【COMPUTEX 2010レポート】【MSIブース編】
未発表GPU搭載ノートからWind Pad、お掃除ロボットまで幅広い展示内容

MSIのブース

会期:6月1日~6月5日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
   Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
   Taipei International Convention Center



●Windows版とAndroid版が存在するWind Pad

 COMPUTEX開幕前日のカンファレンスで披露された、MSIのタブレット型PC「Wind Pad 100」(記事参照)。本製品は10型のマルチタッチ対応液晶を用いた製品で、Atomベースのハードウェアを採用している。この製品に関して、ブース取材で得た追加情報を記しておきたい。

 まず、CPUはAtom Z530を使用。OSはWindows 7 Home Premiumがプリインストールされる。液晶は10.1型で、解像度は1,366×768ドット。このクラスではXGA以下の解像度が少なくないことを考えると、1,366×768ドット液晶を採用したのは意義が大きいといえる。本体サイズは274×173×16.6mm。重量は800gとなっている。

 メモリは1GB、ストレージは160GB HDDを搭載。通信機能は3GやIEEE 802.11b/g/n対応の無線LAN、Bluetoothを内蔵可能。このあたりは顧客の要望に応じて削除して出荷されることも考えられるという。バッテリ駆動時間は10~12時間としている。

 また、WindowsベースのWind Pad 100のほかに、Androidベースの「Wind Pad 110」も計画されている。投入時期はWind Pad 100が発売されて以降で、年内を目指しているという。

 OSはAndroid 2.0で、Wind Pad 100とは異なりCPUにARM(具体的なコアは不明)が採用されるのが特徴。CPUがARMになることで、バッテリ駆動時間はWind Pad 100に対して2~3割増しになるという。その他、画面解像度やストレージ仕様などは同一。デザインは多少異なっており、重量は800gよりも若干軽くなるほか、背面のカバーが着せ替え可能なタイプになる。

 実際にAndroid動作中のサンプルに触れることができたが、反応は鈍く、まだまだ改善の余地がある印象を受けた。

開幕前日に行なわれたカンファレンスで披露されたWind Pad 100こちらがAndroidベースのWind Pad 110アプリケーションの一覧
底面にはステレオスピーカーを内蔵右側面にはSDカードとMini USB端子。SDカードはSDHCに対応左側面はヘッドフォン出力、SIMスロット、電源端子を備えることになっているそうでプリントもされているが、まだ実装されていなかった
ディスプレイ脇のボタン。電源、バック、メニュー、ホームボタンを備える背面のデザイン
背面は着せ替え可能。パネルがオプション販売される予定説明ではAndroid 2.0とのことだったが、試作機のファームバージョンは2.1になっていた
【動画】試作機を実際に操作してみたところ。初期の試作機ということもあって、まだまだ思い通りに動くフィーリングになっていない印象を受ける

●未発表GPUやAthlon II Neo搭載ノートを展示

 ネットブックの登場以降、ノートPCメーカーとしてのブランド力も強くなってきたMSIは、COMPUTEXにも多数のノートPC製品を展示している。なかでも注目は、NVIDIAの未発表GPUを搭載した2つの製品だ。

 1つは「GT760」。まだ開発段階にあるというハイエンドのゲーミングノートPCであるが、注目は製品に貼られた「GeForce GTX 460M」の文字。現在、NVIDIAのDX11対応モバイルGPUはGeForce GTX 480Mがリリース済みだが、その下位モデルは未発表。ASUSTeKのブースレポートでもそれらしい存在をお伝えしているが、水面下では具体的な計画が進んでいることをはっきりと感じられる製品といえる。GT760の市場投入は秋以降が予定されているとのこと。日本での発売は検討はされている段階とのこと。

 もう1つの注目製品は「FX700」。こちらもNVIDIAの未発表GPUを搭載したモデルで、具体的なモデル名は不明ながら、NVIDIAコントロールパネルを参照すると「GF108 ES」と、GF100をベースとしたGPUであることを伺わせるコードネームが表示されていた。

