【IFA 2011レポート】
Intel、IFAで発表が相次ぐUltrabookの特徴を解説

Karen Regis氏

月日 発売
会期:9月2日〜7日(現地時間)
会場:Messe Berlin



 Intelは9月1日(現地時間)、IFA 2011開催地であるベルリン市内でプレスカンファレンスを行なった。今回のIFAは、Intelが提唱する「Ultrabook」の実際の製品が発表される舞台にもなっており、同社自らが改めてその特徴を説明した。

●「薄型・軽量」+4つのポイントで新しいカテゴリを創造

 Regis氏はUltrabookの特徴を紹介するにあたって、まず20億人以上がインターネットに接続し、2兆4,700億通のメールが送信され、1日に20億本のビデオが再生され、1カ月に25億本のビデオがFaceBookにアップロードされる、といった数字を挙げ、そうしたインターネットユーザーが増加した現在のPCマーケットに言及した。

 「PCが必要ないと考える人はいるが、PCはまだまだ潜在的な市場がある」とRegis氏は述べる。その根拠として、1日に100万台のPCが出荷され、PCクライアントの販売数はまだまだ伸び続けており、、AndroidデバイスやiPadなどと比べても現時点における販売数には絶対的な開きがある点。一方で、自分のPCを持っている人は10億人程度に過ぎず世界にはまだまだ潜在的ニーズがある点。東欧諸国やブラジル、中国、中東、インドなどのPC普及率はおおよそ20%以下である点を挙げている。

 また、特に先進国を中心に多くの作業がタブレットやスマートフォン以上にPCで行なわれているという調査結果を紹介し、ユーザー体験に合った製品を提供すれば、PCはまだまだ成長できることをアピールした。

 そうしたユーザー体験に即したPCのコンセプトがUltrabookである。Ultrabookは6月に台湾で行なわれたCOMPUTEX TAIPEI 2011において発表されたコンセプトで、薄型・軽量に加え、より高性能、高レスポンスで、堅牢なセキュリティを持ち、優れたバッテリライフの提供を目指すものだ。

エマージング市場におけるPC普及率はまだまだ低いことから潜在的な余地が多いとし、2015年までに東欧で80%、ブラジルで70%、中国で40%に引き上げるなどの目標を示した 先進国を中心に多くの作業がスマートフォンやタブレットではなくPCで行なわれている調査結果を紹介
これまではハードウェアをベースにユーザー体験の提案を行なってきたが、今はユーザー体験に基づいてハードウェアを生んでいるという姿勢の変化を紹介 Ultrabookは薄型・軽量に加え、性能、レスポンス、セキュリティ、バッテリライフの4要素が合わせたデザイン

 パフォーマンスの説明では、従来的な35W TDPのCPUを搭載するノートPCと17W TDPのCPUを持つUltrabookを比べると、パフォーマンスはわずかに劣る程度というデータを示した。そのため、一般的な日々の利用においては十分な性能を持っていながら、消費電力が半分に抑えられていることで、丸1日バッテリで駆動させられることをアピールした。また、Intel Quick Sync VideoやWiDiといった優れたメディア体験を提供できると述べている。

 高レスポンス性については3つの機能を紹介した。1つはデスクトップ向けチップセットなどでも搭載されているIntel Smart Response Technologyで、HDD搭載機でもSSDをキャッシュとすることでストレージ性能を高めるもの。2つ目がSmart Connect Technologyで、これはPCがスリープ状態にあってもメールサーバーやソーシャルネットワークへ定期的にアクセスするもので、スリープから復帰後にメールやSNSの最新情報などが取得済みの状態で利用を再開できるというものだ。3つ目はRapid Start Technologyで、フラッシュメモリを活用することでハイバーネーションからの高速復帰を行なう機能である。Regis氏は自身が使っている従来のPCではハイバネーションからの復帰が55秒もかかるがUltrabookは7秒未満で復帰できるとし、スリープのようにバッテリを消費することなく、一方でシャットダウンも行うことなくPCを使い続けることができることをアピールした。

 セキュリティ面では、Identity Protection TechnologyとAnti-Theft Technologyを紹介。これらはすでに従来の製品でも盛り込まれてきたもので、前者は特別なハードウェアを必要とせずに安全なワンタイムパスワードを生成できる技術、後者はPC盗難時などに遠隔地からPCを守るための技術だ。

 また、同社投資部門のIntel Capitalが8月に台湾において3億ドルのUltrabook基金を設立したことも紹介。今後も、Ultrabook関連の技術強化に向けて注力していく姿勢を見せた。

