イベントレポート

【PC関連周辺機器編】
アルミパイプを利用したPCケースや耐火防水NASなど

会期:1月8日~11日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center/The Venetian/Pallazo

 CES 2013では、Windows 8登場からまだ間もないことや、CPUやGPUの大きな発表がなかったこともあり、PCやPC関連周辺機器の新製品もあまり多く発表されなかった。ただ、そういった中でも面白い製品がいくつか展示されていたので、ここではそれらをまとめて紹介したいと思う。

In Win

 台湾のPCケースおよび周辺機器メーカーのIn Winは、特殊な仕様のATX対応PCケースを展示していた。昨年(2012年)6月に開催されたCOMPUTEX TAIPEIで発表された「H-Frame」に続く変わりダネケース「D-Frame」だ。H-Frameは、アルミニウムのフレームを10枚組み合わせた、独創的な仕様とインパクトのある見た目で話題となり、日本でも発売されたが、今回発表されたD-Frameは、アルミニウム製のパイプとマザーボードなどを固定するアルミニウム製のフレームを組み合わせて作られたケースとなっている。

 アルミニウムのパイプを利用することで、軽量化と剛性を両立。また、H-Frameでは左右一番外側の側面が1枚板だったのに対し、D-Frameでは透明なガラスを配置しており、ケース内部が完全に見えるようになっている。左右以外はH-Frame同様に開放されたオープンフレーム構造のため、空気の通りは非常にスムーズだ。

 対応するマザーボードはATXで、バックパネルがケース上方にくる向きに取り付ける。そして、ケース下部には120mmファンを3個並べて設置できる。これによって下部から上方に空気の流れができ、効率良く冷却できるとしている。ベイは5インチ×1、3.5インチシャドウ×3、2.5インチシャドウ×2を用意。サイズは305×666×481mm(幅×奥行き×高さ)。今年の第2四半期に発売を予定。

 In Winは、これ以外にもケースや電源ユニットなどの新製品を展示していたので、写真でまとめて紹介する。

アルミニウムのパイプを利用した特殊仕様ケース「D-Frame」
マザーボードやドライブ類を固定するアルミフレームと、周囲を囲うアルミパイプで構成されている
左右の側面はガラス板を取り付けるようになっている
横置きでも利用可能
ケース上部をつかんで持ち上げることが可能
電源ユニットはこのように固定
ドライブベイは5インチ×1、3.5インチシャドウ×3、2.5インチシャドウ×2を用意
電源ボタンや前面USB 3.0ポートなどを備えるボックスも固定されている

・GT1

 フロントパネルのデザイン性にこだわった、メタルフレーム採用のゲーミングケース。仕様はゲーミングPC向けミドルタワーケースと大きく変わらず、2系統のファンコントロール機能やケース上部には大型の水冷ラジエータを取り付けるスペースを用意。また、HDDやSSDを直接取り付けて利用できるマウンタも上部に備えている。内部は、カード長412mmの大型ビデオカードを取り付けられる空間を確保。ドライブベイは5インチ×3、3.5インチシャドウ×6、2.5インチシャドウ×1。サイズは210×475×491mm(幅×奥行き×高さ)。

ゲーミングミドルタワーケース「GT1」。フロントパネルのデザインが特徴的
内部はゆったりしており、大型ビデオカードも余裕で搭載可能。また、上部には大型の水冷ラジエータも取り付け可能だ
ドライブベイは5インチ×3、3.5インチシャドウ×6、2.5インチシャドウ×1と豊富に用意
上部には、HDDやSSDを取り付けて利用できるマウンタを搭載

・G7

 長さ407mmの拡張カードを取り付けられる、ミドルタワーPCケース。GT1よりも若干拡張性が低いが、上部には大型ラジエータも取り付けられ、ゲーミングPC向けとして位置付けられている。ドライブベイは5インチ×3、3.5インチシャドウ×4、2.5インチシャドウ×1。サイズは198×461×479mm(同)。

シンプルな仕様のゲーミングケース「G7」
こちらも上部に水冷ラジエータを取り付け可能。ドライブベイは標準的

・COMMANDER III

 電源ユニット「COMMANDER」シリーズ最新モデル。従来モデルのCOMMANDER IIは80PLUS BRONZE対応だったのに対し、COMMANDER IIIは80PLUS GOLDに対応するとともに、保証期間も5年と長くなっている。プラグイン式電源ケーブル採用など、そのほかの仕様は大きく変わっていない。容量は600W、700W、800Wをラインナップしている。

