【IFA 2011レポート】Lenovo、ドイツ市場へ「IdeaPad U300s」などを投入
~初のUltrabookに加えて、7型タブレットも

会期:9月2日~7日(現地時間)
会場:Messe Berlin



 Lenovoは9月1日(ドイツ時間)、IFA2011会場においてプレスカンファレンスを開催。Ultrabookカテゴリとして同社初の製品「IdeaPad U300s」を発表した。また独PCメーカー最大手「MEDION」との合弁を紹介。日本におけるNECとの合弁のように、西ヨーロッパ市場におけるシェアの拡大と効率化の路線を明確にした。

●独PC最大手「MEDION」と合弁。ドイツ市場でのスケール感を強化
好調な業績と、世界第3位シェアから2位に手の届くところまで来たと紹介するLenovoのMature Market Groupプレジデント、Milko Van Duijl氏

 Lenovoのプレスカンファレンスは前半、後半の2つに分かれており、前半はマーケット、後半は製品発表となった。ステージには同社のMature Market Groupのプレジデント、Milko Van Duijl氏が登壇。ワールドワイドPCマーケットにおけるシェアが12.2%にのぼり、HP、Dellに次いで世界3位(IDC調べ)であることなど、企業概要の紹介を行なった。

 ワールドワイドでの分析に加え、中国市場、先進国などを中心とする成熟した市場、発展途上の市場の3つに分けて、競合他社や市場動向とLenovo自身の比較を行なった。PC市場としては最大の成長市場である中国、そして成熟した市場の日本で1位のシェアを獲得、北米市場では2位となるが、大きな3つの市場のうち2つで首位のシェアを維持していることを強調した。例えば中国市場では、市場全体としては14%成長の中、Lenovoは23%成長を遂げているという。

 また2011年から2012年へのグローバルな成長戦略として市場とカテゴリに応じた守りと攻めの戦略を説明。すでに大きなシェアを持つ中国市場やエンタープライズ向けの販売は守りにあててシェアや成長率の維持に努める一方で、モバイルインターネット、デジタルホームの分野、中国を除いた発展途上の国を中心とした成長途上の市場、そして北米市場では量販店などで店頭販売されるコンシューマ向け製品市場に対しては攻めの戦略を描き、それが正しい成長戦略であると説明した。

 ここドイツにおいても力を入れるべき市場にあたり、日本国内でNECと合弁企業を起ち上げたことと同様に、ドイツ最大のコンシューマ向けPCブランド「MEDION」との合弁を紹介した。MEDIONとの合弁は西ヨーロッパにおけるコンシューマ向け市場の拡大に直結するWin-Winのリレーションシップであるとした。NECとの合弁同様に、両社事業やアフターサービスの最適化、2つのブランドで幅広い市場をカバーできる点などを合弁のメリットとして説明している。

 そのほか、ワールドワイドでのブランドキャンペーンを展開。「DO」をキーワードにTV CMをはじめ、ビルボード広告や、雑誌・新聞等に出稿して、コンシューマ市場に向けてLenovoブランドの更なる認知を図っていくという。

同社業績と競合他社との比較グラフ。中国市場、先進国などを中心とする成熟した市場、発展途上国を中心とする市場の3つにわけて分析「守り」と「攻め」でマーケットを拡大。中国やエンタープライズ向けは守りへ。一方、コンシューマ向けは攻めの成長戦略を描く日本におけるNECとのPC協業と同様に、ここドイツにおいても最大のコンシューマ向けPCブランド「MEDION」と協力していく
Lenovoブランド、MEDIONブランド、それぞれの強みとフォーカスするカテゴリを紹介。部品調達や、アフターサービスの最適化もIFA 2011の展示ホールに設けられたドイツ最大のコンシューマ向けPCブランド「MEDION」の展示ブースワールドワイドで、主にコンシューマ市場に向けてLenovoブランド認知の拡大を図るブランドキャンペーンを実施する

●「IdeaPad U300s」は呼吸するキーボードを搭載
「IdeaPad U300s」

 後半の製品発表では、まず2007年以降のコンシューマ向け製品の拡大過程を紹介。そしてIdeaPadシリーズの新製品としてUltrabookにあたる「IdeaPad U300s」をはじめ、IdeaPad 3製品の投入を発表した。なお、この製品発表はあくまでドイツ国内向けのもので、日本を含む世界各国では後日それぞれ製品のローンチが行なわれるとのこと。

