【COMPUTEX 2009レポート】
多数展示されたIntel 5シリーズマザーを一挙紹介

Intel P55マザーに掲示されたロゴ



●Intelブースでは2010年登場予定のチップセットをデモ

 今年3月にドイツで行なわれたCeBITにおいても一部が展示されたIntel 5シリーズマザー。今回のCOMPUTEX TAIPEIでは、IntelのカンファレンスでLynnfieldが紹介されるなど、製品化の足音が着実に近づいている印象を強く抱かせる。とくに、CeBITのさいにはIntel P55マザーの展示は行なわれたが、デモは行なわれていなかったと伝え聞くのに対し、COMPUTEXの会場では多くのメーカーが実際に稼働させてのデモを行なっているのが特徴といえるだろう。

 そんな中、Intelブースにおいては、Intel P55だけでなく、Intel H57を用いたデモを行なっていた。Intel H57はグラフィック統合型CPUのClarkdaleに対応し、CPUに内蔵されたグラフィック機能からディスプレイへ出力を行なう機能を持つチップセットだ。

 このIntel H57のデモの1つはBlu-rayのHD映像をスムースに再生できることを示すデモである。Clarkdale内蔵グラフィック機能がHD映像の再生アクセラレーションが可能であることを示すものだ。

 マザーボードはMSIの「H57-ED65」と書かれたものが利用されており、ディスプレイとはHDMIを介して接続されている。実際に映像も見ても、コマ落ちなどもなくスムースに再生されていた。

 もう1つは、筆者が訪れた際には行なわれていなかったのだが、Brainwoodの有効性を示すデモが実施されているようである。デモで利用されたのはGIGABYTEの「GA-HDB」というマザーボード。このマザーボードは、Brainwoodで使われるフラッシュメモリをオンボードに実装している。

 Brainwoodの実装形態は、このようなオンボードに直接実装するタイプのほか、スロットを用いたものも提供されることになっている。来年登場する、Intel P57/H5xシリーズのマザーボードでは、このスロットを持つものも多く見られるだろう。

 ところで、今年登場するIntel P55ではBrainwoodをサポートしていない。にも関わらず、後述する会場内で展示されていたIntel P55搭載製品の中には、Brainwood用のスロットを搭載したものも存在する。ベンダーによっては搭載したまま出荷するとしているところもあり、何らかの活用方法があるのかも知れない。

 実はデモで使われているGIGABYTE製マザーも、Intel P55を搭載しているという。ブースの説明員になぜIntel P55でBrainwoodが動いているのか訪ねると「分からない」の答え。おそらく、チップ自体は同じでSKUに応じて機能の有効/無効を切り替えているだけと思われ、このマザーボードはBrainwoodを有効にしたサンプル品なのではないかと想像される。

MSIのIntel H57マザーを利用したBlu-ray再生のデモGIGABYTEの「GA-HDB」にオンボード実装されたフラッシュメモリ(上)。デモでは、それを取り外したもの(下)と比較していたBrainwood用のフラッシュメモリモジュールを装着するスロット

●会場内のIntel 5シリーズマザーを紹介

 以下、会場内で見ることができたIntel 5シリーズマザーを一挙に紹介する。今年第3四半期にも登場が予定されているIntel P55マザーがほとんどだが、Intel H5xやIntel P57は2010年登場予定だが、すでに何社かの製品が展示されており、製品化に向けて順調に進んでいることが伺える。