80PLUS GOLD対応の電源ユニット「COMMANDER III」。600W、700W、800Wをラインナップ
電源ケーブルはプラグイン式で扱いやすい
大型ファン搭載で静音性にも優れる。日本製コンデンサなど高品質パーツを採用し、保証期間も5年と長い

・APS

 5インチベイに取り付ける、PCI-E用拡張電源。PCI-E 6+2ピン電源を2本取り出せる。ハイエンドビデオカードを利用する場合など、電源ユニットを交換することなくPCI-E電源のみを拡張できるため、便利だ。容量は450W。

5インチベイに取り付けて利用する、PCI-E拡張電源「APS」
背面から、PCI-E 6+2ピン電源を2本取り出せる
前面には、5V/2A出力対応のUSB電源コネクタを2個備える

Lian Li

 特殊仕様のアルミ製PCケースメーカーとしておなじみのLian Liも、新製品となるPCケースをいくつか展示していた。

 まず、Mini-ITX仕様のマザーボードに対応する「PC-Q27」。前面が曲面となった、ユニークな形状が特徴。マザーボードは斜めに取り付けるようになっている上に、正面が透明の窓となっており、内部のマザーボードがそのまま見えるようになっている点も面白い。ケース内部には120mmファンが取り付けられており、内部の換気もしっかり行なえる。電源はSFX電源が利用可能。前面にUSB 3.0×2ポートを備える。ドライブベイは2.5インチシャドウ×3のみで、Low Profile対応の拡張スロットも1本備える。

前面が曲面となっているMini-ITXケース「PC-Q27」
横から見ると、前面の曲面がよくわかる。マザーボードは斜めに取り付ける構造となっている
背面には120mmファンを搭載。電源ユニットはSFX電源が搭載可能
ドライブベイは2.5インチシャドウ×3のみ。Low Profile対応拡張スロットを1本用意

 次に、Intelが提唱する超小型PCプラットフォーム「Next Unit of Computing(NUC)」ベースのマザーボードを搭載できる超小型ケース「PC-N1」。展示されていたものは、HDMI出力×2やGigabit Ethernetを搭載するNUCマザーボード「D33217GKE」に対応するモデルで、バックパネルの交換でThunderboltを備えるNUCマザーボード「D33217CK」にも対応可能という。底面には吸気用のスロットを備え、100×100mmのVESAマウントに取り付けられるマウンタも用意されている。サイズは122×108×40mm(幅×奥行き×高さ)と、IntelのNUC自作キットのケースよりもコンパクトだ。小ささを優先させたいなら、IntelのNUC自作キットよりも魅力がありそうだ。

NUCベースのマザーボードに対応する超小型ケース「PC-N1」
展示されていたものは、Intelの「D33217GKE」に対応。バックパネルを交換することで、「D33217CK」にも対応可能という
底面には吸気用のスロットがある。またVESA取り付け用マウンタも付属する

 Mini-ITX仕様のケースとしては、「PC-Q27」および「PC-Q28」という製品も展示されていた。双方ともタワータイプのケースだが、PC-Q27は奥行きの短いコンパクトタイプ、PC-Q28は5インチ×1、3.5インチシャドウ×6と豊富なドライブベイを備えるケースとなっている。

 このほかには、ATX仕様のミドルタワーケース「PC-X3」、E-ATX仕様のフルタワーケース「PC-V850」などを展示。これらは写真で紹介する。

PC-Q27
Mini-ITX仕様のスリムミニタワー「PC-Q27」。小型だが、ドライブベイは5インチ×1、3.5インチシャドウ×2、2.5インチシャドウ×2と比較的豊富に用意
マザーボード上部にSFX電源を搭載可能。標準サイズの拡張スロットも2本備えており、2スロット占有のビデオカードも利用可能
PC-Q28
こちらは奥行きの長いMini-ITX仕様ミニタワー「PC-Q28」
ドライブベイは5インチ×1、3.5インチシャドウ×6と豊富に用意。小型サーバー用途にも応用可能だろう
PC-X3
一般的な用途からゲーミングまで幅広い用途に対応するATX仕様のミドルタワー「PC-X3」
内部はゆったりとして大型ビデオカードも余裕で搭載可能。ドライブベイは5インチ×2、3.5インチシャドウ×6、2.5インチシャドウ×4と豊富
上部のスライドカバーを開けると、USB 3.0などの前面ポートが現れる
PC-V850
Extended ATX仕様のフルタワーケース「PC-V850」。サイズは250×582×565mm(幅×奥行き×高さ)とかなり大きい。側面など多数の空冷ファンが搭載可能
ファン部分はトビラのように開くことが可能
ドライブベイは5インチ×3、3.5インチシャドウ×9と豊富に用意

