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「Gemini 3.8 Flash」登場。推論とコーディングでGoogle最高をうたい、視覚も強い

〜「Gemini 3.8 Flash Cyber」は脆弱性発見でGPT超えの首位

コーディングベンチマーク「DeepSWE v1.1」のスコアと1タスクあたりコストの分布。Gemini 3.8 Flashは最高効率の右上に位置し、Claude Opus 5に近い正答率をはるかに低いコストで出している

 Googleは9月2日(現地時間)、推論とコーディングで同社最高性能をうたうAIモデル「Gemini 3.8 Flash」を発表し、料金据え置きのまま即日提供を始めた。「Gemini 3.6 Flash」から6週間、「Gemini 3.7 Flash」からはわずか3週間という公開ペースだ。コーディングやエージェント(AIが自律的に作業を進める使い方)の複数のベンチマークで、上位モデルの「Claude Opus 5」を上回ったり、僅差まで迫る成績を出した。

 Gemini 3.8 Flashは、速さと低価格が持ち味のFlash系でありながら、推論・コーディング能力ではGemini全体の最高峰にGoogleが位置づけるAIモデルである。3週間前のGemini 3.7 Flashから、ソフトウェア開発、エージェント、金融や法務など専門分野の多段階の推論を強化した。

Gemini 3.8 FlashとGemini 3.7 Flash、Claude Opus 5などの料金・ベンチマーク比較。DeepSWE v1.1は73.7%でOpus 5の74.0%に0.3ポイント差まで迫った。入力0.75ドル/出力3.75ドルは2026年12月31日までの導入価格で、2027年からは各2倍になる

 Googleが公開したベンチマークでは、長期のソフトウェア開発を測る「DeepSWE v1.1」が73.7%。3.7 Flashの65.3%から8.4ポイント伸び、Claude Opus 5の74.0%まで0.3ポイント差に迫った。端末のコマンド操作を伴う「Terminal-bench 2.1」は89.4%で、Opus 5の89.1%を上回る。金融アナリスト業務を測る「Vals Finance Agent v2」も61.4%と、Opus 5の58.6%を抑えて比較6モデルの首位に立った。

 独自色が際立つのは"視覚"の性能だ。複雑なグラフから情報を読み取る「CharXiv Reasoning」は86.2%で、Opus 5の83.7%や「GPT-5.6 Sol」の85.8%を上回り首位。長時間動画の理解を測る「LVBench」も87.8%(エージェント利用時)でトップに立った。一方、専門的なPDF文書の読解を測る「GDP.PDF」は35.0%にとどまり、首位のGPT-5.6 Sol(40.0%)には届かない。

 視覚以外でも勝ちっぱなしではない。汎用エージェント能力を測る「Terminal-bench 4.0」は19.1%で、Opus 5の51.8%に遠く及ばない。PC画面の自律操作を測る「OSWorld-2.0」も59.0%と、Opus 5の75.4%を下回った。知識労働の総合評価「GDPVal-AA v2」もElo 1545で、Opus 5の1824に差をつけられている。

 速度と料金はGemini 3.7 Flashから据え置きで、Gemini APIやGemini Enterprise、個人向けのGeminiアプリ(Google AI Pro/Ultra)から利用できる。

 個人で使う場合の料金は、Google AI Proが月額2,900円(3カ月間は月額720円)、上位のGoogle AI Ultraが月額1万4,500円からとなる。AI機能の拡大だけでなく、GoogleドライブやGoogleフォト、Gmailで共通に使えるクラウドストレージ(Proは5TB、Ultraは20TBから)も含む、Googleサービス全体のメンバーシップだ。ProにはYouTube Premium Lite、UltraにはYouTube Premium個人プランも付く。

脆弱性発見ベンチマーク「CyberGym」(Pass@1)の比較。Gemini 3.8 Flash Cyberは86.2%で、GPT-5.5-Cyberの85.6%、Mythos 5の83.8%を上回り首位に立った

 同時発表の「Gemini 3.8 Flash Cyber」は、サイバーセキュリティに特化した姉妹モデルだ。脆弱性の発見を測る「CyberGym」(Pass@1)で86.2%を記録し、GPT-5.5-Cyberの85.6%を上回り、5モデル中で最高だった。

 ただし、誰でも使えるわけではない。悪用を防ぐため、Googleに申請して審査を通った政府機関や重要インフラ事業者、ソフトウェア保守団体などにしか提供されない。この提供枠組みを「Fairwind Program」と呼ぶ。