イベントレポート
ASUS、ZenUIを採用したAndroidタブレット「ZenPad」
(2015/6/2 08:47)
ASUSは、COMPUTEX TAIPEIの開催前日となる6月1日に記者会見を開催し、同社スマートフォン「ZenFone」シリーズと同じZen UIを採用したタブレット「ZenPad」シリーズを発表した。
ZenPadは主に、Atom x3-C3200/3230(開発コードネームSoFIA 3G)ないしはAtom Z3500シリーズ(開発コードネーム:Moorefield)を搭載したタブレットで、7型、8型、10.1型と3つのサイズのディスプレイを搭載した、4つの製品が発表された。7型は「ZenPad 7」、8型は「ZenPad 8」および「ZenPad S 8.0」、10.1型が「ZenPad 10.1」となる。
いずれも、ZenFoneで採用されているASUSオリジナルのZen UIを採用しており、ZenFoneと同じ操作体系で操作できる。また、ASUS独自の色調拡張技術「VisualMaster」を採用しており、液晶TVに近い品質で動画などを再生可能。また、周辺機器にも工夫がされており、6つのスピーカーが内蔵されているフォリオケース、ZenPad S 8.0向けにはアクティブスタイラスペン、ZenPad 10.1にはキーボードドックなどが用意されており、さまざまな使い方が可能だ。
ZenUIを採用したタブレットとなるZenPadシリーズ、大多数にIntelのSoCを採用
ZenPadはOSにAndroid 5.0を採用したタブレット。ディスプレイのラインナップは7型、8型、10.1型の3種類で、8型が2モデルあり、合計で4製品が用意される。最大の特徴はZen UIが採用されていることだ。Zen UIが採用された製品は全体的に低価格に設定されることが少なくないが、ZenPadも基本的には低価格を狙った製品になると考えられる(ただし、今回ASUSは価格には一切言及しなかった)。
8型の1製品を除き、SoCにはIntelのAtom x3シリーズ(開発コードネーム:SoFIA 3G-R)と、Atom Z3500シリーズ(開発コードネーム:Moorefield)の2製品が採用されている。前者はIntel初のセルラーモデム内蔵SoCで、後者は現行のMeMo PadシリーズやZenFone2などに採用されているのと同じSoCだ。今回の発表会にはゲストとしてIntel 上級副社長 兼 クライアントコンピューティング事業本部本部長のカーク・スコーゲン氏がゲストとして呼ばれ、同社のSoCが製品に採用されていることをアピールし、記念撮影を行なった。
記者会見ではASUS会長のジョニー・シー氏がいくつかの特徴を紹介した。例えば、VisualMasterと呼ばれる機能では、ハイエンド液晶TVなどで採用されている色調やシャープネスを調整する機能が備わっており、動画や静止画を再生する時に、より明るい色調でシャープな映像で楽しめるとアピールした。
また、オプションとして提供されるフォリオケースには、6つのスピーカーが内蔵されているとし、外出時にそれを利用することで、より良い音で音楽や動画を楽しめるとした。8型のZenPad S 8.0には、「Z Stylus」と呼ばれるアクティブペンの機能が用意されており、1.2mmのペン先で150時間のバッテリ駆動が実現されていると説明された。さらにポートがUSB Type-Cになっており、Androidタブレットとしては初めてUSB Type-Cコネクタをサポートすることになるとアピールしている。
ASUSの日本法人の広報担当によれば、現時点での日本での投入予定は全製品未定とのことだった。ただし、一部製品ではスペックの中に日本向けのSKU表記があるなど、日本向けに投入される可能性がある。
Atom x3-C3200シリーズを採用したZenPad 7.0、7型WXGA液晶を採用
ZenPad 7.0は、SoCにSoFIA 3GことAtom x3-C3200シリーズを採用した製品となる。Wi-Fi版のZ370Cと、3G版のZ370CGがあり、メモリは1GBないしは2GB、ストレージは8/16/32GB(Z370C)ないしは8/16GB(Z370CG)となる。液晶ディスプレイは7型でWXGA(1,280×800ドット)となっており、IPS液晶が採用されている。
ZenPad 7.0 | |||
---|---|---|---|
型番 | Z370C | Z370CG | |
SoC | Atom X3-C3200 | Atom X3-C3230 | |
メモリ | 1GB/2GB | ||
ストレージ | 8/16/32GB | 8/16GB | |