ioSafe

 NAS製品を展示するメーカーは多数存在していたが、その中で一風変わった仕様のNASが展示されていたので紹介しよう。そのNASは、ioSafe製の「ioSafe N2」という製品。このNASは、強力な耐火および防水性能を有している点が最大の特徴。約850℃で30分の耐火性能と、約3mの深さの真水または海水内で72時間の防水性能を備えるとしている。

 ブースでは、実際に炎の中に入れるとともに、水没させた実機が展示されていたが、外装部は文字通りぼろぼろの状態なのに対し、内部のHDDは全く無傷の状態。炎の中や水中でもNASとして動作するわけではないが、内部のHDDは損傷しないため、保存データの安全性はかなり優れると言ってよさそう。さしずめNAS型の金庫と言ってもいいかもしれない。失われると困るデータを保存する用途として、かなり魅力的な存在だ。

 NASとしての機能面は一般的で、通常のファイル共有に加え、Windows PCのバックアップ機能やMac OS XのTime Machine、DLNAメディアサーバー機能、Webサーバー、FTP、プリンタサーバー、リモートアクセスなどの豊富な機能を備える。LANポートはGigabit Ethernetに対応。本体サイズは150×292×230mm(同)。製品はすでに発売中で、販売価格はHDDレスで599ドル。

優れた耐火・防水性能を備えるNAS「ioSafe N2」
内部にはドライブベイを2個備え、3.5インチHDDを2台搭載可能。HDDは耐熱素材で覆われており、高温の炎の中でも耐える設計となっている
約850℃で30分の耐火性能を持つとしている
同時に、約3mの深さの真水または海水内で72時間の防水性能を備える
実際に炎の中に入れ、水中に浸けたioSafe N2の現物。外装は熱でぼろぼろだ
HDD部分はきれいなままで、HDDベイ部分は特に大きな変化は見られない
このようにHDDもきれいなままで、しっかり動作するという

ZOTAC

 ZOTACは、超小型PC「ZBOX」シリーズの新モデル2機種「ZBOX ID83」と「ZBOX ID42」を展示していた。

 ZBOX ID83は、CPUにCore i3-3120M(2.50GHz)をオンボード搭載する上位モデル。対するZBOX ID42は、CPUはCeleron 847(1.10GHz)となるが、外部GPUにGeForce GT 610をオンボード搭載している。双方ともフットプリントは約188×188mm(幅×奥行き)だが、高さはZBOX ID83が43.9mm、ZBOX ID42が51mmと、ZBOX ID83のほうが若干薄くなっている。双方とも縦置き、横置きでの利用に加え、液晶背面に固定しての利用も可能となっている。

 メモリスロットは双方とも2本のSO-DIMMスロットを備え、最大16GBのメモリを搭載可能。ドライブベイは2.5インチシャドウ×1を備える。ポートは、ZBOX ID83はHDMI出力、DVI-I出力、Gigabit Ethernet、USB 3.0×2、USB 2.0×4、メモリカードスロットなど、ZBOX ID42はHDMI出力、DVI-I出力、Gigabit Ethernet、USB 3.0×2、USB 2.0×2、メモリカードスロットなどをそれぞれ備える。また、双方とも無線機能としてIEEE 802.11b/g/n対応の無線LANとBluetooth 4.0も標準搭載している。

 発売時期は双方とも1月下旬で、価格はZBOX ID83が470ドル、ZBOX ID42が350ドル。HDDとメモリを搭載しないベアボーンタイプと、500GBのHDDおよび4GBのメモリを搭載するPlus Moduleモデルが用意される。

Core i3-3120M搭載のミニPC「ZBOX ID83」
映像出力はHDMIとDVI-Iの2系統。USB 3.0×2、USB 2.0×4(前方ポートを含める)、Gigabit Ethernetなどのポートを備える
前方にはUSB 2.0やメモリカードスロットなどがある
こちらはCeleron 847(1.10GHz)とNVIDIA GeForce GT610を搭載するミニPC「ZBOX ID42」。フットプリントはZBOX ID83と同じだが、こちらは若干厚い
こちらもHDMIとDVI-Iの2系統の映像出力を備える
前方にはUSB 3.0ポートやメモリカードスロットなどがある