 Regis氏は最後に、半導体とUltrabookの関係についても言及。これまでのノートPCはおおよそ25W以上のTDPをターゲットとしてきた。2年前に10WのTDPを持つCULV版のプロセッサを投入したものの、PC全体としては25W程度がターゲットになっている。一方でSoCを用いた製品は10W未満がターゲットとなっていた。今後はUltrabookの登場もあり、15〜20WあたりにもノートPCのターゲットが生まれることになるとする。またSoCはより高いTDPを受け入れ、10W前後までがデザインターゲットになるという。

 Ultrabookのプロセッサについては、最初のUltrabookはSandy Bridgeベースの第2世代Coreプロセッサを用いたものとなっているが、来年にはIvy Bridgeベースの第3世代Coreプロセッサへ移行し、Ultrabookのコンセプトをさらに成熟させたプラットフォームになるとする。また2013年登場のHaswellは革新的なノートPCを生むものになるだろうと述べている。このHaswellベースのUltrabookのプラットフォームがShark Bayと呼ばれることも公表された。

従来の35W TDPのプロセッサを搭載したノートPCに比べて性能はやや低いが、一般的な用途には十分であり、消費電力は半分に抑えられている 現在のノートPCのデザインターゲットは25W以上だが、15W前後がノートPCの新しいデザインターゲットになるとした Ultrabookのプロセッサロードマップ。来年はIvy BridgeベースのChief River、2013年にはHaswellベースのShark Bayプラットフォームへと移行していく
ASUSTeKのUX31。13.3型液晶のUltrabook UX31の左側面 UX31の右側面
COMPUTEXでも展示された11.6型液晶のASUSTeK「UX21」 UX21の左側面 UX31の左側面
LenovoのIdeaPad U300s。液晶は13.3型 IdeaPad U300sの左側面 IdeaPad U300sの右側面
IdeaPad U300sを閉じた状態。中央が凹んだ特徴あるデザインになっている 東芝のPORTEGE Z830 AcerのAspire S3

●Smart TVの現状と今後について

 IntelのカンファレンスではUltrabookのほかにSmart TVについても説明が行なわれた。Intelでは2年前のCESで初めてSmart TVへの取り組みを紹介して以降、ソニーによるGoogle TV、Boxee Boxへのプロセッサ提供など、このジャンルへも注力してきた。

 Koenders氏はプレゼンテーションの中で、インターネット接続が可能なTVは増加を続け、Smart TVは2015年に950億ドルの市場になるとの見通しを示した。また、PCやスマートフォン向けサイトのほかに、TVで利用するためのWebコンテンツを提供するWebサイトも増えていることを紹介し、このジャンルが成長を始めていることを強調した。

 Intelは現在、Intel CE4100というメディアプロセッサをSmart TV向けに提供しているが、これを利用したFreebox RevolutionやIomega TV with Boxeeといったデバイスを紹介。他社のプロセッサに対して2倍の性能を持つ点や、FlashやHTML5などのリッチコンテンツに対しても積極的に対応を進めることで、Smart TVのユーザー体験を高めていくことをアピールした。

 また、同氏のプレゼンではGoogle TVのアップデートについても紹介があった。Google TVの次期アップデートはHoneycombベースとなりより使いやすいUIへと変更されることや、Google TV向けにAndroidマーケットが開設されることを紹介。マーケットで提供されるアプリケーションは、テレビ向けに最適化されたもののほか、スマートフォン向けのアプリも、一部はGoogle TV上で実行可能になるという。このアップデートは間もなく行なわれるとしている。

Smart TVの説明を行なった、Intel Worldwide Director of Marketing, Digital HomeのLance Koenders氏 2011年におけるSmart TVの現状。プレゼンでは個々の数字に具体的な言及はなかったが、インターネット接続が可能なTVが増加続け、将来的に大きな市場となる見込みであることを強調した Intelが提供するSmart TV向けプロセッサの概要。Atomベースのx86プロセッサコアに、独立したビデオエンジン、グラフィックスエンジン、セキュリティプロセッサなどを統合している
フランスのIPTVサービスプロバイダ「free」向けのセットトップボックス「Freebox Revolution」。Blu-rayプレイヤー・ゲームコンソールにもなるSTBで、今年1月の発売以来、freeは30万以上の新規ユーザを獲得したという IntelのSmart TV向けプロセッサは、高パフォーマンスと新技術への対応によりSmart TVにおけるWebブラウジング体験を高めていくとした
Iomegaが10月に発売を予定しているセットトップボックス「Iomega TV with Boxee」。Iomegaのストレージデバイス技術、Intelのプロセッサ技術、Boxeeのコンテンツ管理技術を融合したものしている Iomega TV with Boxeeの出力端子周り。コンポジットビデオ出力を持つ点がBoxee Boxとは異なる。USBポートは前面と背面に持ち、接続したHDDに録画できる。価格はHDDレスで249ユーロからを想定しており、HDD搭載モデルも発売される予定

(2011年 9月 5日)

[Reported by 多和田 新也]