 この表示内容によると、CUDA Core数が96基、コアクロックが560MHz、CUDA Coreクロックが1,120MHz、メモリクロックが800MHzでDDR3メモリを使用。CUDA Core数やDDR3使用であることからみて、わりとローエンドに近いGPUであることが推測できる。ちなみに本製品はCore i7/i5ベースのプラットフォームとなっており、GPU切り替え技術のOptimus Technologyにも対応している。日本での発売は未定。

 ゲーミングノート関連では、今年3月にドイツで開かれたCeBITで披露されたCore i7-720QMとGeForce GTX 285Mベースのゲーミングノート「GT660」の日本発売が決定。今月から来月にかけて、20万円前後で発売される見込みとのことだ。

 このGT660をベースにした3D液晶モデルも展示されている。こちらはまだ開発段階で具体的なスケジュールは聞けなかった。現在は偏光フィルタ方式が採用されているが、これについても試作機ゆえのことで、アクティブシャッター方式を採用する可能性も残されているとしている。

17.3型液晶を搭載するゲーミングノート「GT760」本体に貼られたシールには「GeForce GTX 460M」と書かれており、発表済みのGeForce GTX 480Mの下位モデルが搭載されることが伺える
こちらは17.3型液晶搭載のCore i5搭載機「FX700」NVIDIAコントロールパネルで「GF108 ES」のコードネームを確認。96基のCUDA Coreを持つFermiベースのGPUと見られる3D対応のGT660も展示。試作機では偏光フィルター方式を使っているが、最終製品の方式は未定となっている

 モバイルノート関連では、先月発表されたAthlon II Neoを搭載する「U250」が展示された。正確なモデルナンバは不明だったが、プロパティを見ると1.3GHzで動作しており、Athlon II Neo K325と推測することができる。GPUはチップセット内蔵で、Radeon HD 4225。GPUの動作クロックは380MHzとなっている。日本での発売は未定。

 もう1つ、COMPUTEX期間中に発表されたDDR3対応版のAtomを搭載した「U160DX」も展示。現行モデルのU160のOSをAtom N455へ載せ替えたモデルで、DDR3-800を2GBまで搭載可能(1スロット)。日本での発売も計画されており、8~9月頃に登場する可能性があるとのことだ。

AMDプラットフォームの12型液晶(1,366×768ドット)モデル「U250」CPUはエンジニアサンプルながら、Athlon II Neo 1.3GHz(K325と見られる)を搭載GPUはチップセット内蔵のRadeon HD 4225
Atom N455+DDR3メモリをベースとした「U160DX」背面のカラーリングは光沢のある薄いブラウンで最近流行のカラーリングという

●自作関連のコーナーでは3DMark 11をデモ

 自作関連の話題では、「3DMark 11」のデモがMSIブースで行なわれたことで注目を集めていた。3DMark11は、FutureMarkが今年の夏にリリースを予定している3Dベンチマークで、MSIがパートナーとなっていることで、今回のCOMPUTEXでは同社が独占的にデモを行っている。表示されている映像は、ムービーファイルではなく、リアルタイムにレンダリングして出力している。

 MSIでは3DMark 11登場後、有料版の3DMark 11をビデオカードにバンドルすることが決定している。バンドルされる量も潤沢になるようで、限定的なバンドルに留まるといったことはないとしている。

 一方、ハイエンドユーザー向けのビデオカードは限定量出荷のモデルがいくつか展示された。1つは水冷ヘッドを搭載したGeForce GTX 480搭載製品「GTX480 HydraGen」。枚数限定で発売されるとのことだが、日本での発売は未定という。

 もう1つは「N465GTX Twin Frozr II Golden Edition」。製品名からも分かるとおりGeForce GTX 465を搭載するビデオカードで、MSI独自クーラーとしておなじみのTwin Frozr型クーラーのヒートシンク、ヒートパイプ、カバーを銅で製作した特別モデルとなる。こちらも限定販売となり、6月中旬以降に発売される見込みとのこと。

 ビデオカード関連の話題でもう1つ、ExpressCard接続の外付けGPUボックス「GUS」を展示。この手の製品は、こうした展示会ではさまざまなメーカーが展示を繰り返してきたが、自作ユーザが気軽に変える形で販売されることは皆無であったといっていい製品ジャンルだ。このGUSは、MSIが個人ユーザーに届けることを目標に設計したとしており、129ドルの価格で発売する予定という。発売時期は台湾で8月。9月以降はワールドワイドでも展開し、日本での発売も予定されている。日本では15,000円前後になる見込みという。

