Shuttle、VIA Nano採用ベアボーンやIntel 5シリーズマザーボードを展示
VIA Nano搭載スリムベアボーン「XS29F」。コンパクトかつファンレス仕様のケースを採用、ACアダプタ駆動で静音性に優れる。また動画再生支援機能搭載で、HD動画もスムーズに再生可能だ |
会期:6月2日~6日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
Taipei International Convention Center
搭載マザーボードの「FM26F」。チップセットはVIA VX800で、メインメモリは最大4GBまで搭載可能。映像出力は、DVIとアナログRGBを用意 |
キューブ型ベアボーンでおなじみのShuttleは、VIA Nano採用のスリムケースベアボーン「XS29F」を展示した。
XS29Fは、CPUとしてVIA Nano U1700(動作クロック1.0+GHz)が搭載されている。VIA Nanoは、VIA C7の後継として用意されたCPUで、VIAのCPUとして始めてスーパースケーラアーキテクチャを採用し、アウトオブオーダー実行をサポート。64bit命令セットおよびSSE3にも対応しており、同クロックのC7よりも優れたパフォーマンスを発揮する。また、省電力性に優れる点も特徴で、X29Fはファンレス仕様となる。ストレージドライブとしてSSDのみを搭載すれば、無音マシンとして利用可能だ。
本体サイズは185×250×70mm(幅×奥行き×高さ)、と非常にコンパクトで、他のキューブベアボーンと比較すると1/3ほどの体積しかない。ドライブベイは、スリム光学式ドライブと2.5インチHDD用がそれぞれ1個ずつ用意される。電源は、60WのACアダプタが付属する。
搭載マザーボードは「FM26F」で、チップセットはVIA VX800を搭載。メインメモリ用のDIMMスロットが2本(DDR2-533/667対応、最大4GB)、SATA(3Gbps)×2、IDE×1、PCI×1(ただしケースに拡張スロットがなく、事実上利用不可能)。オンボードデバイスとしては、サウンド(VIA 1702S)と100BASE-TX対応の有線LANを搭載。映像出力は、DVIとミニD-Sub15ピンが用意されている。
発売時期は、6月末から7月頭を予定しており、価格は17,000円前後とかなり安価となる。CPUの動作クロックが低いため、Atom搭載ベアボーンよりパフォーマンスは劣ると思われるが、価格を考えると用途によっては十分魅力がある。
こちらは、Atom N270搭載のスリムベアボーン「XS23 HD」。XS29Fとほぼ同じ仕様のスリムファンレスケースを採用。フロントパネルなどデザインは若干異なる |
スリムケースのベアボーンは、さらにもう1製品を展示。「XS32 HD」という製品で、Atom N270+Intel 945GSE Express搭載マザーボードを採用する。XS32 HDも、XS29F同様にファンレス仕様で静音性に優れるとともに、ケース底面のゴム足部分のネジ穴がVESAマウンタに合わせた位置に用意されており、液晶パネル裏に固定して利用できるという特徴がある。
そして、このXS23 HDにはもう1つ大きな特徴がある。それは、Broadcom製のデコーダを搭載するMini PCI Express仕様のデコードカードが取り付けられ、Blu-ray DiscなどのHD動画をスムーズに再生できるという点だ。Intel 945GSE Express内蔵のグラフィック機能を、ハードウェアデコーダを搭載することで補強しているわけだ。
本体サイズは185×250×70mm(同)でXS29Fと全く同じだ。ただ、フロントパネルのデザインは異なっており、見た目が全く同じというわけではない。ドライブベイは、スリム光学式ドライブと2.5インチHDD用をそれぞれ1個ずつ用意。電源は、60WのACアダプタが付属する。
搭載マザーボードは「FM31」と呼ばれるものだ。メインメモリ用のSO-DIMMスロットが1本(DDR2-400/533に対応し、最大2GBまで搭載可能)、SATA(3Gbps)×2、IDE×1、Mini PCI Express×1、PCI×1(同)。オンボードデバイスは、HD AudioとGigabit Ethernetを搭載。映像出力は、HDMIとミニD-Sub15ピンが用意されている。
発売時期は現時点でまだ確定しておらず、9月から10月頃にかけての発売で調整中だそうだ。価格は2万円前後を予定。また、デコードカードもオプションとしての単体発売を検討しているそうだ。
VESAマウンタ対応で、液晶の裏に取り付けて利用できる | Broadcom製のデコーダを搭載する、Mini PCI Express対応のデコードカードが搭載され、HD動画をスムーズに再生可能 |
搭載マザーボードの「FM31」。大型のヒートシンクを採用し、ファンレス仕様を実現 | 背面。映像出力としてHDMI端子を備えている |
このほか、ベアボーンの新モデルとして、AMD 760G搭載マザーボードを採用する、Phenom II対応ベアボーン「SA76G2」や、10.2型ワイド液晶搭載のネットトップ「X Vision X30」なども展示。SA76G2は、「SN68SG2」などで採用されているケースを利用した製品で、Phenom IIに対応するエントリーモデルとして位置付けられている。価格は2万円前後とかなり安価に抑えられる予定。また、X Vision X30については、参考出展ということで発売は未定。メインPCの液晶の横に置いて、サブディスプレイ的に使ってもらいたいと考えているそうだ。また、映像入力端子の用意も検討中、とのこと。
ところで、今回はベアボーンとしての展示はなかったものの、Intel P55 Express搭載マザーボード「FP55」と、Intel H57 Express搭載マザーボード「FH57」も展示されていた。これらは、10月頃を目途に登場予定の新ベアボーンで利用される予定だそうだ。
●VIAブースでもNanoシステムを展示
VIA Technologiesブースでも、VIA Nano搭載システムが展示されていた。基本的には組み込み用途の製品が中心だったが、自作ユーザーにとって気になる製品も存在していた。
それは、VIA NanoにチップセットVIA VX800を組み合わせ、さらに外部GPUとしてS3 Chrome 435 ULPを搭載した、Mini-ITX仕様のマザーボード「VIA VB8003」だ。VX800内蔵グラフィック機能とChrome 435 ULPを組み合わせることで、最大5個のディスプレイを接続できるという。
実際にブースでは、DVI-I出力をDVI-DとアナログRGBに分岐させるとともに、アナログRGB、HDMI、ビデオの各出力を利用して5台の液晶ディスプレイを接続し、4種類のMPEG-4動画を同時に再生するデモが行なわれていた。全てのMPEG-4動画がスムーズに再生されており、優れたパフォーマンスが確認できた。これだけのパフォーマンスがあれば、Atom搭載のMini-ITXマザーとも十分に張り合えるはずで、一般ユーザー向けとしても発売してもらいたい製品だ。
Nano搭載マザーボードとしては、Mini-ITXよりもコンパクトな、Em-ITX仕様の「EITX-3000」も展示。POSやATM、情報操作端末など様々な用途に対応できるように、I/Oや機能を拡張するサブボードも複数用意されている。
その他としては、Pico-ITXeやMobile-ITX仕様の超小型マザーボード、車載向けのシステムなどを展示していた。
(2009年 6月 5日)
[Reported by 平澤 寿康]