ディスプレイ | 7型 WXGA(1,280×800) IPS液晶 | ||
Wi-Fi | IEEE 802.11b/g/n | ||
Bluetooth | 4.0 | ||
セルラー | - | 3G | |
カメラ | リア | 500/800万画素 | |
フロント | 30/200万画素 | ||
バッテリ | 駆動時間 | 8時間 | |
容量 | 13Wh | ||
OS | Android 5.0 | ||
サイズ | 189×110.9×8.7mm | ||
重量 | 272g |
Atom x3-C3200シリーズは、IntelからはAtom x3-C3200RKとして発表されている製品で、Rockchipが販売するクアッドコアのSilvermont+ARMのMali 450のGPUという構成になっている。3Gモデムを内蔵したC3230RKが公式には発表されているが、Wi-Fi版のみのC3200という製品は今回初めてその存在が確認されたことになる。
気になるAtom x3-C3200RKの性能だが、実際に展示機で触って見たところ、率直に言って最新のAndroidタブレットとしてはややもっさり感があった。例えば、Androidの設定を開こうとすると、アイコンをタッチしてからやや待たされる感がある。このあたりは元々低価格向けのSoFIA 3G-Rなので、性能よりも価格が重視される成長市場向けということだろう。もちろん、現時点では試作機の段階なので、実際の製品が登場するまでには改善される可能性もあるだけに期待したい。
サイズは7型ディスプレイを採用しているということで、189×110.9×8.7mm(幅×奥行き×高さ)/272gとコンパクトにまとまっており、13Whのバッテリを採用して8時間駆動が可能になっている。オプションでスピーカー内蔵のフォリオケースが用意されているほか、オレンジなどのカラーバリエーションが豊富に用意されており、ファッショナブルなデザインも特徴。
8型WXGA液晶を搭載したZenPad 8.0、LTE版はSnapdragonを採用
ZenPadシリーズには、8型の製品がZenPad 8.0、ZenPad S 8.0と2製品用意されており、ZenPad 8.0はより低価格向けの設定となっている。
ZenPad 8.0 | ||||
---|---|---|---|---|
型番 | Z380C | Z380CX | Z380K | |
SoC | Atom X3-C3200RK | Atom X3-C3200RK | Snapdragon MS8916/8929(8939?) | |
メモリ | 1GB | 1GB | 1/2/3GB | |
ストレージ | 8/16GB | 8/16/32GB | ||
ディスプレイ | 8型 WXGA(1,280×800ドット) IPS液晶 | |||
Wi-Fi | IEEE 802.11b/g/n | |||
Bluetooth | 4.0 | |||
セルラー | - | LTE/3G | ||
カメラ | リア | 500万画素 | 200万画素 | 500/800万画素 |
フロント | 200万画素 | 30万画素 | 200万画素 | |
バッテリ | 駆動時間 | 9時間 | 10時間 | |
容量 | 15.2Wh | |||
OS | Android 5.0 | |||
サイズ | 209×123×8.5mm | |||
重量 | 346g |
Atom x3-C3200RKを搭載したZ380C、Atom x3-C3230RKを搭載したZ380CXの2製品と、Snapdragon 410(MSM8916)ないしはMSM8929という製品情報には存在しないSoCを搭載しているZ380Kの2製品が用意されている。MSM8929の説明として、64bitという表記がされていたので、おそらくMSM8939の誤記でSnapdragon 615だと考えられる。
Atom x3-C3200RKを搭載したZ380CがWi-Fi版、Atom x3-C3230RKを搭載したZ380CXが3G版、Snapdragon 410/615を搭載したZ380KがLTE版という位置付けだ。日本で販売されるとすれば、LTE版のZ380Kになる可能性が高い。
液晶ディスプレイは8型WXGA(1,280×800ドット)のIPS液晶で、15.2Whのバッテリを搭載しており、Atom搭載版が9時間、Snapdragon搭載版が10時間のバッテリ駆動が可能。サイズは209×123×8.5mm(同)、重量は346gとなっている。また、ZenPad 7.0と同じようにスピーカー内蔵のフォリオケースが用意されている。
