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最大480GBのLPDDR5Xを搭載したIntelの新GPU「Crescent Island」の詳細
2026年8月26日 13:40
消費電力350Wの空冷PCIeカードでありながら、最大480GBという超大容量のLPDDR5Xメモリを搭載する――Intelは8月24日(米国時間)、エージェンティックAIの推論に特化した次世代GPUのコードネーム「Crescent Island」の概要を、半導体シンポジウムHot Chips 2026にて発表した。
エージェンティックAI推論に特化したXe3Pアーキテクチャ
近年急速に進化するAIワークロードでは、単発のテキスト生成から、複数のAIエージェントが協調して推論し、ツール呼び出しや長期コンテキスト保持を行なう「エージェンティックAI」へと移行しつつある。そのため、複数のステップの間のレイテンシ、より多くのコンテキストを保持し高速に処理するためのメモリの速度と容量、CPU/GPU間の協調と電力密度管理が課題となってくる。
Crescent Islandは、このエージェンティックAIの需要を満たすスペックでありつつ、推論処理におけるワットパフォーマンス(ワット当たりのトークン出力)を高めるために設計されたデータセンター向けGPUだ。
GPUアーキテクチャには、次世代のパフォーマンスIPである「Xe3P」(開発コード名: X3P)を採用。効率性と性能を重視したクライアント向けのPanther LakeやWildcat Lakeで、統合GPUに採用されているXe3アーキテクチャを進化させた。
全体は32基のXeコアと合計256基のXMX(Xe Matrix Extensions)エンジンで構成される。1つのXeコア内部には、8基のVector Engine(XVE)と8基のXMXエンジンが対をなしており、8つのXeコアが1つのCompute Sliceとして計算される(全体で4つのCompute Slice)。
Xe3からXe3Pへの進化点としては、コアの増加だけでなく、XMXのシストリックアレイも4段から16段へと深化した点が挙げられる。また従来のFP16/BF16/TF32/INT8/INT4に加えて、新たにFP8とFP4、およびMicroscaling(MX)フォーマットもサポートした。
一方で倍精度浮動小数点(FP64)演算はXeコアあたり8倍のフルレート(64FMA)となった。さらに、同一アドレスマルチキュー、ディープラーニングで多用されるシグモイド関数と双曲線正接関数のサポートも行なわれ、汎用レジスタファイルの総容量もXe3の512KBから1MBに強化された。
LPDDR5X採用で最大480GBのメモリ容量と低消費電力を両立
一方、Crescent Islandの最大の特徴といえるのが、メモリサブシステムの構成だ。
まずL1キャッシュ/共有ローカルメモリはXe2の2倍となる512KBとなった(Xe3は非公開だが、Xe2よりは大容量のようだ)。また、Xe3にはなかった共有L2キャッシュを32MB備え、行列演算エンジンへのデータ供給における帯域のボトルネックを緩和する。
そして、メモリとして高速だが高価格なHBMではなく、高密度かつ電力効率に優れたLPDDR5Xメモリを採用した。Intelブランドの350W空冷PCIeカードでは160GBを搭載するが、エコシステムパートナー(ODM)によるカスタム設計では、最大480GBまでのメモリを実装可能としている。
つまり、Xe3Pはメモリ速度ではなく容量を優先的に据えた設計だ。大容量メモリを確保することで、同じモデルサイズでより多くのセッションを同時実行できるため、システム全体の総合スループットが向上するほか、同じモデルサイズでより長いコンテキストの処理やRAG、エージェンティックAIの複雑なワークロードを処理できるようになる。また、大きなモデルをより少ないGPUで実行し、より良い性能を得ることができるとした。
近年主流となっているfine-grained MoEモデルや投機的デコーディングでは、トークン生成時のデコード処理がメモリ帯域律速から計算量律速へと変化。モデルの肥大化に伴い、メモリ容量の要求は高まり続けているが、1トークン生成ごとに読み出すデータ量は大きく減っている。そのため高価なHBMではなく、比較的安価に大容量を実現できるLPDDR5Xのメリットが生まれるとしている。
メディアエンジンとして4基のデコーダと4基のエンコーダも集積しており、画像や映像を扱うマルチモーダルエージェントの処理にも最適化されている。CPUとの接続にはPCIe 5.0 x16インターフェイスを採用している。
ミッションクリティカルなデータセンター運用を見据え、RAS機能も全面的に強化された。メモリおよび主要計算ブロックにおけるECC/パリティ保護をはじめ、DMI経由のECCによる帯域損失のないサイレントデータロスト(SDC)対策、ハードウェアレベルのパッチ修理技術(hPPR)、パトロールスクラブ、PCIe AERなどをサポートする。
投機的デコーディングとオープンソフトウェアスタック対応
ソフトウェアスタックにおいては、PyTorch、Triton、vLLM、SGLang、llm-dといった業界標準のオープンエコシステムをDay 0からネイティブサポート。TritonやSYCL-TLAといったコンパイラ、oneDNN、oneCCLなどのパフォーマンスライブラリを通じて、既存のAIアプリケーションやエージェントオーケストレーション環境からスムーズに移行できるよう配慮されている。
このように、Crescent Islandはプリフィルステージでの高いFLOP/Wを発揮しつつ、大容量コンテキストや大容量モデルに対応できるLPDDR5Xメモリを採用したこと。ワットあたりのトークン数が重視される時代、そしてエージェンティックAI時代にフィットしたGPUであるとアピールしている。





























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