【Macworld 2010レポート】
会場で見つけた注目製品【iPhone/iPod編】

会期:2月9日~13日(現地時間)
会場:San Francisco The Moscone Center (モスコーニセンター)



 Mac編に続いて、iPhone/iPod編を紹介する。

 Ten One Designが発表した「inklet」は、マルチタッチに対応するMacBookとMacBook Proのトラックパッドをタブレットにするソフトウェアである。元はトラックパッドなので描画できる範囲こそ狭いが、ソフトウェアで画面内の描画エリアを指定したり移動したりできるようにすることで使い勝手を向上。筆書きを始め、メニュー操作も簡単にスタイラスペンを使って行なうことができる。スタイラスペンはiPhoneなどに使える静電容量方式のものなら他社製品でも利用可能だが、同社はiPhone/iPod用のスタイラス「pogo Stylus」も販売し、さらにinkletでの描画に向いた「pogo sketch」も提供している。組み合わせればMacBookを使った手軽なお絵かきに使えそうだ。inkletは同社サイトで24.95ドルでダウンロード販売されている。無料で体験できるトライアル版も用意されている。

本格的なタブレットというわけにはいかないが、ちょっとしたお絵かきなら十分に楽しめそうだ。なによりMacBookのトラックパッドがタブレットになるというのが面白い。画面ではグレーアウトしていないところが描画エリアとなる

□Ten One Designのホームページ(英文)
http://www.tenonedesign.com/

 今年の冬は東京でもたびたび雪が舞う寒さ。街中で身近なカフェを探したりTwitterへつぶやいたり、寒さを堪えてかじかむ指先でiPhoneを操作する経験をしたユーザーも少なくなかっただろう。この「Telefingers」は見た目は(軍手っぽい)手袋だが、ずばり、防寒しながらiPhoneを操作できるニット手袋なのだ。iPhoneに限らず各種のスマートフォン、Kindle、GPS機などでも利用できる。この指先部分には静電容量方式に対応する素材が付いているので、マルチタッチもサポート、さらに掌側にはスリップ防止の仕組みもついている(そこが軍手感を誘うのだが…)。価格は15ドル。

 いまのところ黒単色しかないのが女性には気になるところかも知れないが、いずれそのあたりは改善されるだろう。夏には防風、防水加工されたスタイリッシュなモデルも30ドルで登場する見込み。こちらは色も選べるようになるそうだ。カメラを扱うユーザーならピンとくるかも知れないが、指先のみを出す機能のついたモデルもやはり夏頃までに25ドルで用意されるという。

左と中央の写真はTelefingersのもの。同様の製品は会場内にいくつかあり、プロトタイプ(写真右)を出展していたメーカーもあった。こちらの発売時期や価格は未定。競合があるという点でも、来年の冬までにはかなりの製品が出揃いそうな気配である

□Telefingersのホームページ(英文)
http://www.telefingers.com

 iPhone/iPod用の高性能コンデンサマイク「MIKEY」。発売するBlue Microphonesは、カリフォルニアに本社をおくマイクメーカーである。好評の現行モデルに加えて、初夏には新モデルを投入するということで、同社ブースでデモを行なっていた。新モデルでは新たにライン入力端子とmini USB端子を搭載。MikeyをiPhone/iPodに取り付けた状態での充電と同期にも対応するようになる。

 さらに従来モデルでは180度だったマイク部分の回転角を背面まで回り込める230度へ向上させている。これはiPhoneに付いたカメラと同じ方向へマイクを向けやすくすることで、Ustreamをはじめとした個人によるストリーム配信などへの利便性を考慮した改良点でもあると言えよう。従来モデルは79.99ドルで継続販売され、新モデルの予価は99.99ドルになる見込み。

MIKEYの新モデル。本体横にmini USBコネクタ、上部にライン入力端子を備える。44KHz/16bitのモノラル/ステレオ録音が可能で、3段階のゲイン調整ができる。ライブレコーディングや取材メモなどにも有用。ブースでのデモはaudiofile engineeringのiPhone App「FiRe」を使って行なわれていた

□Blue Microphonesのホームページ(英文)
http://bluemic.com/

 天体望遠鏡の制御にiPhoneを利用するソリューションをCarina Softwareが披露。望遠鏡を向ける方位や角度を制御する機器に信号を伝達するユニットにWi-Fi機能を搭載した。「Sky-Fi」と名付けられたこのアダプタは、Wi-Fi経由で受信した情報を望遠鏡側の制御機器にシリアルデータとして送信する。つまりSki-FiとiPhoneをWi-Fiによって接続しておけば、iPhoneのアプリケーションを使って見たい星座や惑星を選択することで、簡単に観測したい方位に望遠鏡を向けることができるという仕組み。Sky-Fiのアダプタ本体は149.95ドル、iPhone用のアプリケーション「SkyVoyager for iPhone」は14.99ドルで、Macworld開幕当日より販売が始まった。

デモンストレーションが行なわれたBest of Showの会場で、天体望遠鏡がぐるっと動いた際には会場から大きな歓声が沸き起こった。ちなみにSky-Fiのアダプタは単3乾電池4本で約8時間の利用が可能らしい。ひと晩の観測には充分ということだろう