Kingston

 メモリメーカーのKingstonは、容量1TBのUSBメモリ「DataTraveler HyperX Predator USB 1TB」を発表し、展示していた。同シリーズのUSBメモリとしては、すでに容量512GBの製品が発売済みだが、今回発表されたのはその2倍の容量をもつ1TBの製品で、USBメモリとして世界最大の容量を誇る。また、USB 3.0に対応しており、アクセス速度はリード240MB/sec、ライト160MB/secと、SSDに匹敵する速度を実現している点も特徴だ。

 本体サイズは、72×26.94×21mm(幅×奥行き×高さ)と、USBメモリとしては非常に大きい。特に厚さがかなりあるため、Ultrabookなどの薄型ノートPCでは、ノートPC本体が浮いてしまうなどの問題が発生する可能性がある。加えて、価格もかなり高くなりそうだ。発売時期は3月を予定しており、現時点では価格は未定だそうだが、容量512GBモデルは販売価格が1,750ドルとなっていることから、その2倍近い価格になるのはほぼ確実。説明員も、非常に高価になると語っていたが、しばらくはなかなか手の届かない存在となりそうだ。ちなみに、日本での発売もすでに決定している。

USBメモリとして世界最大容量となる1TBのUSBメモリ「DataTraveler HyperX Predator USB 1TB」
本体部分をスライドさせると、USBポートが現れる。USB 3.0対応で、アクセス速度はリード240MB/sec、ライト160MB/sec
本体はサイズは、72×26.94×21mm(幅×奥行き×高さ)と大きく、薄型ノートPCでは使いにくそうだ

 また、無線LAN対応のメモリカードリーダ「Wi-Drive+」も展示されていた。本体にはUSB 2.0ポート、SDカードスロット、microSDカードスロットが用意され、USBメモリやSD/microSDカードを取り付け、無線LAN経由でそれらにアクセスできる。また、複数のユーザーが同時にアクセス可能となっており、1人がUSBメモリに保存された音楽ファイルにアクセスしている時に、別のユーザーがSDカードに保存された動画ファイルにアクセスするといったことも可能としている。さらに、本体内にはバッテリも内蔵しており、5時間の連続使用が可能という。無線LAN経由で簡易的なNASのような使い方ができる製品と考えればわかりやすいだろう。

 今回展示されていたWi-Drive+は、現在ベータテスト中で、発売時期や価格などは未定だそうだ。北米のレビュアーに貸し出し、レビュアーの声をもとに機能をブラッシュアップしたうえで販売したいとしている。

無線LAN対応のメモリカードリーダ「Wi-Drive+」。USBメモリやSDカードなどに保存したデータを無線LANで共有できる。現在ベータテスト中で、発売時期などは未定となっている
USBポートにはUSBメモリを取り付け可能。microUSBポートは内蔵バッテリ充電用で、5時間の連続利用が可能
SDカードおよびmicroSDカードも利用できる。無線LAN接続のポータブルNASといった雰囲気の製品だ

Delta

 高品質電源ユニットなどでおなじみのDeltaは、モバイルバッテリの新製品「PowerCell Duo」を発表した。コンパクトなボディに容量6,800mAh(3,400mAh×2)のバッテリを搭載しており、この容量のモバイルバッテリとして世界最小としている。実際に本体はかなりコンパクトで、横幅は若干長いものの、体積は日本で広く利用されているeneloop mobile boosterとほぼ同等程度で、携帯性はかなり優れる。

 そして、本体には充電用のUSBポートが2ポート用意されているが、双方とも2.1A出力をサポートし、2.1Aの同時出力にも対応。これにより、2台のiPadも同時に充電可能としている。スマートフォンやタブレットを2台以上利用している人にとって、かなり魅力的なモバイルバッテリと言えそうだ。発売は北米で2月を予定しており、価格は89.99ドル。日本での発売は未定だそうだ。

容量6,800mAhで世界最小のポータブルバッテリ「PowerCell Duo」
USBポートを2つ備え、双方同時に2.1A出力が可能。スマートフォンやタブレットを2台同時に充電可能だ
HTC J Butterflyとの比較。容量が多い割にボディはコンパクトで、携帯性に優れる

(平澤 寿康)