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Seagate、SATA/SASに代わるNVMe接続のHDDを提唱

 Seagateは17日(米国時間)、NVMeインターフェイス接続HDDの概念実証を発表した。従来のSATAやSASに代わるこの接続により、SSDと共通のNVMeドライバが利用でき、連携動作や個別ソフトウェアレイヤーの必要性を排除するという。

 これは、肥大化するAIデータセット処理のニーズに対応するために開発/提唱されたもの。AIコンピューティングのデータセットにおいて、ペタバイト(PB)単位のストレージが必要になるが、SSDではコストが高くなる問題を抱えているほか、SATA/SASのHDDは独自のシリコン/ホストバスアダプタ(HBA)/コントローラアーキテクチャに依存し、低遅延を必要とするAIワークロード向けに設計されていない問題、そしてクラウドベースのストレージに依存するAIワークロードではWANデータ転送コストが高くなり、遅延が急増する問題を抱えている。

 これらの問題に対し、SSDで採用されているNVMeインターフェイス規格を用いることで解消を目指すのがSeagateの提案だ。

 NVMeでは、従来のSATAやSASのようなホストバスアダプタ(HBA)やプロトコルブリッジ、追加のSASインフラストラクチャが不要になり、ストレージがより合理化できる。さらに、DPUを介してGPUからストレージへ直接アクセスできるようになるため、CPU経由による遅延を削減できる。NVMe over Fabrics(NVMe-oF)により、NVMe HDDを分散AIストレージアーキテクチャに統合可能となり、柔軟な構成を実現するとしている。

今回の概念実証

 今回Seagateは、NVMeのHDD、NVMeのSSD、そしてNVIDIAのBlueField DPU、AIStoreソフトウェアなどを用いて概念実証(POC)を実施。これにより遅延の減少、SATA/SASオーバーヘッドの排除によるシステムアーキテクチャの簡素化、AIStoreによるキャッシュ/階層化の動的な最適化による性能向上とストレージ集約/エクサバイト(EB)レベルの拡張性、NVMe-OFによるシームレスなスケーリングを実証。

 加えて、SSDと比較して、テラバイト(TB)あたり10倍となる炭素排出量の効率化、4倍の動的電力消費の効率化、大幅なコスト削減を実現できたという。

 今後は、大容量のNVMe HDDの開発を進めるとともに、NVMe-OFの進化によるシームレスな拡張の実現、リファレンスアーキテクチャの作成などを行なうとしている。