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カリフォルニア大、100億分の1Wで稼働する温度センサー

~半導体のリーク電流で動作可能

 カリフォルニア大学サンディエゴ校は30日(米国時間)、僅か113ピコワット(pW)で稼働する温度センサーを開発した。これは、最先端技術の628倍低く、そして1Wの約100億分の1の数値である。この温度センサーで、体温を監視するウェアラブル端末やインプラント端末、スマートホームモニタリング端末などの駆動時間を飛躍的に向上させることが期待されている。

 本技術は、電源とデジタル温度表示でのエネルギー消費を最小限に留めることで実現された。

 電源としては、従来マイクロプロセッサなどの半導体では問題視されている量子トンネリング効果に伴うゲートリークという現象を逆手に取り、その現象で漏れる微量の電子をエネルギー源として回路を動かすといった手法を取った。

 温度をデジタル表示するには、温度によって変化する抵抗に電流を流し、続いて電圧を計測し、その電圧をADコンバータで温度に変換する手法が用いられている。

 これに対し研究チームは、温度を直接デジタル化するシステムを構築した。このシステムは、温度と関係なく一定時間でコンデンサを充電する電源と、温度に応じた時間で充電する電源を組み合わせている。いずれも超低電力で動く。

 温度が変化すると、温度依存の電源は、固定型の電源と同じだけの時間をかけて充電しようとシステムが適応を図る。内蔵のデジタルフィードバックループが、温度依存型電源を違う容量のコンデンサにつなぎ直すことで充電回数を均等にする。

 このコンデンサの容量は実際の温度に比例する。これにより、温度が下がると、温度依存のある電源はより遅く充電し、内蔵したフィードバックループがより小さなコンデンサに切り替えることで、充電回数が均等化され、それが温度としてデジタル表示される。

 この温度センサーは0.15mm×0.15mm大のチップに統合されており、-20℃から40℃で機能し、その機能はほぼゼロパワーなのにも関わらず他の温度センサーに劣らない。計測時間が1℃につき約1秒と比較的遅いが、人体や家の温度などは急激に温度が変わることは考えにくいため、想定される用途では問題はないという。

 また、この技術で人体や周辺環境などの低エネルギーソースからエネルギーを採取する新たなデバイスを作ることも可能になるという。

 本技術を考案した研究チームは、温度計測の精度向上に向けて今なお改善を続けているという。