロジーリーダーが2025年のAI関連職務に採用予定の候補者に求めているスキルの上位は以下の通りです。
・(40%)ソフトウェア開発スキル
・(35%)AIの倫理的実践スキル
・(34%)データ分析スキル
・(32%)処理を含むデータモデリングスキル
・(30%)ロボティクスのプログラミングスキル
■2025年にテクノロジーによるインパクトを最も受ける業界は、電気通信、金融サービス、メディア、エンタテインメント
この調査によると、2025年にテクノロジーによるインパクトを最も受ける業界の上位は以下の通りです。
・(45%)電気通信(2024年から+4%)
・(37%)銀行・金融サービス(同-2%)
・(32%)メディア・エンタテインメント(同+10%)
・(31%)製造(同±0%)
・(28%)自動車・運輸(同-3%)
・(28%)医療(同+3%)
■注目されている分野:人間に似たロボット、脅威を特定するロボティクスサイバーセキュリティ
社会に貢献するロボティクスの導入が世界的に増加しています。人間のようなヒューマノイドロボットは、非接触クリーニングから、病院内での配送、危険な環境下での処理、顧客への挨拶や高齢者の話し相手まで、さまざまな作業を自動化し、生産性を向上させ、コスト削減を可能にします。2025年には、テクノロジーリーダーの37%がヒューマノイドロボットの業務への導入を検討し、35%が導入開始され、18%が完全導入されると予想しています。
AIを使用したロボティクスサイバーセキュリティソリューションは、セキュリティ上の脅威をリアルタイムで監視、特定、フラグ付けし、データ漏えいや金銭的損失を防止します。2025年には、技術者の41%は、自社が業務にロボティクスサイバーセキュリティを導入し始め、33%は完全に導入し、23%は導入を検討すると予想しています。
■その他の注目されている分野:量子コンピューティング
量子コンピューティングは、現在の最先端スーパーコンピュータよりも1兆倍高い演算能力を発揮します。調査対象の技術者の3分の1以上(35%)は、自社の業務への量子コンピューティングの統合と導入は2025年に開始されると予想し、約3分の1(30%)は完全に導入され、4分の1以上(28%)は導入を検討すると予想しています。さらに、回答者は、企業の5分の2(44%)が今後3年以内に量子コンピュータを導入すると予想しています。
■本調査について
「2025年以降のテクノロジーインパクト:IEEEグローバルスタディ」は、ブラジル、中国、インド、英国、米国における銀行・金融サービス、消費財、教育、エレクトロニクス、エンジニアリング、エネルギー、政府機関、医療、保険、小売、テクノロジー、電気通信など、様々な業界で1,000人以上の従業員を擁する組織のCIO、CTO、ITディレクター、その他テクノロジーリーダーを含む355人を対象にして調査を実施しました。調査の実施期間は2024年9月13日~24日です。
■IEEEについて
IEEEは、世界最大の技術専門家の組織であり、人類に恩恵をもたらす技術の進展に貢献しています。160カ国、40万人以上のエンジニアや技術専門会の会員を擁する非営利団体で、論文誌の発行、国際会議の開催、技術標準化などを行うとともに、諸活動を通じて世界中の工学やその他専門技術職のための信用性の高い「声」として役立っています。
IEEEは、電機・電子工学およびコンピューターサイエンス分野における世界の文献の30%を出版、2,000以上の現行標準を策定し、年間1,800を超える国際会議を開催しています。
詳しくは http://www.ieee.org をご覧ください。