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Pepperが相席までしてくれる「Pepper PARLOR」。東急プラザ渋谷にオープン
2019年12月3日 14:25
ソフトバンクロボティクス株式会社は、2019年12月5日に開業する商業施設「東急プラザ渋谷(渋谷フクラス)」内にオープンする「Pepper PARLOR(ペッパーパーラー)」のメディア内覧会を12月3日に開催した。
ロボットのPepperが注文受付のほか相席して会話したり、バリスタロボットがコーヒーを入れたり、清掃ロボットが活躍するカフェで、メニューの中心は世界各国をテーマにしたワッフルなどを用意。ソフトバンクロボティクスが運営する初の飲食店となる。
人がロボットと共にくつろげるカフェ
ソフトバンクロボティクス株式会社取締役の蓮実一隆氏は「やっと皆様にこのスペースをお見せできる」と挨拶を始めた。2014年の「Pepper」登場以来、すでに5年が経過し、Pepperには厳しい目も注がれている。この「Pepper PARLOR」は新たな挑戦だという。「まずロボットがいなくても素敵な店であり、何気なく横を向くと普通にロボットが働いているというのが理想」だと考えて店を作ったと述べた。
東急プラザ渋谷5Fにある「Pepper PARLAR」は広さ420平方m、162席あるカフェラウンジ。営業時間は午前10時から午後9時(ラストオーダーは午後8時30分)。
店舗内装デザインは森田恭通氏。自然素材を多く取り込むことを意識し、またロボットが動くための動線を考える必要もあったという。店舗グリーンプロデュースは尾藤裕子氏。ロボットの「Pepper」本体色が白であることから緑を強調し、ロボットと自然の強調をイメージした。ウォールデザインは左官職人の久住有生氏。自然とデジタルの融合をイメージした壁となっている。
ロボットは「受付pepper」のほか、「相席Pepper」、NAO、掃除ロボット「Whiz」がいる。受付のPepperは注文を受けるだけでなく、人の顔を見て、年齢や表情に合わせたワッフルをオススメすることもできる。「相席Pepper」は、7種類のアプリを使ってPepperが相席して話し相手になったりゲーム相手をしてくれる。Pepperの会話にはマイクロソフトの「りんな」を使用している。人がとくにカフェで使いそうな単語により反応するようにチューンされているという。なお言語は日本語、英語、中国語に対応。
ソファ席に配置された「NAO」はソフトバンクが後に買収したアルデバランロボティクスによって2006年に開発されたロボットで、15分に1回のタイミングで時報、1時間に1回ダンスを踊る。「Whiz」はソフトバンクロボティクスが展開中の掃除ロボット。普段は営業時間中は動かさず営業時間終了後やオープン前に掃除することで、人手を軽減する。
このほか、新しいロボットも登場予定だ。スタッフの省人化・軽労化を目指すものなのか、コミュニケーション系なのかについては検討中とのこと。
コーヒーもロボットがハンドドリップの腕を再現
提供されるコーヒーは高品質コーヒー豆を採用。コーヒーマシンは2タイプあり、Pepperが受け付ける注文と連動するマシンのほか、中川亮太氏による注ぎや蒸らしなどハンドドリップの技を再現することができる「Poursteady(ポアスティディ)」を採用。「Poursteady」はニューヨークにあるサーバーと常時接続されており、設定の微調整をWebから行なうこともできる。
このほか、オリジナルグッズ販売もある。12月5日から8日の4日間はオープン記念フェアが開催される。来店して公式インスタグラムアカウントをフォロー、タグ付け投稿した人、各日先着100人(合計400人)にオリジナルタンブラーがプレゼントされる。
上質と未来を体感、未来の日本を語るカフェに
東急プラザ全体のコンセプトデザイン、ブランディングを行なった柴田陽子事務所 代表取締役の柴田陽子氏は、東急プラザについて「成熟した大人のための夢や便利などがすべて叶う館としてデザインした」と語った。そして「館はテナントと共に作り上げるもの。一緒に館を盛り上げてくださるテナントを探した。高齢化社会を迎える日本の成熟した大人たちが日本はこれからこうなるのかとわくわくできる憩いの場を作りたいと考えた」と述べた。
そのときに焼き付いていたのが孫正義氏とPepperの記者会見の様子で、孫氏が「人にとっての脅威は孤独である」と語っていたことだったという。そこで2年前にソフトバンクロボティクスを訪ねて、Pepper PARLORが実現したと述べた。
そして、「ロボットは日々進化していくので人との関係がもっと豊かになると1つ1つシミュレーションを行なった。試練もたくさんあったが、素晴らしいカフェができた。『Pepper's Dream Cafe』だ。言いたいことは『寂しくないからね』ということ。素晴らしいワッフルを楽しみながら、将来の日本に思いを馳せてもらいたい」と語った。
「世界を旅するグルメ&スイーツワッフル」というコンセプトとメニューを考えたTHE BURN料理長の米澤文雄氏は、「いろんな国を旅している感覚になってくれたら」と考えたと述べた。162席のカフェの立ち上げは米澤氏にとっても初めての経験だったという。
柴田氏は「すべてが初チャレンジだった。皆が同じ方向を向いて熱量高いプロジェクトで居続けるのが苦労だったが楽しかった。シェフの料理を食べて、これでいけると思った瞬間は嬉しかった。シェフには時代とカフェのコンセプトを捉えていただいた」と語った。