ASUSTeK、11時間駆動の新型Eee PCやCULV採用薄型ノート
ASUSTeKのブースにて |
会期:6月2日~6日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
Taipei International Convention Center
Eee PCの登場で一躍ノートPCメーカーとしても名をはせたASUSTeK。COMPUTEXではEee PCの新製品のほか、新シリーズとなるU/UXシリーズの製品を具体化。ビデオカードやマザーボードの新製品なども展示している。ブースおよびカンファレンスで公開された製品を紹介したい。
●Eee PC Seashellのラインナップに2製品を追加ネットブックの代名詞ともいえるほど強い存在感を放つEee PC。このCOMPUTEX TAIPEIでは2製品の新ラインナップが投入された。いずれも手前が薄いクラムシェル型ボディが特徴のEee PC Seashellに属する製品で、11.6型の「Eee PC 1101HA」と10.1型の「Eee PC 1005HA」。
Eee PC Seashellにラインナップされるとはいっても、発表済みのEee PC 1008HAとは性格がかなり異なる。例えば、Eee PC 1008HAの外部ディスプレイ出力は、Mini D-Subを採用し、本体底面に変換アダプタを内蔵するというギミックを施していたが、今回展示された2製品はいずれも標準的なミニD-Sub15ピンを採用し、インターフェイスを隠すカバーなどがない。この点ではEee PC 1008HAに比べると無骨なデザインともいえる。
また、Eee PC 1008HAはバッテリにリチウムポリマーを用いていたが、今回の新製品はいずれもリチウムイオンバッテリを採用しており、Eee PC 1101HAは標準で6セル、Eee PC 1005HAは標準で3セルのバッテリが付属する。
ただし、2.8Ahの容量を持つ6セルバッテリ、2.2Ahの容量を持つ3セルバッテリを新開発したことで、長時間駆動を実現しているのが特徴。とくに標準バッテリが6セルとなるEee PC 1101HAでは、11時間という駆動時間をアピールしており、実際にその駆動時間が実現できることをデモンストレーションしている。Eee PC 1005HAは、3セルバッテリ使用時で4時間、6セルバッテリ使用時で10.5時間とされている。
Eee PC 1101HAの基本仕様はMenlowプラットフォームとなるのが特徴で、CPUにAtom Z530またはZ520を搭載(出荷先に応じて変更するとのこと)。液晶サイズは11.6型で、解像度は1,366×768ドットとなる。本体サイズは286×196×21.8~36.2mm(幅×奥行き×高さ)、重量は1.38kg。
Eee PC 1005HAはAtom N270またはN280を搭載。ディスプレイは1,024×600ドットの10.1型。本体サイズは262×178×25.9~36.5mm(同)、重量は3セルバッテリ時で1.27kg。
いずれの製品もストレージは160GB HDD、OSはWindows XP Home Edition。タッチパッドはマルチタッチをサポート。IEEE 802.11n対応の無線LAN、Bluetoothを内蔵する。インタフェースは右側面にカードリーダ、オーディオ入出力とUSB×2、左側面にLAN、USB、ミニD-Sub15ピンを備える。
Eee PC 1101HAの11時間という長時間駆動をデモ。写真は夕刻に訪れたもの。COMPUTEX会場は9:30~18:00の時刻での開場となるので、開場時間内には電源が切れないということになる | こちらはEee PC 1005HA。1008HAは6色がラインナップされたが、1005HAおよび1101HAはいずれも4色のラインナップとなる |
●CULV Core 2などを採用するU/UXシリーズ
3月にドイツで行なわれたCeBITにおいてコンセプトが示された、Centrino2を採用する薄型ノートPC「U/UXシリーズ」。このCOMPUTEXでは、ついに具体的な製品として登場した。
13.3型モデルとなる「UX30」は、CULV版のCore 2 Duo SU9400、Core 2 Solo SU3500、Pentium SU2700とIntel GS45を組み合わせた薄型ノート。2色のカラーバリエーションを用意する。一見するとMacBook Air風のデザインとなるが、MacBook AirのUSBポートが1基、MSIのX-Slim X340がUSBポート2基であるのに対し、本製品はUSBポートを3基備える点をアピールしていた。本体サイズは328×222×6.8~19.9mm(同)で、重量は1.6kg。バッテリ駆動時間は4時間。ストレージは2.5インチHDDを使用しており、最大容量は500GBとなる。
ASUSTeKが公開した13.3型の薄型ノート「UX30」 | UX30のカラーバリエーションモデル |
本体左側面にはMini D-Sub、HDMI、LAN、USBを備える | 右側面にもUSBポートを2基装備。ヘッドホン出力も備える |
同じくUXシリーズに属する「UX50」は、CULV版のCore 2 Duo SU9600/9400、Core 2 Solo SU3500/3300、Pentium SU2700とIntel GS45に加え、ディスクリートGPUとしてGeForce G 105Mを組み合わせた、15.6型液晶の製品。液晶は大型だが、本体サイズは385×257.8×18.6~28.6mm(同)と薄いデザインとなるのが特徴。本体右側面にはスロットインタイプのDVDスーパーマルチドライブも備える。
CULV版Core 2を採用する15.6型の薄型ノート「UX50」 | UX50は本体右側面にスロットインタイプの光学ドライブを内蔵する |
一方のUシリーズ最小モデルとなるのが、12.1型液晶を搭載する「U20A」で、CULV版のCore 2 Duo SU9400、Core 2 Solo SU3500などとIntel GS45を組み合わせた製品となる。本体サイズは298×225×22~29mm(同)、重量は1.78kg(3セルバッテリ時と、先のUX30などに比べると厚みがあるが、本体右側面に光学ドライブを内蔵するのが特徴となる。バッテリは標準が3セルで、9セルバッテリもオプションで用意。9セル使用時の駆動時間は12時間とされている。
