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グアーガム分解物は豚の腸内環境を改善し生産性を向上させる

摂南大学(大阪府寝屋川市、学長:荻田 喜代一)農学部応用生物科学科 井上 亮教授、太陽化学株式会社(本社:三重県四日市市、代表取締役社長:山崎 長宏)らによる研究グループは、グアーガム分解物は豚の腸内環境を改善し、生産性を向上させることを明らかにし、学術誌「Pathogens」のSpecial Issue "Modulation of Gut Microbiota & Microbiome in Pigs"に発表しました。

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仔豚写真

1. 研究背景について
これまでに畜産業界においては、病原微生物による感染抑制や成長促進のために抗菌薬が使用されてきました。しかし、薬剤耐性菌の出現に対する懸念から、抗菌薬の使用が禁止されるようになり、その代替としてプロバイオティクス※1を使用したり、プレバイオティクス※2を飼料に添加し、外因性のプロバイオティクスや内因性の腸内細菌の両方を最大限に増やしたりする試みが行われています。
グアーガム分解物(Partially Hydrolyzed Guar Gum:PHGG)は水溶性食物繊維で、ヒトやマウスなどにおいて優れた腸内環境改善作用が示されているプレバイオティクスですが、家畜への有効性については十分に検証されていませんでした。そこで、研究グループはグアーガム分解物の肉豚への有効性について検証を行いました。

2. 研究方法について
一般農場の594頭の仔豚を2つのグループに分け、離乳から出荷までの約半年間、コントロール群には通常の飼料を与え、PHGG群にはPHGGを0.06%含む飼料を与えました。試験開始から1ヶ月後と3ヶ月後に各群20頭ずつから糞便を採取し、腸内細菌叢および腸内細菌の代謝産物である短鎖脂肪酸※3を調べました。また、出荷するまでの死亡率と出荷日数※4を比較しました。

3. 主な研究結果について
PHGGの摂取により、肉豚の成長促進への関与が示唆されるPrevotella属菌やLactobacillus属菌などの腸内細菌が増え、有害菌と考えられているStreptococcus属菌などが減少しました。また、PHGGの摂取により、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸が有意に増加しました。
さらに、離乳から出荷までの死亡・淘汰率がほぼ半減(コントロール群の10.3%に対し、PHGG群では5.3%)し、出荷日数が約11日も短縮(コントロール群の169.6日に対し、PHGG群では158.6日)するなど、顕著な生産性向上作用もみられました。
以上のことから、PHGGは肉豚の腸内環境改善を介して豚の健康維持や体重増加に寄与すると考えられます。

4. 考察と今後の展望
本研究ではPHGGの肉豚の腸内環境改善作用や生産性向上に対する有効性が示されました。今後、さらなる検証を重ねることで、PHGGの家畜の健康維持や生産性向上への活用が期待されます。

■用語説明
※1 プロバイオティクス
腸内フローラのバランスを改善することによって宿主に好影響を与える生きた微生物、いわゆる善玉菌。
※2 プレバイオティクス
食物繊維やオリゴ糖など、善玉菌のエサとなり、それらを増殖させることにより宿主に有益に働く食品成分。
※3 短鎖脂肪酸
食物繊維やオリゴ糖などを腸内細菌が発酵してつくる有機酸。消化管のエネルギー源となり、バリア機能を強化し、消化管の運動を調節するなど、腸内環境の維持に重要な役割を果たす。また、全身のエネルギーとして使われたり、免疫を調節したりとさまざまな機能を有する。
※4 出荷日数
一般的に肉豚の場合は決められた出荷体重に到達した時点で出荷されるため、体重増加が速い個体ほど出荷日数が短くなり、生産にかかるコストが抑えられる。

■発表雑誌
雑誌名: 「Pathogens」 Special Issue "Modulation of Gut Microbiota &
Microbiome in Pigs"
論文名: Effects of partially hydrolyzed guar gum supplementation on
the fecal microbiotas of piglets
著者 : Ryo Inoue, Hikari Otabi, Taiga Yamashita, Naoya Takizawa,
Toshinobu Kido, Akira Sugiyama, Makoto Ozeki, Aya Abe,
Takamitsu Tsukahara
掲載日: 2021年11月1日
URL : https://www.mdpi.com/2076-0817/10/11/1420

■太陽化学株式会社概要
URL : https://www.taiyokagaku.com/
商号 : 太陽化学株式会社
代表者 : 代表取締役社長 山崎 長宏
所在地 : 〒512-1111 三重県四日市市山田町800番
設立 : 1948年1月
事業内容: 乳化剤、安定剤、鶏卵加工品、機能性食品素材等の開発、製造。
資本金 : 77億3,062万円

伝統的な天然素材から、最先端技術を応用した新規素材まで様々な食材・工業用途向素材を取り扱うと共に、研究開発型企業として、無限の可能性を秘めた機能性食品素材の創造に取り組んでいます。

■学校法人常翔学園 摂南大学
URL: https://www.setsunan.ac.jp/
摂南大学は、「人間力・実践力・統合力を養い、自らが課題を発見し、そして解決することができる知的専門職業人を育成する」ことを教育理念に掲げています。知的専門職業人とは、高度な専門知識を持ち、それを社会に生かすことができる人。そのために、国内外で高い評価を得ている研究者や社会の第一線での実績を持つ教員など、多彩な人材による優れた教授陣が、8学部と大学院6研究科間で相互に連携を図り、さまざまな角度から特色ある教育を行っています。2022年4月には国際学部を開設、経営学部を改編し、2023年4月には現代社会学部を設置構想中です。

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