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NEC PC、RealSense普及を狙いハッカソン開催

ハッカソンで大賞をとった「Magical Mirror」

 NECパーソナルコンピュータは、インテル、東京モーションコントロールネットワーク(TMCN)、ロフトワークと共同で、「HIGH TOUCH PROJECT インテルRealSenseテクノロジー Hackathon」を開催した。

 NECパーソナルコンピュータは、LAVIE Hybrid ZERO HZ300にインテルRealSense3Dカメラを搭載し、インテルと共同で、RealSenseカメラ搭載PCの普及に取り組んでいる。今回のハッカソンは、RealSenseテクノロジーを活用したアプリケーションを開発することを目的に、1月16日から23日までの1週間をかけて行なわれた。2つのチーム含め、参加者が6つのチームに分かれてアプリ作りで競いあった。

 優勝したのは、家庭内に設置したタブレットで、家族が帰ってきた時の顔を撮影し、それをアルバムに記録するとともに、家庭内の照明を気分に応じたものに変化させるといった機能を持った「Magical Mirror」を開発したチーム“oniyamma”。審査員である株式会社コンセラクスの代表取締役である住友滋氏は、「現段階ではアイデアの原石ではあるが、これを形にしていくと実際に活用するポテンシャルがある」と評価した。

 NECパーソナルコンピュータでは、昨年(2015年)からRealSenseテクノロジーの普及を目的に、インテル、東京モーションコントロールネットワークなどと共同で「HIGH TOUCH PROJECT」を発足。RealSenseカメラ搭載PCの普及に取り組んでいる。

 今回のハッカソンもその一環で、RealSense対応のアプリケーションを増やすことが目的。将来的にはNECパーソナルコンピュータのPCに搭載することができるようなアプリケーションが誕生することを目標の1つとしている。

 募集に応じて参加した、エンジニア、デザイナーなどのメンバーが16日に集まり、RealSenseテクノロジーの特徴である、対象物を人の目で見るように捉え、3次元の自然な動きに反応する。これによりジェスチャーによるPC操作や、立体的な物をスキャニングしPC内に3Dデータを生成、3Dプリンタでモデルを作成することなどができる。これらの特徴を活かしたアプリケ-ションを6チームが開発した。

 大賞を獲った「Magical Mirror」は、RealSense F200のデータをフルに使い、カラー映像、深度映像、ハンドジェスチャー、顔認識、日本語音声認識を活用。さらにWebAPI+iOS+機械学習を活用したアプリとなっている。

 受賞したチームoniyammaのメンバーは、「審査員の皆さんから、可能性があるということで選んでもらったのだと思っている。その可能性という点を活かして、今後も頑張っていきたい」と受賞の喜びを述べた。

 NEC賞、Intel賞の2つを受賞したのは、眼鏡選択シミュレーション「Swipy」。審査員を務めたインテルの技術本部ソフトウェア技術統括部の竹内康人氏は、「RealSenseテクノロジーの実装がスムーズだった」と技術を自分達のものとして取り込んだ点を高く評価。NECパーソナルコンピュータの商品企画本部本部長である山下敏嗣氏は、「ビジネスとして需要がありそうだという点で選択した」と実際にビジネスとして利用できる点を評価した。

 チームのメンバーからは、「正直、ビジネス寄りに振った内容だったので大賞ではなく、ビジネス賞を狙おうと思っていたので狙い通りになった」と会場を沸かせるコメントが飛び出した。

 ロフトワーク賞には、ラップバトルアプリ「Rapsense」と、影絵を作る感覚でデータを取り込み、3D化して遊ぶ「3Dスナップ」の2つが選ばれた。ロフトワークの代表取締役である林千晶氏は、「どれだけ人を喜ばせるかを考えて開発されたものを選んだ」と選択理由を話した。ただし、予定された商品は1チーム分だったため、「Rapsenseでラップバトルを行ない、勝ったチームに商品を!」と林氏が提案すると会場は大喝采。実はRapsenseによるラップバトルは、紹介デモでも最も盛り上がったものの1つ。いきなりのラップバトル開始となったが、対戦する2チームだけでなく、会場の参加者全員が盛り上がり、両チームの対決を見守った。

 惜しくも賞は逃したものの、「Voice-it」は手書きメモを使って行なわれているブレインストーミングを音声、動作を使うことで能動的に行なうアプリ。「クレイジープレゼン」はジェスチャーでプレゼンを操作するアプリケーション。動作によってプレゼンに効果を付けることもできる。

 審査員を務めたTMCNのテクニカルエバンジェリストの中村薫氏は、「20数人のメンバーが黙々とRealsenseで開発をしているのを見ると胸が熱くなるものがあった。Kinectに比べると認知度が低いRealsenseだが、対応アプリが増えていくことで認知度も変わっていくのではないか」と今回のハッカソンを講評した。

 NEC Lenovo Japan GroupのProduct Group DirectorであるMichael Campbell氏は、「6チームの作品全てに情熱と想像力を感じた」と参加者にエールを送った。

ハッカソンの審査風景
ハッカソンでの完成品のプレゼン風景
審査員の住友滋氏から大賞の賞品を渡されるチームoniyammaのメンバー
会場が大きく盛り上がったRap対決ゲーム「Rapsense」
ハッカソンの参加者と審査員の皆さん

(三浦 優子)