【COMPUTEX 2009レポート】
ECS、壺型PCや統合型Atom搭載ベアボーンを展示
~VAIO type PのようなAndroidネットブックも

ECSの壺型のPC。HDMI出力とACアダプタなどのコネクタは背面にあり、なぜかAcer製のワイヤレスキーボードを利用して操作していた

会期:6月2日~6日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
   Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
   Taipei International Convention Center



 コンポーネントメーカーのECSは、COMPUTEX TAIPEIの会場の1つであるTICC(台北国際会議中心)にブースを構え、新製品をいくつか展示している。中でも注目を集めたのは、インテリアにもなるという壺の形をしたPCや、Intelが第4四半期にリリースを予定しているCPUとノースブリッジを統合したAtom Nシリーズの後継となる統合型CPUの“Pineview”(パインビュー、開発コードネーム)を搭載したSFFデスクトップPCなどだ。

●世界初? 一見すると全くPCとはわからない壺の形のION採用PC

 ECSが同社ブースに展示したのは、おそらく世界初(筆者調べ)となる壺の形をしたPCだ。一見すると、全くPCとわからず、最初これはインテリアだといわれて信じてしまったぐらいだ。電気製品だとわかったのはよく見たら上部が青く光っており、それを見つけた時だ。この壺型PCはHDMIケーブルで、ソニーの液晶TVに接続されており、メディア再生などのデモが行なわれていたのをみて、初めてPCだと理解することができた。

 同社によれば、CPUはAtom 230、メインメモリは1GBのSO-DIMMで、最大2GBまで増設することができる。チップセットはIntel 945GCではなく、NVIDIAのGeForce 9400M G、つまり、IONプラットフォームとなっているのだ。これにより、メディア再生なども楽々こなすことが可能になっている。メディアPCとして利用するにはIntel 945GCは正直力不足であるので、この選択は非常にうれしいところだ。

 ECSによれば、この製品はとりあえずつくってみたという形らしく、いつ頃販売するかなどは今のところ未定だという。実用性がどうかはともかくとして、パーティーグッズなり、インテリアとしてはとりあえずかなりユニークな製品であることは間違いない。

壺型PCのスペック、プラットフォームにはNVIDIAのIONが採用されている壺型PCが実際に動作している様子。一瞬PCがどこにあるのか探してしまう

●IntelのPineviewを搭載したSFFデスクトップを展示

 ECSはIntelのPineviewを搭載したSFFデスクトップを展示した。MX100の型番がついたそれは、容積が約1Lの小型ケースに入れられていた。ECSによれば、MX100にはデュアルコア版のPineview-DCが搭載されており、メモリはDDR2で、Intel GMA950クラスの統合型グラフィックスが内蔵されているのだという。

 HDDは2.5インチで、アナログRGB(ミニD-Sub15ピン)とDVI出力を備えており、ネットワークは無線LAN(IEEE 802.11n)とGigabit Ethernetの有線LANの機能を備えている。OSはWindows Vista Home BasicないしはWindows 7 Starterとなるので、いわゆるネットトップとして販売されることを想定しているようだ。

容積1LのPineviw-DC搭載ネットトップとなるMX100MX100のスペック。OSはWindows Vista Home BasicまたはWindows 7 Starterとなる

●なんちゃってVAIO type PのようなAndroid搭載ネットブックを参考出品

 このほか、ECSブースではC-ULVを搭載した薄型ノートPC、Atomを搭載したネットブック、Androidを搭載したネットブックなどが展示された。ただし、いずれの製品も日本市場への投入は未定とのことであり、現時点でも台湾では販売されているECSのネットブックが日本では販売されていないことを考えると、ちょっと望み薄なのかもしれない。

 Androidを搭載したネットブックは、見た目がまるでソニーの「VAIO type P」のような形をしており、CPUにTIのOMAP3 3440(800MHz)を採用。8.1型ワイド液晶、2.5インチのHDDないしはSSD、512MBメモリなどのスペックになっており、重さは800gとなっている。Androidを搭載したノートPCは、すでにQualcommの記者会見でも多数発表されており、本製品もそれと同じような製品になると考えられる。ただし、現時点では動作デモは公開されておらず、あくまで参考展示という形での出品となっていた。

T800 NetbookはCPUにTIのOMAP3 3440を採用したネットブック。512MBのメインメモリ、2.5インチのHDD/SSD、246×121×20mm(幅×奥行き×高さ)、800gという薄型、軽量のボディを実現している。OSはAndroidが採用されているU170はWiMAX/GSMデュアル対応の携帯電話兼USBドングルAll-In-One Desktop Systemはマルチタッチに対応した液晶一体型ネットトップ。CPUはCore2 Duoで、チップセットはGeForce 9400 G M
T20ILはいわゆるC-ULVを搭載した薄型ノートPC。CPUはCeleron 723、メモリは2GB、チップセットはGS40+ICH9M。2.5インチのHDDを内蔵可能で、11.5インチ液晶(1,366×768ドット)、4セルないしは8セルのバッテリを装着可能で、295×200×24.6~25.3mm(同)、1.2kg(4セルバッテリ時)を実現しているT10ILは10.1型1,024×600ドット液晶を搭載したネットブック。Atom N270+Intel 945GSEで、最大2GBまでのメモリ、4セルのバッテリを搭載可能。なお、T20IL、T10ILともに499ドル前後の価格が想定されている
P55H-AはLynnfiledをサポートするP55Hを搭載するマザーボード。PCI Express x16を2つ搭載しており、AMDのCrossFire Xで利用可能になっているP55Hの動作デモ。CeBITでは静的なデモ(つまり展示のみ)だったが、COMPUTEX TAIPEIではライブデモもIntelから許可がでている。AMDの新チップセットAMD 785を搭載したA785GM-M。AMD 785はR700世代のGPUを統合している新しい統合型チップセット

(2009年 6月 3日)

[Reported by 笠原 一輝]