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日本のときど選手、ストリートファイターV世界大会EVOで悲願の優勝

~世界最強を相手に奇跡の逆転劇

決勝戦は03:06:50あたりから

 破竹の勢いで優勝の勝ち星を積み上げ、現在、ストリートファイターVの世界ポイントランキングで1位を独走するアメリカのパンク選手。7月14日から16日の3日間にかけて行なわれた世界最大規模のトーナメント「EVO 2017」でも、並み居る強豪をすべてストレートで下し決勝戦に勝ち上がってきた。このまま今回も勝利は揺るがないかと予想されたが、日本のときど選手が逆転劇でパンク選手を打ち破り、見事、優勝の栄冠を手にした。

 カプコン認定の2017年公式ストリートファイターVトーナメントは世界各地で70戦ほど開催される。ここでの勝利ポイント上位選手が最後の「Capcom Cup 2017」への切符を手にし、2017年の覇者が決定する。

 通称EVOと呼ばれる「Evolution Championship Series」はその中の1つではあるが、最大規模の参加者を擁しており、プレイヤーにとって、そこでの優勝はCapcom Cupでの優勝に勝るとも劣らない栄誉とされる。

 今回のEVO 2017ストリートファイターV部門には、2,600人を超えるプレイヤーが世界各地から参加。2日間の予選を終え、最終日のトップ8トーナメントには、アメリカからパンク、ナックルドゥ、フィリピーノチャンプ、そして日本からはときど、かずのこ、板橋ザンギエフ、MOKE、MOVの5人が出場を果たし、日米決戦の構図となった。

 誰もがここで優勝してもおかしくない実力を持つが、やはりそのなかで頭1つ抜けていたのはパンクだった。トーナメント参加者による下馬評でも、今回はパンク一強という声が圧倒的だった。じっさい、ときども前日の予選でパンクに手痛い負けを喫しており、トップ8には辛くも敗者復活(ルーザーズ)で勝ち上がるかたちとなっていた。

 トップ8に無敗で進んだのは、パンク、板橋ザンギエフ、かずのこ、ナックルドゥの4人。ここでもパンクは、板橋ザンギエフとかずのこを3-0で下し、無類の強さをまざまざと見せつけ、決勝戦へ駒を進めた。一方、一度パンクに負けたときども、敗者復活戦を勝ち進み、決勝でパンクと再度相まみえた。

ときど選手

 1本目の試合は、パンクが完璧なプレイで1ラウンドを先取。パンクは、プロ選手ですら難しいわずか60分の2秒の隙を突くような反撃を何度も的確に決めてくるプレイヤー。だが、状況判断の正確さで引けを取らないときどが、パンクの心理の裏をかいた戦略でその後の2ラウンドを連取。EVO 2017ではじめてパンクに土をつけた。

 トップ8トーナメントは3本先取となっているが、敗者復活から進んだ選手は、先に3本先取した上で、さらに3試合勝つ必要がある。1本目を取ったとはいえ、ときど不利の状況は変わっていない。

 そういったなか、1本目の最後の決め手は、普通の試合ではまず目にすることがない全ボタン同時押し技からのコンボという大胆不敵な連携。数千人の観衆が見守る会場、そして優勝候補筆頭のパンクにもひるむことなく、落ち着いたプレイで先行した。続く2本目はパンクが取り返したものの、ときどは3本目と4本目を連取して、パンクをルーザーズへと引きずり下ろし、舞台は最終の3本先取へと移った。

 そこからは、勢いに乗るときどが終始優勢に試合を進める。5試合目の最初のラウンドは、完全に読み勝ち、パンクに攻撃を繰り出させないどころか、手をまったく触れさせないパーフェクト勝利。

 6試合目の最後は、ときどが使うキャラクター豪鬼のシンボルでありつつも、使いどころの難しさから出番が少ない必殺技「瞬獄殺」でフィニッシュ。会場の声援も最高潮に高まった。

 そして、迎えた最終7試合目、パンクは劣勢に追いやられつつもなお高度な反撃で対処するが、決め手に欠いた。読み合いを制したときどが、最後はコンボからの昇竜拳でパンクを沈め、3-0の結果で完封。悲願の優勝を手にした。

試合を終え互いの健闘を称えるパンク選手とときど選手

 ときどは、東大を卒業しながらもプロゲーマーという道を選んだ異色の選手。試合後の勝利者インタビューでは、「何か伝えたいことは?」と聞かれ、「Just one thing. I wanna say, fighting game is something so great! (1つだけ言いたいのは、格闘ゲームって本当に素晴らしい!)」と答え、友人やファンへの感謝とともに、格闘ゲームへの深い愛情を示し、観衆を魅了した。

 自国の選手が負かされた結果となったが、15年以上にわたりときどの試合を実況してきたアメリカ人解説者は、ときどのこの言葉を聞き、感極まって号泣。表彰式では、普段、物怖じせず、大会でもおどけてみせるパンクが悔しさに涙を滲ませ、日本ではTwitterで「ときど」がトレンド入りするほどの熱狂を巻き起こした。

 EVOは来年(2018年)、1月26日~28日の会期で、日本でも開催される。