□Carina Softwareのホームページ(英文)
http://carinasoft.com/

 iPhoneのクリック音だけではどうも文字入力をした気がしない、という人向けのスキンが4iThumbsから発売された。iPhoneやiPod touchのガラス面の保護にスキンを貼っているユーザーは少なくないと思われるが、このスキンはキーボードが表示される部分に合わせて突起が付いているのが特徴。表示された文字を確実に選び、そしてクリック感も感じられるようにするというアイディアだ。縦位置、横位置の両方が用意されており、なぜかそれぞれに価格の異なる14.95ドルと16.95ドル。取り付けや取り外しは容易で、使わないときは背面に収納しておけるパーツも付属している。セットで買えば19.95ドルになるが、当然英語配列のみでフリック入力や絵文字などには対応していない。

ちょっと角度をつけて撮影してみると突起感がよくわかる。真正面から見れば付いていてもそれほどの違和感はない。仕組みとしてはスキンというよりはカバーに近く、上下端に貼り付けた固定具に挟み込む仕掛け。本体背面にも固定具を付けて、使用しないときや縦横位置の使用しない方を挟んでおける

□4iThumbsのホームページ(英文)
http://web.me.com/ryouthsave/4ithumbs/Home.html

MiLiのブランド名でiPhone/iPodのアクセサリを販売するHali-Powerが、小型プロジェクタ「MiLi Power Projector」を展示していた。30ピンコネクタが付いているので、iPhoneやiPodから簡単にコントロールできる。解像度は640×480ピクセルで明るさは10ルーメンだが、お手軽なプロジェクタとしてはなかなか楽しめそうな製品。デザインは、同社がこれまで販売してきたバッテリ内蔵のジャケットと合わせてあるのも好印象。同一コンセプトのUSB電源アダプタも展示されていた

□MiLiのホームページ(英文)
http://www.iphonemili.com/

ズンズン感が満載なTunebugのスピーカーユニット。有線の「Vibe」は机やテーブルなどの平面や、あるいは段ボール箱などをそのまま振動板にして音を鳴らす。「Shake」のほうはその無線版とも言えるもので、BluetoothのA2DPによってiPhone/iPodなどと接続する。写真にあるようにヘルメットにマウントして、マウンテンバイク、スケボー、スノーボードなどスポーツシーンでの利用を想定しているという。電源のオン/オフやボリューム調整などはタッチ式になっており、ユニットはもちろん防水対応とのことだ。Vibeは69.95ドルですでに販売中。Shakeは119.95ドルで4月から出荷予定

□Tunebugのホームページ(英文)
http://www.tunebug.com/

iPadと同時に発表されたApple純正のドック付きキーボードがiPhoneでも使えないものかと期待を寄せているユーザーも多いはずだ。そんな中、Apple純正のWireless Keyboardをカスタム化したiPhone用キーボードの看板を発見。カスタムキーボードやキーボードショートカットが印刷されたスキンを発売するXSKNのヨーロッパディビジョンが自社ブース頭上の看板でのみ紹介していたが、残念ながら実機の展示は見あたらなかった

□XSKNのホームページ(英文)
http://www.xskn.eu/

USBを充電のニーズはここまで来た! 確かにあると便利かとも思えるが、導入には当然工事が必要になる。日本国内でも認可のうえで製品化されるときは、ガジェット好きなら見逃すわけにいかない…かも
全米200店舗ほどのApple直営店であるApple Storeと、オンラインのApple Storeで先行販売が始まったバッファローの「DUALIE」。Macworld会場でも紹介されていた。現在は、日本のApple Storeでも予約受付が始まっている新紙幣? 展示会場の入り口付近にゲリラ的に置いてあった5ドル分の割引券。記載されている通販サイトはMacworldの出展者ではない。ちなみに、オーダー時に記載されているプロモーションコードを入力することで割引が受けられるようだ

2011年の開催日程もアナウンスされた。来年は1月22日から25日の予定になっている

 当初発表からの開催日変更、さらに併催予定だったShow Stoppersの中止、加えて展示会開幕の前日に予定されていたメディア向けのインディーズデベロッパーによるプレゼンテーションイベントが当日になってドタキャンされるなど、終末感が漂うなかで開幕したMacworldだが、開けてみると例年並みとは言わないまでもなかなかの熱気が感じられる内容になっていた。

 とはいえ、やはり会場で目にするものは「すでにInternational CESで見た」製品が目立つのも疑いのない事実である。先に述べてきたように、International CESを主催するCEA側は、はやくもiPhone/iPod/Macに特化した展示エリアの増床をアナウンスしており、出展者の獲得に自信を見せた様子だ。夏期Macworldのボストン開催がなくなってしまった際も当初開催発表がありながら残念にもフェードアウトしてしまった経緯がある。

 Macworldを主催するIDG World Expoは、2月13日(現地時間)にMacworld 2010の閉幕を受けて2万人を超える来場者が訪れたことを発表した。さらに2011年のMacworld開催は1月22日~25日とアナウンスされている。International CESとの開幕時期の差は今年よりさらに縮まって、わずか2週間余りしかなくなる。Apple関連製品への冷めやらぬユーザーの熱気とはうらはらに、魅力ある展示会としてMacworldが継続できるかどうかは不透明なままである。

(2010年 2月 15日)

[Reported by 矢作 晃]