【COMPUTEX 2010レポート】
MSIがタッチUIを採用した「WindPad」などを公開
~IntelはDIY向け新SKUを発表へ

MSIのWindPad。OSにはWindows 7を採用しており、独自のタッチUIを採用している

会期:6月1日~6月5日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
   Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
   Taipei International Convention Center



 台北で6月1日(現地時間)より開幕するCOMPUTEX TAIPEIに先立ち、ノートブックPC、マザーボードベンダーとして知られるMSIは、COMPUTEXの展示会会場となる南港展示会場において記者会見を開催し、同社が今後リリースする製品を多数公開した。その中には、タッチUIを搭載したWindPad、3D立体視に対応した液晶一体型PCなどを発表した。

 また、ゲストスピーカーとして呼ばれたIntelの関係者は、IntelがCOMPUTEXの期間中に、新しいDIYユーザー向けのSKUをリリースすることを明らかにした。

●MSI独自のマルチタッチUIを採用したPineviewコアAtomベースのWindPad

 MSIが記者会見で発表したのは、同社が「WindPad 100」と呼ぶタブレット型のPCだ。WindPad 100は、CPUにAtomプロセッサ(Pineview)を採用しており、チップセットはIntel NM10 Expressとなる。10型のマルチタッチ対応タッチパッド液晶を採用しており、タッチ操作が可能になっている。液晶の脇にはWebカメラも用意されており、Skypeなどの映像通話機能を利用できる。通信機能はWi-Fiと3Gを標準で内蔵しているほか、GPS、Bluetoothなどの機能も内蔵している。

 OSはWindows 7を採用しているが、タッチ機能としてMSIが独自に拡張した“Wind Touch UI”と呼ばれるUIを利用して操作できるようになっている。ドッキングステーションも用意されており、これに装着することで、USBポートやHDMI出力などの機能を利用できるようになっている。

 MSIの発表によれば、内蔵バッテリだけで8時間の駆動が可能という。重量は800g強となっており、PCとしてはそれなりに軽量といえるが、タブレットタイプのデバイスとしてはやや重めというところあたりになるだろう。なお、具体的な出荷時期と価格に関しては現時点では未定とのことだった。

本体の右側面はオーディオ出力だけ左側もインジケータが目立つぐらいだった。下にはドッキングステーション用のコネクタが用意されているすっきりしたデザインが特徴のWindPad 100、ドッキングステーションやWebカムなども装備されている
MSI独自のマルチタッチ対応UIやソフトウェアなどが搭載されている裏側のカバーは交換することができる、オプションとして提供される

●キーボードとデジタイザーがコンバーチブルになっているSketch Book

 MSIがプレスカンファレンスで公開したもう1つのノートブックPCは「Sketch Book」と呼ばれる、キーボードとデジタイザーがコンバーチブルになっているユニークなデザインのノートPCだ。液晶ディスプレイが回転するようになっているコンバーチブルタイプのノートPCは少なくないが、MSIのSketch Bookはキーボードの方が回転して、裏側にあるデジタイザーと交換して利用できるのだ。例えば、出先などで急に絵が描きたくなったときに、キーボードからデジタイザーに交換すれば、すぐに手書きの絵が描けるというわけだ。

 左上には、パナソニックのレッツノートシリーズを彷彿とさせるような円形のタッチパッドのようなジョグシャトルが用意されており、それを利用してPCを操作することもできるようになっている。

 ただし、今回はあくまで技術デモのみで、それ以外のスペックについては特に明らかにはされなかった。

Sketch Bookは新しい形のコンバーチブル型PC一見するとちょっとデザインが変わった普通のノートPCに見えるが……
キーボードが回転する。液晶ではなくキーボードが回転するというのは斬新なアイディア回転するとデジタイザーがあらわれて、付属のデジタルペンを利用できる

●“世界初の3D マルチタッチ AIO”として発表されたWind Top AE2420 3D

 MSIがもう1つ力を入れていたのが、MSIの関係者が“たぶん世界初の3D マルチタッチAIO”と表現した、「Wind Top AE2420 3D」というAIO(液晶一体型PC)だ。3Dとついていることからもわかるように、3D立体視の機能に対応しており、付属の3Dグラス(電子シャッター方式)を利用することで、本体だけでBlu-ray 3Dやゲームなどの3D立体視の機能を楽しむことができる。

 ただし、MSIの関係者も“3Dマルチタッチ”とつけたことからもわかるように、実際には3D AIOとしては世界初ではない。すでに先週日本でNECが3D AIOを発表済みであり、3D AIOとしてはそちらが世界初となる。しかし、Wind Top AE2420 3Dの液晶パネルはマルチタッチになっており、マルチタッチ液晶を採用し、かつ3D立体視の対応した製品という意味では世界初ということになる。

 スペックはCPUがCore i5-650、GPUにATI Mobility Radeon(どのSKUかは不明)、4GBのメモリとなっている。これまでAMDのGPUを搭載した製品で電子シャッター方式の3Dグラスを採用した製品はなかったので、そういう意味でも興味深い仕様といえるだろう。

マルチタッチに対応したAIOで3D立体視対応したのは世界初ということだWind Top AE2420 3D、GPUはMobility Radeonで、AMDのGPUを採用して電子シャッター方式に対応した製品は初めて見た付属の3Dグラス。NVIDIAの3D Visionに採用しているものとはデザインが異なっている。
MSIが展示した、3Dグラス、ステレオヘッドフォン、マイクが一体になったデバイス。確かに便利なような気もするが、かけている様子は普通の3Dグラス以上に強烈…

●IntelはCOMPUTEX期間中に倍率ロックフリーなDIY向けのCore iの追加SKUを発表へ

 このほか、MSIのプレスカンファレンスではIntelの関係者がゲストとして呼ばれており、その場でCOMPUTEX TAIPEIの期間中にCore i7-875K、Core i5-655Kという2つの追加SKUが発表されることが明らかにされた。

 それによれば、Core i7-875KはLynnfieldベースのクアッドコアCPUで、8MBのL3キャッシュ、HTテクノロジーに対応している。Core i5-655KはClarkdaleベースのデュアルコアで、4MBのL3キャッシュ、HTテクノロジー対応になっている。いずれの製品もCPUの倍率設定のロックが外されており、オーバークロックに向いた製品になっているという。

 なお、発表会後のデモでは、MSIがパートナーとなっている「3DMark11」のデモが行なわれた。3DMark11はDirectX11に対応した3Dベンチマークで、今夏に出荷予定になっており、今のところ動くデモを見ることができるのは、このCOMPUTEX TAIPEI期間中のMSIブースだけとなっており、こちらも要注目だ。

Core i7-875KとCore i5-655Kを説明するスライド、両製品ともCOMPUTEXの期間中に発表される予定今夏にリリース予定の3DMark11のデモ。MSIのブースでプレビュー版を体感することができる

(2010年 5月 31日)

[Reported by 笠原 一輝]