 なお、すでに他のレポートで掲載済みの製品も、本稿では改めて掲載している。

Intel 5シリーズのチップセット。コードネームであるIbexPeakを意味すると思われる「IBX」の文字を見ることができるECSの「IBXH-CM」。詳しい仕様は不明だが、Intel H57を搭載するとのことMSI「H57-ED65」。Intel H57搭載製品。オンボードPowerスイッチを搭載するなど、自作ユースを意識した作りが伺える
Shuttle「FH57」。Intel H57搭載製品。同社のベア製品向けマザーASUSTeK「P7P57 PRO」。Intel P57搭載製品。PROの名ではあるが、見るからにプロトタイプの雰囲気。Intel Management Engineに対応しているASUSTeK「P7P57」。Intel P57搭載製品。PRO版とはIEEE1394の有無が異なっている
ASUSTeK「P7P57 LE」。Intel P57搭載製品。PCI Expressスロットの構成が異なり、ビデオカードの2枚挿しができないFOXCONN「Inferno Katana GTI」。Intel P57搭載製品。FOXCONNは今回ブースがなく、詳しい仕様は不明FOXCONN「Inferno Katana」。Intel P57搭載製品
ASRock「P55 Deluxe」。Intel P55搭載製品。16フェーズの電源回路を備え、3-way SLI/CrossFireをサポートするASRock「P55 Extreme」。Intel P55搭載製品。こちらは電源回路が8フェーズとなるほか、ビデオカード2枚までのSLI/CrossFireのサポートになる。ASUSTeK「P7P55 PRO」。Intel P55搭載製品。電源回路のフェーズを切り替えるXtreme Phase、OC機能のTurboVをサポート
ASUSTeK「P7P55」。Intel P55搭載製品。Xtreme Phase非対応の標準仕様製品ASUSTeK「P7P55 LE」。Intel P55搭載製品。無印品の下位モデルだが、eSATAの有無程度の違いで、差は大きくないBIOSTAR「TPOWER I55」。Intel P55搭載製品。SLI/CrossFire両サポート、Intel MEサポートなどが特徴
BIOSTAR「TP55 XE」。Intel P55搭載製品。CrossFireはサポートするがSLIは非サポート。Intel MEにも対応しないDFI「LanParty P55-T3eH10」。Intel P55搭載製品。VRMには10フェーズデジタルPWMを使用。SLI/CrossFire両対応。上から伸びているのはUSBケーブルで、Intel MEと連携して、ほかのPCからBIOSの設定変更や復旧が行なえるというものDFI「LanParty DK P55-T3eH8」。Intel P55搭載製品。こちらはVRMが8フェーズデジタルPWMとなるほか、SLI非対応でCrossFireの対応となる
ECS「P55H-A」。Intel P55搭載製品。CrossFireのみ対応。メモリはDDR3-1600まで対応可能FOXCONN「P55A-S」。Intel P55搭載製品。幅の狭いATX製品で、構成は極めてシンプルFOXCONN「P55MX」。Intel P55搭載製品。こちらはmicroATX製品だが、インタフェース周りを見るとPCが主用途ではなさそうである
GIGABYTE「GA-EP55-UD5」。Intel P55搭載製品。同社のP55製品の最上位モデルとなる。GIGABYTE製品に関しては別掲の記事も参照されたいGIGABYTE「GA-EP55-UD4P」。Intel P55搭載製品。セキュリティ機能の「Smart TPM」を備えるのが特徴の製品GIGABYTE「GA-EP55-UD4」。Intel P55搭載製品。CrossFire/SLI両対応の標準より少し上位の位置付けとなる製品
GIGABYTE「GA-EP55-UD3R」。Intel P55搭載製品。最廉価モデルとなりSLIへの対応などが省かれているが、SATA 6Gbpsコントローラは装備GIGABYTE「GA-EP55-UD3P」。Intel P55搭載製品。GA-EP55-UD3RにSmart TPMサポートなどが追加されているGIGABYTE「HP55MK」。Intel P55搭載製品。HTPCなどが主用途となる製品
GIGABYTE「GA-HDB」。Intel P55搭載製品。PCI×4本という今どき珍しい仕様に目が留まるGIGABYTE「GA-HD」。Intel P55搭載製品。GA-HDBに近い仕様のmicroATXフォームファクター版Jetway「HUMMER HI05」。Intel P55搭載製品。デュアルLANやPOSTコード表示パネルの装備が特徴
Jetway「KUROSHIO BI-700」。Intel P55搭載製品。HI05とは別セグメントの一般DIYユーザー向け製品。LANが1系統、PCI×2といった仕様の違いもあるJ&W Technology「JW-P55T-EXTREME」。Intel P55搭載製品。SLI/CrossFire両対応。デュアルLANを備えるJ&W Technology「JW-P55M-HD」。Intel P55搭載製品。製品名でも分かるとおりHDMIやDVIを有しており、Intel H5xの搭載を前提としたデザインの可能性もある
Mitac「PH10HBU」。コスト重視の製品か、かなりシンプルな作りMSI「P55-GD80」。Intel P55搭載製品。CPUのVRMが充実しているほか、メモリやチップセットにも2フェーズVRMを備えるMSI「P55-GD65」。Intel P55搭載製品。GD80に比べ、各VRMがシンプルなほか、PCI Express x16が2基のみとなる
MSI「P55-CD45」。Intel P55搭載製品。展示品のなかでは最廉価の製品だが、全製品Dr.MOSはサポートしているShuttle「FP55」と書かれたパネルの上には,先述のIntel H57搭載マザーの「FH57」と同一の基板が展示されていた。基本的な設計は流用できるのだろう

(2009年 6月 8日)

[Reported by 多和田 新也]