12.1型液晶搭載ノート「U20A」 | U20Aのインタフェースが集中する本体左側面 |
同じくUシリーズに属する「U80A」は、14型液晶採用。こちらはCore 2 Duo T9000シリーズやP8000~5000シリーズの各CPUを使用した、一般的なCentrino2製品となる。本体サイズは351×243×21.5~31.6mm(同)、重量は2.15kg。U80Aはチップセット内蔵グラフィックであるIntel GMA4500MHDが使用されるが、バリエーションモデルとして「U80V」もラインナップされ、こちらは外付けGPUとなるRadeon HD 4570を備える。
「U50Vg」は、Core 2 Duo T9550を筆頭に、各モバイル向けCore 2をサポートする15.6型液晶のノートPC。本体サイズは384×267×21.6~33.6mm(同)、重量は2.15kg。外付けGPUとしてGeForce G 105Mを備えるのが特徴となる。
Uシリーズの14型ノート「U80A」 | 同じくUシリーズの15.6型ノート「U50Vg」 |
●GeForce GTX 285を2基搭載するマルチGPUカードなどを展示
ビデオカードのコーナーでは、目玉となる新GPUが存在しない一方、同社オリジナルデザインの製品展示を大々的に行なっていた。
なかでも特異な製品が、GeForce GTX 285相当のGPUを2基搭載する「MARS GTX295/2DI/4GD3」だ。NVIDIAのマルチGPUとしては現在、GeForce GTX 295がラインナップされている。ただ、GeForce GTX 295のスペックはStreaming Processorこそ最上位モデルと同じ240基を備えるもののメモリインターフェイス周りや動作クロックなどはGeForce GTX 260をベースとした構成となる。
MARS GTX295/2DI/4GD3は、製品名にGTX295の文字が含まれるものの、GPUはGeForce GTX 285を使用しているのが特徴。動作クロックはコアクロック648MHz、シェーダクロック1,476MHz、メモリクロック2.4GHzとなっている。また、メモリ容量は2GPU合計で4GB搭載する。
カードのデザイン自体はGeForce GTX 295と同じように、2枚のPCBを用いてクーラーをサンドイッチする形状だが、このクーラーもヒートパイプの本数や配置を見直すことで強力化。とくにヒートパイプのカバー範囲をリファレンスクーラーに対して広くしたことをアピールしていた。
このほか、すでにCeBITでコンセプトが示されていたオリジナルクーラー採用ビデオカード「Formula」シリーズの具体的な製品が展示された。Formulaシリーズは、F1カー風のデザインを持つクーラーが特徴。F1カーも空力が重要である点は同じ、とブーススタッフは述べるが、単に奇抜なデザインというだけでなく、ファンの直下だけでなくヒートシンク内でエアフローを作って全体に空冷の作用が働くようになっている。また、ファンはホコリに強いものを使用し、従来よりも125%の長寿命化を行なったという。クーラーは3タイプが用意されており、さまざまなGPUに適用できる。
また、おなじみのオーバークロッカー向けビデオカード「MATRIX」シリーズも大々的に展示。従来製品のほか、GeForce GTX 285製品がラインナップに追加されている。
●P55搭載製品やAMD 785G搭載製品などマザーボードの新製品
マザーボードの新製品としては、Intelの次世代プロセッサとなるLynnfieldに対応したIntel P5xシリーズが中心。COMPUTEXの同社ブースでは上位モデルのIntel P57搭載製品が1モデル、Intel P55搭載製品が2モデル展示されている。
両チップセットの違いは、Intel P57はBrainwoodと呼ばれる、モバイルでTurbo Memory Technologyとして投入されている機能のサポートの有無などとなっている。いずれの製品もPCI Express x16スロットを2基搭載し、CrossFireやSLIをサポートする。
Intel P57を搭載する「P7P57 PRO」 | Intel P55を搭載する「P7P55」 | Intel P55を搭載する「P7P55 LE」 |
AMDプラットフォームの製品としては、AMD 785Gチップセットを搭載する製品が目新しい。AMD 785Gは、AMD 780Gの後継チップセットで、グラフィック機能が強化されているという。
といっても、グラフィックのパフォーマンス自体はAMD 780Gと大きく変わらないが、Radeon HD 4000世代のグラフィック機能へ変更されたことで、DirectX 10.1をサポートするほか、動画再生支援のUVD(Universal Video Decoder)がUVD2相当になるのがポイントとされている。
AMD 785G+SB710を搭載する「M4A785-M EVO」 | AMD 785G+SB710を搭載する「M4A785-V PRO」。こちらはATXフォームファクターの製品 | AMD 785G+SB710を搭載する「M4A785G HTPC」。M4A785-M EVOに近い仕様だが、HTPC向けにインタフェースを見直したり、オーディオ外付けにするなどの違いがある |
このほか、Intel X58+ICH10Rを搭載する「P6X58 Premium」は、SATAの6Gbps転送に対応するのを特徴としており、実際に従来の3Gbps転送との比較をデモンストレーションしている。
このデモでは、Seagateの6Gbps対応HDDを用いており、ファイルコピーやHDBenchを自動実行して速度比較を行なうものとなっており、4GB強のファイルコピー速度で20秒前後、HDBenchのシーケンシャルアクセス速度で2倍弱のスコア差を見せている。
6Gbps転送対応のSATAコントローラを搭載する、Intel X58+ICH10R搭載マザー「P6X58 Premium」 | HDBenchのシーケンシャルアクセスでは、3Gbps転送で72~73MB/secであるのに対し、6Gbps転送では131MB/secを超える値を出している |
(2009年 6月 3日)
[Reported by 多和田 新也]