アクティブスタイラスが利用できるZenPad S 8.0、USB Type-Cコネクタを採用
ZenPad 8.0と同じく8型のディスプレイを採用したZenPad S 8.0の最大の特徴は、QXGA(2,048×1,536ドット)というアスペクト比4:3のディスプレイを搭載していることだ。このため、電子書籍などの4:3のアスペクト比で作られているコンテンツに最適だ。
もう1つの特徴はアクティブペンが利用できることで、細いペン先のアクティブスタイラスペンで、絵を描いたり手書き文字を入力したりできる。また、USB端子として、両方向で挿せるUSB Type-Cを採用しているのも大きな特徴と言える。
ZenPad S 8.0 | |||
---|---|---|---|
型番 | Z580CA | Z580C | |
SoC | Atom Z3560/3580 | Atom Z3530 | |
メモリ | 2GB/4GB | 2GB | |
ストレージ | 16/32/64GB | 16/32GB | |
ディスプレイ | 8型QXGA(1,536x2,048)IPS(ゴリラガラス3)/アクティブペン対応 | ||
Wi-Fi | IEEE 802.11b/g/n | ||
Bluetooth | 4.0 | ||
セルラー | - | ||
カメラ | リア | 800万画素 | 500万画素 |
フロント | 500万画素 | 200万画素 | |
バッテリ | 駆動時間 | 8時間 | |
容量 | 15.2Wh | ||
OS | Android 5.0 | ||
サイズ | 203.2×134.5×6.6mm | 203.2×134.5×6.9mm | |
重量 | 298g | 317g |
SoCはZenFone2にも採用されているAtom Z3500シリーズ(開発コードネーム:Moorefield)で、SoFIA 3G-Rなどに比べて高い処理能力を持っているため、快適に利用できる。SoFIA 3G-Rが成長市場向けとされているのに対して、Atom Z3500シリーズはGPUにPowerVR 6300シリーズを採用したハイエンドな性能を持っており、日本市場など成熟市場向けの製品と言える。なお、ZenPad S 8.0はWi-Fi版のみとなっており、3G版やLTE版は用意されない。
クラムシェル型として使えるキーボードドックが用意されているZenPad 10.1
ZenPad 10.1は10.1型WXGA(1,280×800ドット)液晶を採用したタブレット。キーボードドックが用意されており、ドッキングして利用するとクラムシェル型PCのように利用できる。
ZenPad 10.1 | ||||
---|---|---|---|---|
型番 | Z300C | Z300CG | Z300CL | |
SoC | Atom X3-C3200RK | Atom X3-C3230RK | Atom Z3560 | |
メモリ | 1/2GB | 2GB | ||
ストレージ | 8/16/32/64GB | |||
ディスプレイ | 10.1型 WXGA(1,280×800) IPS(ゴリラガラス3) | |||
Wi-Fi | IEEE 802.11b/g/n | |||
Bluetooth | 4.0 | |||
セルラー | - | 3G | 3G/4G | |
カメラ | リア | 200/500万画素 | 30万画素 | 200万画素 |
フロント | 30/200万画素 | 200万画素 | 500万画素 | |
バッテリ | 駆動時間 | 8時間 | 9時間 | |
容量 | 18Wh | |||
OS | Android 5.0 | |||
サイズ | 251.6×172×7.9mm(本体)/251.6×172×16.5mm(キーボード取り付け時) | |||
重量 | 500g(955g) | 510g(965g) |
採用されているSoCはZ300CがAtom x3-C3200RK、Z300CGがAtom X3-C3230RK、Z300CLがAtom Z3560の3種類。Z300Cがモデムなし、Z300CGが3Gモデム版、Z300CLがLTE版となる。なお、詳細スペックによれば、3G版、LTE版ともに日本向けのSKUという表示がされており、実際に製品として投入されるかはともかくとして、日本向けの製品が準備されていることは伺える。
タブレット単体では251.6×172×7.9mm(同)/500gで、キーボードを取り付けた時には251.6×172×16.5mm(同)/965gとなる。バッテリは18Whで、Atom x3採用版が8時間、Atom Z3560採用版が9時間となっている。