 発表された「IdeaPad U300s」の特徴は、Intelの規定するUltrabookのスペックに加えてIdeaPadならではのポイントが加えられている。外装にはユニボディとなるアルミニウムの1枚板を採用。トラックパッドはガラス製でマルチタッチに対応する。そして、トップパネルとアンダーパネルの縁が本体部分よりもほんの少し大きめのデザインをハードカバーの書籍に例えて、Book-Shapedデザインと紹介している。

 排熱処理については、Breathable Keyboard(呼吸するキーボード)と呼んだ。キーボード面から吸気して、左側面にあるベントから排気する。そのため、底面は排熱用のスリットなどがないフラットなデザインになっている。製品発表では、稼働時の製品におけるU300sのヒートマップも公開。パームレスト付近には熱を持たず、ホットスポットになる部分の最小化とエアフローを示して見せた。

 また、製品として競合製品にあたるAppleのMacBook Airや各社のUltrabookの稼働時間である6~7時間に対して、8時間(同社調べ)の稼働を挙げて、同製品の優位製を強調した。また、RapidChaege機能の働きにより30分で50%の充電が行なわれることも特徴の1つとしている。加えて、SSDの搭載により、コールドスタートでもWindows 7 HomePremiun(64bit)が10.47秒で起動するというデータも示して見せた。

 主な仕様は、ULVの第2世代Core i5プロセッサを搭載(i7にも変更可能)。液晶パネルは13.3型で1,366×768ドット。4GBメモリ、最大で256GBのSSDを搭載可能。本体の厚さは14.9mmで、重量は約1.34kg。インターフェイスはUSB 2.0、USB 3.0を各1ポート、HDMI出力、130万画素のWebカメラなど。最小構成では999ユーロ(VAT=付加価値税込)からカスタマイズが可能。フルスペックでは1,499ユーロ(同)が想定される。価格はあくまでもドイツ市場向けのアナウンスで、他の国や地域では別途発表が行なわれるとのこと。

 日本市場、ヨーロッパ市場でも発表済みの製品となるが、ThinkPad Tablet、IdeaPad Tabletもあわせて紹介された。また発表会では言及されなかったものの、同社の展示ブースには、Android 2.3(GingerBread)を搭載する7型タブレットも新製品として展示されている。


「IdeaPad U300s」は最厚部14.9mm。ハードカバーの書籍のように縁がほんの少し大きめのデザインを採用トップパネルとアンダーパネルは、アルミニウムによるユニボディ構造。トラックパッドはガラス製でマルチタッチを採用する底面はベントのないフラットな構造。キーボードより吸気して側面より排気。パームレストをはじめ、ホットスポットが極力少ないエアフローを実現
「IdeaPad U300s」の右側インターフェイス。ヘッドセットジャック、USB 3.0ポート、HDMIポート、AC入力ポートがある「IdeaPad U300s」の左側インターフェイス。USB 2.0のポートがひとつと排気用のベントがこちら側にあるトップパネルはアルミニウム製。写真はドイツ市場向けのグレー。メディア向けカンファレンスで示されたオレンジ系のカラーは、日本市場向けに検討されているとのこと
ブースに展示された7型の「IdeaPad Tablet A1」。Android 2.3を搭載。1,024×600静電容量式マルチタッチ液晶ディスプレイ、シングルコアのARM Cortex-A8プロセッサを搭載「IdeaPad Tablet A1」の背面。背面カメラは3Mピクセル。メモリ容量の違いにより3モデルあり、8GB/16GB/32GB。最安の8GB製品は米ドルで199ドルの設定「IdeaPad Tablet A1」の底面にはSDカードとmicroSDのデュアルスロットを装備
タブレット用のLenovo純正アクセサリーもブースに展示されている左から順に、「IdeaPad Tablet A1」、「IdeaPad Tablet k1」、「ThinkPad Tablet」Lenovoブースの様子。「Do」をキーワードにブランドの認知を拡大するブランドキャンペーンを実施する

(2011年 9月 6日)

[Reported by 矢作 晃]