イベントレポート

Lenovo、折りたたみ型「ThinkPad X1 Fold」をIFAで公開。大型化/TrackPointで使いやすく

付属のスタンドを利用して縦置きにした第2世代のThinkPad X1 Fold。ディスプレイが16.2型に大型化されたことで、縦長になり、従来とはまったく違うイメージで利用できる

 Lenovoは、折りたたみ型PC「ThinkPad X1 Fold」の最新型を、IFA 2022の期間中に発表した。発表概要に関しては関連記事を参照いただくとして、本記事ではIFAの前夜祭にあたる「Show Stoppers」において、Lenovo新製品の実機が展示されていたので、そこで実際に触って分かったことをお伝えしていきたい。

 CPUは第10世代Coreプロセッサ(Lakefield)から第12世代Core Uシリーズ(Alder Lake U)に更新され、性能が大幅に向上していることが実機から確認できた。さらに同社によれば、大型化した16.2型ディスプレイには、シャープ製の新しいOLEDパネルを採用しているという。

折りたためるThinkPadが16.2型にディスプレイ大型化、スタンド外付けで柔軟性が向上

ディスプレイが16.2型に強化されたThinkPad X1 Fold

 ThinkPad X1 Foldの初代製品は、2020年1月のCESでグローバルに向けて発表され、2022年10月に日本でも販売が開始された。

 そのCESでは、Lenovoだけでなく、DellなどほかのOEMメーカーでも、2画面や折りたたみ型といった新しいフォームファクタのPCを発表していた。また、OSメーカーのMicrosoftも、新しいOSでそういったデバイスのサポートを計画しており、新たなデザインのPCへの機運が高まったときだった。

 しかし、その後Microsoftはそのプランを破棄。自社製品として計画していたSurface Neoも導入が中止されるなど、やや機運がしぼんだ中、Lenovoは予定通りThinkPad X1 Foldをリリース。2020年10月には日本国内での販売を開始し、今に至っている。

 ほかのLenovo製品では通常「ThinkPad X1 Carbon Gen 10」のように製品名に世代が付与されているが、今回のThinkPad X1 Foldには特に「Gen 2」(第2世代)といった呼称はつけられておらず、ThinkPad X1 Foldとだけ呼ばれている。以下区別のため、初代ThinkPad X1 Foldを初代、今回の新製品を第2世代と呼んでいく。

 第2世代の大きな特徴は3つある。それがディスプレイサイズの拡大、キーボードの強化、内蔵SoCの最新製品への切り替えの3つだ。

ヒンジ部分の変形
ディスプレイを開いているところ
新しいスタンド。初代は本体に内蔵されていた。携帯性は下がるが柔軟性はあがる
横置きも可能、このモードだと普通のクラムシェル型のように使える
ディスプレイ解像度は2,560×2,024ドット/60Hz

 1つ目の強化点であるディスプレイについては、サイズが13.3型から16.2型に大型化されたこと、利用されているパネルがシャープ製OLEDに変更されたことが挙げられる。

 また、折りたたみ可能なスタンドがバンドルされ、これと付属のキーボードを利用して16.2型のクラムシェル型PCとして使える。初代でも本体背面内蔵のスタンドを用いて同様の使い方が可能だったが、第2世代ではスタンドを本体から分離したことで、携帯性がやや損なわれるものの、大画面なフル機能のPCとして利用できるメリットがある。

キーボードはTrackPoint付きに進化、第12世代Core U搭載で大きく性能向上

TrackPointがついたキーボード。Z13系のキーボードではなく、Fnが左端にくる従来型キーボードと同じ配列

 2つ目の強化点は、ThinkPadのアイデンティティであるTrackPointがキーボードに付いたことだ。初代のキーボードはTrackPointがないものがバンドルされており、ポインティングデバイスとしては小さめなタッチパッドとディスプレイのタッチで操作する形になっていた。

 タッチ操作に慣れていれば、特にこれで問題がないと思うが、普段からThinkPadを使っていてTrackPointの操作に慣れていれば、こうしたスペースがない小型キーボードでは、大きな床面積が必要なタッチパッドよりもTrackPointのようなデバイスの強みが発揮されやすいと言える。

キーボードはマグネットで本体に着脱できるようになっている

 そして3つ目の強化点は、SoCが第10世代Core(Lakefield)から、第12世代Core(Alder Lake)へと変更されていることだ。LakefieldはIntelのハイブリッドアーキテクチャの最初の世代とも言えるが、Pコア相当が1コア、Eコア相当が4コアとなっており、現在の最新製品からすると既にやや過去の製品になりつつあった。

実機のCPUはCore i5-1230U

 今回の第2世代には、第12世代CoreのU9シリーズ(ベースTDPが9Wの製品)が搭載されており、Pコアが2つ、Eコアが8つとなっており、Lakefieldに比べると大きく性能が強化されている。会場で展示されていた製品にはCore i5-1230U(Pコア×2+Eコア×8、ターボ時最大4.4GHz:Pコア、12MBキャッシュ)が搭載されていたが、上位のCore i7などもCTOで選択可能になる予定だ。

USB Type-Cポートは計3つ。キーボードをつけてクラムシェルモードにしたときには上辺に1つ、側面に2つ用意される

 CPU以外のスペックでは最大32GB LPDDR5メモリ、1TBのストレージ、オプションで5G(Sub-6)を選択可能。インターフェイスはUSB Type-Cが3つ(Thunderbolt 4対応は2つ)が用意されている。

 重量は本体だけで1.3kgから、スタンドとドック込みで1.92kgからとなっている。本体色はブラックの1色のみとなっている。