 製品はプラスチックのカバーながら2スロット占有型クーラーのビデオカード程度のサイズと、類似製品と比べても標準的か、やや小さいサイズになっている。ビデオカードは200mm程度のボード長まで収納可能とのことで、展示機ではRadeon HD 5670を収納してデモを行っていた。

 PC間インタフェースはExpressCard/34で、PCI Express x1での接続となる。x1接続による性能低下については、Radeon HD 5670ではPCI Express x16接続の状態と比べて80~90%程度の性能が出ているという。本製品が想定するミドルレンジ以下のGPUならば、インタフェースの転送レートよりもGPU側の性能がボトルネックになるケースが多く、PCI Express x1接続でもまずまずの性能が出せるとしている。

 ACアダプタは90Wで、利用できるビデオカードはこの容量に対応できるもの、ということになる。ケースにはExpressCardの信号を使ったUSB2.0ポートを装備。液晶ディスプレイの裏側に取り付けておくことなどを想定して、背面にはVESAマウントに準拠したネジ穴を備えている。

MSIブースで行なわれた3DMark11のデモ。有料版をビデオカードにバンドルすることが決まっている水冷ヘッドを備える「N480GTX HydroGen」
銅製のTwin Frozr IIを搭載する「N465GTX Twin Frozr II Golden Edition」ExpressCard接続の外付けGPUボックス「GUS」

 マザーボード関連のトピックは大きく2つ。1つは各社が展示しているSandyBridge対応のIntel 6シリーズの展示で、Intel P67を搭載するATX製品「P67A-GD65」と、Intel H67を搭載するmicroATX製品「H67MA-GD65」の2製品を展示している。

 もう1つはLucid Hydra採用の「Fuzion」モデルを低価格帯へ広げていくことだ。Lucidを初めて採用したBig Bang-Fuzionよりも安価なラインで、Intel P55搭載モデルと、AMD 870搭載モデルをそれぞれ展開するという。もちろんLucid Hydraによる異なるGPUを混載したマルチGPUも可能だ。製品の発売はAMD 870版が今月から来月にかけてを予定しており、Intel P55はその後の発売となる予定だ。

Intel P67を搭載する「P67A-GD65」Intel H67を搭載する「H67MA-GD65」

●MSIのお掃除ロボットは日本でも展開予定

 MSIのブースでは、数年前のCOMPUTEXで二足歩行ロボットを展示して来場者の人気を集めていたことがあった。ここ数年はロボット関連のデモをめっきり見なくなっていたが、実は今年に入ってロボット事業部が立ち上がったそうで、本格的にロボットの販売を行っていくのだという。この事業は日本でも展開される。

 その第1弾として今回展示されたのが、いわゆるお掃除ロボット。「R-1300」、「M-800」、「R-500」の3モデルが展示されている。R-1300はモーションJPEGやMPEG4によるストリーミング配信、JPEGによる写真撮影、インターネット経由でのリモートコントロール、5lux以下の暗部での動作に対応するなどの高機能モデルとなる。

 ただし、日本での発売が検討されているのは、M-800とR-500の2モデル。M-800は上述のR-1300独自の機能こそないものの、超音波センサーによる障害物検知を行うことで非接触で回避を行うタイプ。価格は4万円前後を予定。R-500はバンパー式で障害物に接触したことを検知して動くタイプ。価格は15,000円程度が予定されている。いずれも年末~年始にかけての発売が検討されているという。

最上位モデルのR-1300。超音波センサーのほか、前部にカメラを内蔵する高機能タイプ小型サイズのR-500はバンパー式で移動を行なう最廉価タイプ
超音波センサー式のM-800。前面と左右に配置された丸いマイクが超音波センサーM-800のダストボックスは上部から取り外しが可能M-800の充電器。自走式充電が可能
【動画】デモ用のお米を掃除する
【動画】充電器へ自動的に移動するデモ

(2010年 6月 4日)

[Reported by 多和田 新也]