イベントレポート

FibocomがIntel製5GのM.2モジュールを年末までに出荷

~次世代Xeon Dの開発コードネームはHewitt Lake

XMM8160を搭載したM.2モジュールをFibocomが発表

 Intelは、2月25日(現地時間)よりスペイン王国バルセロナ市で開幕したMWC 19 Barcelonaに出展し、同社の5G向けソリューションなどを展示している。初日となる2月25日の午前には、同社がMWCで展示する製品やパートナー各社との協業製品などについての発表を行なった。

 PC向けでは、同社が5Gモデムとして一昨年(2017年)に発表したXMM8160を搭載した具体的な製品として、中国のFibocomがXMM8160を搭載したM.2モジュールのFG100を発表した。IntelによればFG100はArcadyan、D-Link、Gemtek、VVDNなどが製造するゲートウェイに搭載され来年(2020年)に大量出荷を開始される計画だ。

 また、IntelはCESで発表した10nmで製造される5G基地局向けSoCの「Snow Ridge」がEricsson、ZTEの2社が採用を決めたことを明らかにしたほか、ネットワーク機器やストレージ機器向けとして販売されているXeon Dの次世代製品の開発コードネームが「Hewitt Lake」(ヒューイットレイク)になることなどを発表した。

XMM8160を搭載したM.2モジュールはFibocomのFG100として登場

 Intelは最初の世代の5GモデムとしてXMM8160を2017年の11月に発表している。XMM8160は、マルチモードの5Gモデムとなっており、サブ6GHz(6GHz以下)とミリ波帯の両方の5Gに対応しているほか、2G(GSM)~4Gとの下位互換性もワンチップで実現する。IntelはこのXMM8160の6GHz以下の帯域に対応したRFモジュールに、SkyworksのRFソリューションを採用することを今回のMWCで明らかにした。

 そのXMM8160を搭載したM.2の5Gモデムモジュールを、中国のFibocomが「FG100」という製品を出荷する。Fibocomは、LenovoのThinkPadシリーズなどの製品で、同じくIntelのXMM7360を搭載した4Gモデム(L850-GL)が採用されており、今回のFG100はそれらの後継となる。FibocomはFG100を来年に量産出荷する計画だ。

 このFG100はArcadyan、D-Link、Gemtek、VVDNといった5Gゲートウェイに採用される計画。まずは現行製品となる4GモデムのXMM7560を搭載した製品として出荷され、2020年にXMM8160を搭載したFG100に交換されて出荷される。

 なお、今回はこのFG100をPCに搭載するかどうかは明らかにされなかったが、Fibocomの従来製品の多くがPCに採用されていることを考えると、PCに搭載されるということは当然考えられそうだ。

Xeon Dの後継製品として「Hewitt Lake」、「Snow Ridge」はEricssonとZTEが採用

Snow RidgeはEricssonとZTEが採用を発表

 Intelが1月のCESで発表した5G基地局向けのSoCとなる「Snow Ridge」を、EricssonとZTEが基地局に採用する。Snow Ridgeは10nmの製造プロセスルールで製造される製品で、5G基地局など向けの製品となる。

 5GNRのSA(StandAlone)という規格に基づいた基地局では、従来の基地局のような固定機能を持つハードウェアではなく、SDN(Software Defined Network)という考え方により、汎用のプロセッサとソフトウェアの組み合わせでネットワーク機器の機能を実現する。

 さらに、1つのSoC上で複数のOSや機能を走らせるNFV(Network Functions Virtualization)という考え方を応用することで、1つのSoCないしはプロセッサのクラスタを使ってソフトウェアで複数の機能を実現可能になる。Snow Ridgeはそうした市場に向けた製品となり、今年(2019年)後半に製品出荷が開始される見通しだ。

Xeon Dの後継製品はHewitt Lake

 また、Intelは現在ネットワーク機器やストレージ機器向けのプロセッサとして出荷しているXeon Dの後継製品として「Hewitt Lake」(ヒューイットレイク)を開発している。

 Xeon Dは高密度サーバー向けとされる製品で、現行製品はSkylakeをベースにして開発された製品となっている。ただ、今回はコードネームだけのお披露目で、どんな製品をベースになっているか、製造プロセスルールはどの世代なのかも含めて明らかにされていない。

Intel FPGA PAC N3000

 このほか、Intelは5Gの基地局やバックエンド向けのアクセラレータとして、Intel FPGA PAC(Programmable Acceleration Card) N3000を発表した。

 Intel FPGA PAC N3000は開発コードネーム「Vista Creek」で開発されてきた製品で、IntelがAlteraを買収して得たFPGA、9GBメモリ(DDR4)、Intel XL710 NICを2つ搭載しており、PCI Expressの拡張カード形状として提供される。Intel FPGA PAC N3000は今年(2019年)の第3四半期から提供される計画だ。