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Opus 5に迫る「DeepSeek-V4.1-Flash」無償公開、DeepSeekショック再びか

 株式市場を揺らしたあのDeepSeekが、また上位のPro版を超える新型を無償公開した。DeepSeekは9月10日(日本時間)、画像も読める新型AIモデル「DeepSeek-V4.1-Flash」を発表した。同日のうちに、オープンウェイト(モデルの重み)はMITライセンスのもとHugging Faceで無償公開された。総パラメータは552B(5,520億)で、エージェント系ベンチマークでは上位版「DeepSeek-V4-Pro-0813」に全勝し、Anthropicの「Claude Opus 5」に勝つ項目もある。

 DeepSeek-V4.1-Flashは、新世代アーキテクチャの上に構築されたマルチモーダルのMoE(Mixture-of-Experts)型AIモデルだ。MoEは、モデル内部を役割の異なる多数の小さなネットワークに分割し、入力ごとに必要なものだけを動かして計算量を抑える仕組みだ。総パラメータは552Bで、アクティブパラメータは入力を読む段階で8B(80億)、出力を生成する段階で16B(160億)となる。読み込みと生成で数値が異なるのは、入力用と出力用にネットワークを分割した非対称の構造を採用するためだ。

 入力はテキストと画像に対応する。コンテキスト長(一度に扱える文章量)は100万トークンで、最大出力は25万6,000トークン以上の確保が推奨される。ライセンスはMITで、商用利用・改変・再配布が無償で認められる。

DeepSeek-V4.1-Flash、上位版V4-Proに12項目全勝でOpus 5超えも

 DeepSeekが公表したベンチマーク比較表によると、エージェント系の12項目はすべて上位版DeepSeek-V4-Pro-0813より高スコアだった。コード修正の「DeepSWE v1.1」は74.2対62.7、業務自動化の「AutomationBench」は54.8対43.2と差が大きい。Claude Opus 5との比較でも、DeepSWE v1.1は74.2対74.0と僅差ながら上回った。AutomationBenchも54.8対50.3で勝っている。

DeepSeekが公表したベンチマーク比較。DeepSeek-V4.1-Flashはエージェント系12項目すべてで上位版DeepSeek-V4-Pro-0813を上回り、DeepSWE v1.1は74.2対74.0でClaude Opus 5にも僅差で勝った

 ただし、難問試験の「HLE」は36.8で、Claude Opus 5の56.3に大きく届かない。DeepSeek-V4-Pro-0813との比較でも、科学知識を問う「GPQA Diamond」は90.9対92.4で下回った。HLEもテキストのみの条件で39.1対42.7と届かなかった。

DeepSeek-V4.1-Flashは新構造「CED」でKVキャッシュを4分の1に圧縮

 性能と低価格を両立させた鍵は、「Causal Encoder-Decoder(CED)」と名付けた新構造にある。CEDは全40層のモデルを、入力を読む前半20層と、出力を生成する後半20層に分割した設計だ。読むだけの作業は軽い前半で完結し、資料やログを大量に読み込む処理コストが下がり、速度も向上する。会話の文脈を一時保存するKVキャッシュも、後半の各層で個別に持たず、前半の読み取り結果から作成する。

DeepSeekモデル世代別のKVキャッシュ容量(1トークンあたりのバイト数)。DeepSeek-V4.1-Flashは890バイトで、前世代DeepSeek-V4-Flashの3,514バイトから約4分の1になった

 DeepSeek-V4.1-Flashでは、KVキャッシュそのものの圧縮も進んだ。容量は1トークンあたり890バイトで、前世代「DeepSeek-V4-Flash」の3,514バイトの約4分の1になった。キャッシュが小さいほどサーバーのメモリやSSDの消費が減るため、長時間動き続けるAIエージェントの運用費を直接下げられる。

DeepSeek APIは値下げ、上位版V4-Proは9月14日に転送開始

 DeepSeek APIでも、9月10日午後1時(日本時間)から新型の提供と値下げが開始された。旧モデルのDeepSeek-V4-FlashとDeepSeek-V4-Flash-Vision-Expは提供を終了した。旧モデル名での呼び出しは、当面DeepSeek-V4.1-Flashへ転送される。上位版のDeepSeek-V4-Proも、日本時間9月14日午後1時からV4.1-Flashへの転送に切り替わる。

 DeepSeekはこの転送を「V4.1-Proが登場するまで」の措置と説明している。ただし、V4.1-Proの提供時期や仕様は、記事執筆時点(9月10日)では発表されていない。

DeepSeek-V4.1-Flashオープンウェイト版の主な仕様

  • リポジトリ: Hugging Faceの「deepseek-ai/DeepSeek-V4.1-Flash」。ライセンスはMITで、商用利用・改変・再配布が認められる
  • 規模: 総パラメータ552B(5,520億)のMoE型。アクティブパラメータは入力(読み込み)時8B(80億)、出力(生成)時16B(160億)
  • 画像入力: 標準で対応し、テキストと画像をまとめて入力できる
  • コンテキスト長: 100万トークン。最大出力は25万6,000トークン以上の確保が推奨される
  • KVキャッシュ: 1トークンあたり890バイトで、前世代DeepSeek-V4-Flashの約4分の1
  • 推論の強度: 1~100の整数で指定でき、値が大きいほど計算コストと引き換えに正答率が高まる

DeepSeek APIの新料金と旧モデルの移行

  • オフピーク料金: 100万トークンあたり入力0.15ドル(約23円、1ドル=約154円換算)、出力0.6ドル(約92円)。キャッシュヒット時の入力は0.003ドル(約0.5円)
  • ピーク料金: オフピークの倍額で、100万トークンあたり入力0.3ドル(約46円)、出力1.2ドル(約185円)
  • ピーク時間帯: 日本時間の平日の午前10時から午後1時と午後3時から午後7時。週末・祝日を含む残りはすべてオフピーク
  • 旧モデルの扱い: DeepSeek-V4-FlashとDeepSeek-V4-Flash-Vision-Expは提供を終了し、旧モデル名の呼び出しは当面DeepSeek-V4.1-Flashへ転送
  • DeepSeek-V4-Proの転送: 日本時間9月14日午後1時から、V4.1-Flashの料金でV4.1-Flashへ転送。V4.1-Proの登場までの措置