イベントレポート

PC/IT業界はまだ落ちぶれたものじゃない

~あなたもCOMPUTEX TAIPEI 2017でお会いしましょう

 世界最大級のPC/IT関連の総合トレードショウである「COMPUTEX TAIPEI 2016」が幕を閉じた。PC Watchとしては本記事を持って一連のレポートを終わりとしたい。

 主催者のTAITRA(中華民国対外貿易発展協会)はまだ総来場者数を公開していないが、6月4日時点の終了記者会見では、海外からの来場者は40,969人と、2015年比で4.7%増となったことが明らかにされたことから、ほぼ好調に推移したと思われる。

 出展は1,602社/5,009ブースにも上った。ちなみに期間中に聞いた関係者の話によると、出展は抽選制であり、この抽選は2016年1月に行なわれたのだが、出展希望企業は明らかに2015年より多かったという。

 このため、特に大きなブースを構えようとした企業が落選する事態に陥った。例えば大手メモリメーカーのKingstonやApacerもその一例だ。元気がないと言われ続けているPC/IT業界だが、世界的に見ればまだまだ落ちぶれたものじゃないことを象徴するかのようだ。

 COMPUTEXの期間中に筆者が一番感心したのは、外国からCOMPUTEXに参加する来訪者への“おもてなし”だ。COMPUTEX期間中は、台北市が“COMPUTEXモード”に入り、総力を挙げて外国からの来訪者をもてなしてくれるのだ。

 以下の話をする前にあらかじめお断りをしておこう。COMPUTEXは“業界関係者”であれば、Webでの事前登録+名刺2枚で無料で入れる。業界関係者と言っても今やIT/PCが全く関わらない分野の方が珍しいので、例えレストランのオーナーといった飲食業であっても、最新のPOSレジを見たいという名目で行けるし、野菜を植える農民であっても土壌をIoTで管理したいという名目で行けば、れっきとした業界関係者なのだ。そもそもこの記事を読んでいるほぼ全ての人が業界関係者ではなかろうか。

 こうしたCOMPUTEXの来訪者へのもてなしは半端じゃない。例えば台北には松山と桃園の2つの空港があるのだが、COMPUTEX期間中は空港に特別なブースが設けられており、COMPUTEX参加者は直接そこでバッジが受け取れる(筆者のようなメディア関係者は受け取れないが)。そしてこの2つの空港から、13つの主要ホテルまでの無料シャトルバスも、前日より運行されている。

 ブース展示は、台北世界貿易センターと南港展覧館の、やや離れた2カ所に分かれているのだが、この2カ所を結ぶ無料シャトルバスも5分~10分間隔で運行している。さらに、主要32のホテルから台北世界貿易センターに行くための無料シャトルバスもある。

 極めつけは海外来訪者に配られるバッジ。このバッジは非接触のIDカードにもなっているのだが、なんと会期中の5日間、無料で台北の地下鉄に乗れるパスをも兼ねているのだ。つまり、上記のホテルに宿泊していなくても、近くの地下鉄駅から地下鉄で会場へも移動できるし、会場を見終えてからは、観光や食事を兼ねて台北市内を地下鉄で自由に移動しても良い、ということだ。

筆者がもらったプレスバッジ。非接触IDで地下鉄にも乗れる

 もちろん、COMPUTEXは平日より開かれるイベントなので、このおもてなしの恩恵に最大限あずかるためには、平日に会社の休みを取らなければならない。だが、ITやPCの最新動向が気になる人が、台湾の文化にも興味があり、ちょっと台北を観光したいのであれば、COMPUTEX期間中ほど旅行に適した時期はない。もちろん、航空券やホテルなどの旅費は自腹となるのだが、それを差し置いても魅力は大きいと言える。

 COMPUTEXのスポンサーのページを見てもらえば分かるよう、COMPUTEXの主催者こそTAITRAなのだが、台北市観光伝播局、台湾旅行網、中華航空、エバー航空、交通部観光局といった交通インフラの多くも協力している。それほど国や各企業、団体が総力を挙げて取り組んでいる重要なイベントなのだ。

 こんなにも“もてなしてくれる”PC/IT系のイベントは、COMPUTEXを差し置いて存在するのだろうか。COMPUTEXや台湾に興味がある読者諸兄も、2017年は是非訪れて欲しい。

 というか、これはどうみてもトラベルWatch向けのネタですね。

台北の秋葉原とも言うべき光華商場には萌えキャラができていた
6月の時期は暑いが、ふわふわのかき氷が美味しい時期でもある