国際コンシューマ・エレクトロニクス展「IFA 2011」の開幕を前に、8月31日(現地時間)からメディア向けのカンファレンスが始まった。午後にはIFA、gfu(Gesellschaft fuer Unterhaltungs- und Kommunikationselektronik)、Messe Berlinといった主催者によるオープニングカンファレンスが行なわれ、今回で51回目の開催となるIFAの状況やコンシューマ・エレクトロニクス市場の分析、今後の市場動向などが紹介された。カンファレンスには、gfuのRainer Hecker会長、ZVEI(German Electrical and Electronic Manufacturerers' Association)のReinhard Zinkann会長、Messe BerlinのCOOを務めるChristian Goke氏ら3人が登壇した。
まず、gfuのHecker会長はIFAを顧客に応え続けるトレードショーにしていくことを明言。楽観的な見方と様子見の消費指向がせめぎ合う中で、ショーの規模拡大を含めて、消費に貪欲な顧客に応えるという方向性を示した。またトレンドの1つとして、永遠のエンターテイメント製品であるTVを挙げ、放送映像の視聴だけにとどまらず、インターネットを利用するサービスとの融合はSmart TVがトリガーになるとした。また80年も前に登場して以来、常に消費者の注目を集め続けるTVという製品に対してHDや3Dなどの高機能化を継続していくことが成功のカギになるとしている。
また、タブレットやスマートフォンのブームはさらに継続していくもののとみており、消費者はこれらの製品にインストールするApp(アプリケーションソフト)を求め続けている状態だとして、これらAppを充実させることも重要としている。
ZVEIのZinkann会長は2010年における主要な家電製品の市場規模を米ドル換算で1,590億ドルと紹介、前年比で8%成長とした。市場規模はリーマンショック前の2007年から2008年の段階まで復帰したことを示しており、2011年もリスク要因はあるものの同様の市場規模があるものとしている。
また2006年から2010年までの地域別シェアも示して、全体としては欧米市場のシェアが減る一方で、中国をはじめとする途上国のシェアが拡大していることを改めて示した。特に言及されなかったがグラフ上のシェアでは2009年から2010年にかけては日本のシェアも増加している。これはエコポイント制度や地デジ化などのタイミングで家電製品の買い換えが進んだことが理由と思われる。
Messe BerlinのGoke氏はワールドワイドのコンシューマエレクトロニクス市場における2011年の顧客ニーズと消費動向を分析。ヨーロッパ、米国では横ばいながら、ここドイツでは若干の上昇、中国では大幅な上昇になるという予測を示した。日本市場については東日本大震災の影響などを理由にあげて下降する見通しを示している。また、IFAへの出展者数は前年比で中国を除いては増加傾向にあり、展示規模をみればその中国企業も含めた世界中すべての地域の出展者において展示の総スペースは拡大しており、総展示スペースが過去最高となったこともあって、IFAがコンシューマエレクトロニクス製品のトレードショーとして新たなピークを迎えているという点を強調した。
具体的にはリーマンショックなどの影響で世界経済が下降した2009年の1,164件という出展者数を下げ止まりとして、以降は増加。2011年の今回は過去最高の1,441件の出展があるという。なお来場者数は2008年以降引き続いて増加を続けており、2011年は過去最高の23万人超を記録した昨年(2010年)をさらに上回る見通しだという。メディア関係者の登録者も同様に増加しており、IFAがより世界的な注目を集めるトレードショーとなっていることを紹介した。
展示内容も3D TVやSmartTV、スマートフォンやタブレットを中心とするWireless Mobility Connectivity、エコ重視のGreen Technology Design、そしてDLNAなどによる家庭内の音楽/データ共有など、現在のトレンドにあわせてさまざまな企画エリアを設けて、世界中から訪れるバイヤーや一般客などのニーズに応えるとしている。
(2011年 9月 1日)
[Reported by 矢作 晃]