イベントレポート
USBケーブルで繋がるマイニング専用マザーとビデオカード
2018年6月8日 00:00
台湾PowerColor(TuL)は、COMPUTEX TAIPEI 2018の会場のプライベートルームにて、同社の新製品や技術デモを展示している。
じつは、筆者は先日発表となったRadeon RX Vega 56 Nanoを一目見ようと訪れたのだが、そこに待ち受けていたのはそれ以上にインパクトのある展示だった。それが、マイニングに特化した、USBケーブルを使用して接続するマザーボードとビデオカードだ。
このシステムは、とある顧客のマイニングの要望に応える特注品で、最大の特徴は、「ビデオカードのかたちをしたマザーボード」、「USB 3.0ケーブルを使用したマザーボード-ビデオカード間の接続」、そして「USB 3.0ポートを利用したビデオカード」である。
ちょっと前までのマイニング向けマザーボードといえば、単にPCI Expressスロットが多いマザーボードであったり、ビデオカードを接続しやすいよう長い基板でPCI Express x16スロットを複数備えたりするものだった。
ところが、ユーザーはハイエンドビデオカード用に2スロット分の間隔を確保しなければならないため、前者の場合、PCI ExpressをいったんUSB 3.0ポートの形状に変換、それをケーブルで延長し、また変換ボードでPCI Express x16形状に戻す必要が出てくるため、追加コストが必要になる。後者の場合は何も用意する必要がないが、基板が大型化するためそもそも高コストだ。
2018年に入ってからは、PCI Expressの接続にUSB 3.0ポートを直接採用したマザーボードが登場。この場合、ユーザーはマザーボード側のUSB 3.0への変換ボードを省くことができるが、結局ビデオカード側でPCI Express x16に変換しなければならず、根本的な解決には至っていなかった。
そこで、「どうせマイニングしか使わないなら、マザーボードもビデオカードも最初からUSB 3.0ポートで接続するよう設計すればいい」という発想のもと生まれたのが、今回の特注システムだ。ついにユーザーは、USB 3.0ケーブルを接続するだけでビデオカードを増設できるようになったのだ。
そしてこのシステムのもう1つの特徴は「マザーボードもビデオカードのようなかたちをしていること」である。これによってユーザーはビデオカードと電源を装着できるフレームを用意するだけで済み、ATXや特殊フォームファクタを載せるためのねじ穴を省くこともできるわけだ。
ちなみに電源も当然特注品であり、基本PCI Express用8ピンか6ピンのコネクタしかない。マザーボードもPCI Express 6ピンで動作するようになっている。マザーボードには8基のUSB 3.0(のかたちをした)ポートがあり、8本のビデオカードを接続できる。
このシステムに採用されているCPUはAMD A6-8500Pという低消費電力モデル。メモリはDDR3 SO-DIMM、ストレージはmSATA SSDを利用する。また、マザーボードとして、一応USBポートやディスプレイ出力などを備えている。一方でマイニング用ビデオカードにはRadeon RX 470が採用されていた。