【COMPUTEX 2009レポート】
Acer、AtomベースのAndroidネットブックを発表
~18秒で起動、1秒でシャットダウン

Androidを採用したAspire one

6月2日(現地時間)発表



 台湾Acerは2日、COMPUTEX会場で発表会を開催し、OSにAndroidを採用したAtomベースのネットブックを第3四半期に出荷開始することを発表。同社IT Global Operation担当プレジデントのJim Wang氏が解説にあたった。

 今回の発表は、製品発表ではなく、Android機の投入に関する表明である。そのため、最終的な製品の仕様や、価格は未定だが、デモに用いられたものは、Atom N270を搭載した10.1型の「Aspire one D250」そのもので、製品もAtomベースになる。

AcerのJim Wang氏

 Androidを採用した理由について、Wang氏は高速な起動/シャットダウンにより、「真のモバイル体験」を提供できるからと説明した。Wang氏は実際にその場でデモ機のオン/オフを行ない、起動(BIOS等のブートアップを含む)は約18秒、終了にいたっては1秒で完了した。つまり、PCであっても携帯電話や携帯ゲーム機などのように、使いたいときにすぐ使えるという、現状のWindows PCにはないメリットを提供できるということだ。

 また、デモ機はWi-Fiで接続していたが、製品では3GかWiMAXによるWANを搭載し、いつでもどこでもネットに接続できる。ストレージについての言及はなかったが、この接続性を活かし、データやアプリケーション/サービスはクラウド上のものを活用する利用形態を想定している。

 ちなみに、Android標準のブラウザで一部のサイトにアクセスすると、スマートフォンとして認識され、スマートフォン向けのサイトが表示されるが、Firefoxを標準で搭載しており、YouTubeなどを含むPC向けサイトの閲覧も問題なくできる。また、Google Docsを使ってPowerPointのプレゼンテーションを開き、ビジネスユースにも使えることをアピールした。

 もちろん、今後同社のネットブックが全てAndroidベースになるわけではなく、新しいラインナップとして追加される。OS自体は無償なので、ハードウェア構成が同じならば、ULCPC版Windows XP Home Editionとの差額分だけ安価になるが、最終的にWindows機より安価になるかどうかも現状では未定だという。バッテリ駆動時間については、独自の省電力化により、Windows機と同じレベルを維持できるとの見通しを示した。

デモ機は、本的にOS以外は現行のAspire one D250と同じ標準のブラウザでMSNにアクセスするとモバイル向けサイトにリダイレクトされるFirefoxではPC向けサイトを普通に表示できる
Flashに対応するので、YouTubeも再生可能Google Docsを使い、ネット上に保存したPowerPointファイルを開いたところ

Androidをブートしたところ。BIOSのブート時間が5秒ほどなので、OS自体は10秒ちょっとで起動している計算
シャットダウン時間は約1秒との説明だったが、実際はほぼ瞬時と言っていい

 このほか、同社のブースで展示されていた新製品についてもここで紹介したい。1つは液晶一体型PC「Aspire Z5600」。Windows 7を前提に開発されたもので、展示機にもWindows 7 RCとMicrosoftが提供するマルチタッチを活用したアプリケーションがインストールされていた。液晶は23型のフルHD。全体にシルバーを基調とし、金属的な質感があり、リビングルームなどにも調和するデザインで、日本人にもうけが良さそうだ。

 もう1つ、NVIDIAのIONプラットフォームを採用した「AspireRevo」と色違いの筐体を採用し、Intel GN40 Expressチップセットを採用した「Veriton N260G」も展示されていた。価格などは不明だが、日本での発売が期待される。

液晶一体型の「Aspire Z5600」。写真では分かりづらいがWindows 7が動いている。横から見たところ。丸みを帯びたデザイン質感はかなり高い
IONではなくIntelベースの「Veriton」こちらはPackard BellブランドのIONマシン同じくGatewayブランドのIONマシン

(2009年 6月 3日)

[Reported by 若杉 紀彦]