【COMPUTEX 2009レポート】
Microsoft Forum 2009レポート
~Windows 7の発売日を発表、アップグレードオプションにも言及

米Microsoft OEM部門コーポレート副社長のスティーブン・グッゲンハイマー氏

会期:6月2日~6日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
   Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
   Taipei International Convention Center



 Microsoftは、COMPUTEX TAIPEI 2009の会場に隣接する台北国際会議センター大会堂で基調講演を行ない、今年後半に発売が予定されているWindows 7の詳細などについて解説した。

 今回の基調講演の大半は、Windows 7やWindows Server 2008 R2を核として、Windows Embeddedをベースとするデジタル携帯機器やデジタルフォトフレーム、メディアプレーヤーなどの小型デバイス、Windows Mobile対応の携帯電話などとシームレスな連携を実現するとともに、インターネットを介していつでもどこでも同じコンテンツにアクセスできることを強調し、実際にさまざまな製品を取り上げて、その利便性を強調する内容だった。

 登壇した米Microsoft OEM部門コーポレート副社長のスティーブン・グッゲンハイマー氏は、「我々の目標は、ソフトウェアとインターネットを利用して、PC、TV、携帯電話など、世界中のさまざまなデバイスを結合させ、全てにおいてシームレスな操作環境や体験を実現することだ」と語るとともに、「消費者が求める、いつでも、どこでも、どのようなデバイスを利用しても、同じように操作で、同じコンテンツを利用できる製品を実現するには、OEMパートナーとの協力が不可欠で、それによって革新が実現される」とし、いくつかの製品取り上げてOEMパートナーとの協力の成果を示した。

 まず最初に示されたのが、NVIDIAのTegraプラットフォームに対応する、Windows Embedded CEベースの携帯ネットワークデバイスや、Windows Mobile対応の携帯電話だ。双方ともタッチパネル液晶を搭載し、タッチ操作で映像の表示や音楽の再生、Webブラウザを利用したWebアクセスを行ったり、インターネット経由でPCに保存されているコンテンツにアクセスして利用できることなどが紹介された。

ソフトウェアとインターネットを利用して世界中のデバイスを結合し、シームレスな体験を実現することがMicrosoftのビジョンだNVIDIAのTegraプラットフォーム対応の携帯ネットワークデバイスを紹介Windows PCと音楽コンテンツを共有し、ネットワーク経由で再生できる
Webブラウザを搭載し、Webアクセスも可能タッチパネル搭載のWindows Mobile搭載携帯電話も取り上げられた

  次に、コンテンツを管理するOSとして、Windows Home ServerとWindows Server 2008 R2が取り上げられた。グッゲンハイマー氏は、「静止画や動画など、家庭のPCで扱うデジタルコンテンツが増えたことに伴い、デジタルコンテンツの共有だけでなく、コンテンツを守るセキュリティも重要になる」とし、Windows Serverをベースとして、優れたセキュリティを実現するWindows Home Serverの優位性を強調。また、Windows Server 2008 R2については、既に発表済みのように、大企業などのエンタープライズビジネス用途をターゲットとする「Datacenter」、中~大規模ビジネスをターゲットとする「Enterprise」、小規模ビジネス用途をターゲットとする「Standard」、3~15ユーザー程度のさらに小規模なビジネスをターゲットとする「Foundation」の4製品が用意されることが紹介された。

 その後、Windows 7の解説へと移り、起動時間の速さから始まり、サイドバーがなくなりガジェットを好きに配置できるようになったこと、タスクバーの仕様が変更となり、タスクバー上に表示されるボタンがアプリケーションごとにまとめられるようになったこと、タスクバーのアプリケーションボタンにカーソルを合わせると、そのアプリケーションの全ウィンドウがサムネイル表示されること、タスクバーに頻繁に利用するアプリケーションを登録できることなどが改めて紹介された。

 また、ネットブック搭載OSとしても、Windowsが広く採用されていることを示しつつ、Windows 7には、「Starter」、「Home Premium」、「Professional」の3エディションが用意され、ネットブックにはWindows 7 Starterが最適であるとした。

 さらに、Windows 7とWindows Embeddedの間でデジタルコンテンツを簡単に共有できることが紹介され、Windows 7からネットワークメディアプレーヤーや携帯デバイスにメディアファイルを転送し、再生させるデモが行なわれた。

 このように、基調講演の大半が、これまでに語られてきたことについておさらいするといったものであったが、後半に大きなアナウンスが控えていた。それが、Windows 7の発売日の発表だ。

 グッゲンハイマー氏は「ホリデーシーズンに間に合うようにWindows 7を発売する」と語り、Windows 7とWindows Server 2008 R2を、2009年10月22日に発売すると発表。また、Windows 7にアップグレードできる「Windows 7アップグレードオプション」が用意されることも同時に発表した。早ければ、7月以降に発売されるWindows Vista搭載PCで、順次Windows 7へのアップグレードオプションが付与されることになる可能性が高い。

 さらに、OEMパートナー向けとして、Windows 7およびWindows Server 2008 R2のRTM版が、7月後半より提供されることも発表された。これによって、7月後半以降、PC業界が一気にWindows 7に向かって動き出すことになるだろう。

ステージ上には多数のWindows Mobile対応製品が並べられたWindows Home ServerおよびWindows Server 2008 R2を取り上げ、サーバーの重要性や製品の特徴などを解説「Windows 7がすばらしい体験を提供する」とし、Windows 7の特徴が紹介された
デスクトップを示し、シンプルになったことを紹介タスクバーの仕様が変更されたことなどを紹介現在、ネットブックのほとんどが搭載OSとしてWindowsを選択している
Windows 7は、ネットブックから薄型・軽量ノートまで全てのノートをカバーするWindows 7上のメディアプレーヤーから、Windows Embedded対応機器にコンテンツを転送して再生が行えることを紹介TVに接続されているネットワークメディアプレーヤーに動画ファイルが転送され、自動再生される
Windows 7およびWindows Server 2008 R2は2009年10月22日に発売、同時に、Windows 7へのアップデートが行える「Windows 7 アップデートオプション」が用意されることも発表OEMパートナー向けには、7月後半よりWindows 7およびWindows Server 2008 R2のRTM版の提供が開始される

(2009年 6月 4日)

[Reported by 平澤 寿康]