無線ネットワーク技術の総合展示会「ワイヤレスジャパン2009」が開幕
~WiMAX関連の展示で賑わう

会場の東京ビッグサイト

会期:7月22日~24日
会場:東京ビッグサイト



 無線ネットワーク技術の総合展示会である「ワイヤレスジャパン2009」が7月22日から24日の会期で開幕した。会場は東京ビッグサイト。入場料は3,000円だが、事前登録すると無料となる。

 展示内容は、携帯電話関連の製品や技術、サービスが主体となるが、7月から有償サービスを開始したUQコミュニケーションズが出展し、WiMAX内蔵PCや周辺機器などを多数展示。本稿ではこれらPC関連のものについてレポートする。

 UQコミュニケーションズのブースでは、WiMAXモジュールを内蔵した、パナソニックの「Le'tnote F8」、富士通の「LOOX R」、東芝の「dynabook SS RX2」、オンキヨーの「SOTEC C204A4」や、本日発表されたばかりのレノボ・ジャパンの「ThinkPad T400s」の実機が展示。もちろん、WiMAXに接続されており、その場で使い勝手や通信速度などを試すことができる。

パナソニックの「Le'tnote F8」富士通の「LOOX R」東芝の「dynabook SS RX2」
オンキヨーの「SOTEC C204A4」レノボ・ジャパンの「ThinkPad T400s」これらに採用されるIntelのWiMAX対応モジュール

 また、USBアダプタを接続した参考展示ではあるが、ASUSTeKの「U20A」、日本HPの「EliteBook 2530p」、日本エイサーの「Aspire Timeline AS3810T」、デルの「Studio XPS 16」、シャープの「PC-NJ70A」、エムエスアイコンピュータージャパンの「X-Slim X340 Super」なども、今後WiMAX搭載モデルが予定されているということで、デモ機が用意されている。

 このほかPC以外の応用例として、凸版印刷のネットワーク型デジタルサイネージ端末や、クラリオンのカーナビ、シンセイコーポレーションの手のひらサイズの小型Wi-Fiゲートウェイ、アイ・オー・データ機器のルータ向けのモバイルバッテリ、NECのモバイルルータなども展示されている(一部は未発表の参考展示)。

WiMAX搭載予定機も一堂に展示。この内一部は実機も解放されている凸版印刷のネットワーク型デジタルサイネージ端末クラリオンのカーナビ
シンセイコーポレーションWi-FiゲートウェイNECのモバイルルータアイ・オー・データ機器のWiMAXルータに使えるモバイルバッテリ

 KDDIのブースでは、先日発表された、USBを赤外線に変換する通信アダプタの実動デモが注目を集めている。これはUSB 2.0の電気信号を赤外線通信に変換して、無線通信を行なうもの。モジュール側でUSB通信をエミュレートするため、PCや携帯電話などUSBデバイスには変更を加えることなく、そのまま利用できるのがメリット。

 また、赤外線通信には1Gbpsという高速な通信が可能な「Giga-IR」を採用しているのも特徴。現状ではUSB 2.0の通信速度が480Mbpsであることや、携帯電話側の性能などもあり、デモ機の実行通信速度は数Mbps程度とのことだが、今後、端末の性能向上や、USB 3.0への移行などにより、高速化させていくという。

 現在同社では、IrDAにおいてGiga-IRの標準化活動を行なっているところで、このUSB赤外線変換については2010年以降、商品化を目指していく。

USB赤外線変換装置をつけた携帯電話とレシーバ。レシーバはPCに繋がっている中央付近の小さい小窓のようなところから赤外線を送受信する。将来的には内蔵も予定

 KDDIの展示でもう1つ紹介しておきたいのが、microSD型の無線LANアダプタ。SDカード型の無線LANアダプタはアイファイジャパンがすでに製品化し、発売しているが、こちらはより小型なmicroSDを利用。フォームファクタからも想像できる通り、携帯電話での利用を想定している。

 すでに一部のハイエンドな携帯電話では無線LAN機能を持ったものがあるが、これは外付けとすることで、より多くの端末で、IEEE 802.11b/gによる無線LAN通信を可能にする。当然利用に当たっては、端末側にドライバや切り替えのソフトウェアなどを用意する必要がある。KDDIでは現在、端末メーカーにソフトウェアの実装を働きかけている段階。

 ハードウェアはミツミ電機およびルネサステクノロジのものがすでに製品化されているので、端末側での受け入れ準備ができ次第、利用可能となっていく。ちなみに、一般的携帯電話の待ち受け時の消費電力は2mA程度だが、このアダプタの待機消費電力は0.7mA程度となっている。

ミツミ電機とルネサステクノロジのmicroSD型無線LANアダプタ携帯電話の実機に入れたデモPCに繋いだデモも行なわれている

 このほかおもしろかった展示としては、日本Androidの会のブースでサン電子の3G対応ルータ「Rooster-G8.0」に、Androidをインストールしてデモしている。これは、単にルータのOSを入れ替えたのではなく、Androidによって、より汎用的な機能を追加することで、もともとはサポートしてないUSBディスプレイを接続可能にし、一種のデジタルサイネージ端末に変身させている。

 AndroidもUSBディスプレイに使われているDisplayLinkチップのドライバもフリーで公開されているため、既存のハードウェアに大きな追加コストをかけることなく、新しい用途に展開できるというおもしろい用途だと言える。

左にあるのはもともとはルータだが、Androidを入れることでPC的に利用できるようにしているUSBディスプレイなどを繋げば、ルータがデジタルサイネージ端末に早変わり

(2009年 7月 22日)

[Reported by 若杉 紀彦]