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AIはもう「使う時代」じゃない。「働く時代」だ――日経225の94%がCopilot導入済み
2026年3月24日 18:43
日本マイクロソフトは3月24日、東京ビッグサイトにおいて「Microsoft AI Tour」と題した大規模なイベントを開催した。このイベントは同社内では最大級規模で、世界各地で開催されており、日本は3カ国目となる。
イベント冒頭の基調講演では、同社代表取締役社長の津坂美樹氏があいさつ。日経225企業のうち94%がMicrosoft 365 Copilotを導入していること、日本国内のAI市場が既に1兆3,400億円に達しており、約3年後には4兆円を超える規模になるといった数字を掲げ、「多くの企業において、AIは導入を検討している段階ではなく、既に活用して利益を出している段階。そのAIがエージェントとして企業に変革をもたらす時期になっている」とした。
そうした背景を踏まえ、まだAIを導入していない企業に対して、世界中のAI導入による成功の秘訣やベストプラクティスを共有し、さらにMicrosoftがAIトランスフォーメーションのリーダーとしての知見を紹介するイベントとして、Microsoft AI Tourを開催すると宣言した。
生成AI導入を成功に導くためには
続けて、同社EVP, Chief Marketing Officerの沼本健氏が登壇し、AI導入の成功のノウハウについて紹介。同氏はまず、生成AIが登場してから3年が経過し、多くの企業が生成AIによる「人材採用への影響」や「AI人材の不足」といった不安を抱える中、マイクロソフトが提唱する「Frontier Transformation」はこうした不安の解決ではなく、人間のイノベーションや創造性を引き出し、可能性を広げていくのが目的だと強調した。
それは、生成AIが民主化し、有効活用されることで、たとえば映画監督が次世代のコンテンツを実現する、もしくはこれまで治せなかったような病の治療、あるいは基礎物質の研究などにおいて成果を上げる……そういった成功体験の提供だという。
同社がこれまでの生成AI導入企業を分析してきた結果、ビジネスに導入し成功に導いた事例を分析していくと、4つのフレームワークに分けられるのだという。これらはいずれも生成AIをツールとして導入したのではなく、組織変革の軸にしたものだという。
- 従業員のAI体験の強化:
最高のAIツールを従業員に提供し、その成果をKPIで可視化することにより、ビジネスへの直接的なインパクトを確認する - 顧客体験の再構築:
AIの導入をコスト削減だけを目的とせず、リアルタイムかつパーソナライズされた顧客体験を提供する - ビジネスプロセスの再構築:
既存の業務プロセスにAIを入れるだけでは不十分。組織全体、端から端まで抜本的にプロセスを見直すことで、初めて成功につなげられる - イノベーションの加速への直接利用:
創薬、ソフトウェア開発、素材科学などにおいて、AIを直接、研究や開発活動に活用する
これらはAIを「何として(What)」導入するかという視点だが、次は「どのように(How)」導入するか、という課題について語られた。
沼本氏は「AIチャットに問いかけて返答をもらう」という、一発芸のような利用法では、実際のビジネスのアウトプットには直結しないとのこと。なぜならば、多くの業務は一人で解決するものではなく、複雑なワークフローの中で多数の人が関与しているためだ。そのためにはワークフロー全体をサポートするAIが必要であり、これが成功の秘訣であるとした。
また、経理や研究開発、営業といった「課題を抱える現場」に対しては、それぞれの課題に一番近いAIツールを届ける必要があり、それにより現場からインスピレーションが生まれ、成功につながるのだという。
最後に経営者/管理層においては、可観測性をもってAIを導入することが必要不可欠だとする。つまり、現場でどのようなAIエージェントが動作しているのか、そのAIエージェントがどのようなデータにアクセスしているのか、正確に、迅速に、信頼できる形で提供できているのか確認する必要があると述べた。
Microsoftが提供するのはシリコンでもLLMでもない。知能と信頼
このように、AIの導入から成功まで「秘訣」があるわけだが、そのAI導入において一番のカギとなるのは、今話題のLLMといったソフトウェア、シリコンといったハードウェアではなく、現場が自分で作れるIntelligence(知能)と、管理者が可視化できるTrust(信頼)にあるといい、そのソリューションを提供しているのがマイクロソフトだという。
というのも、今AIのソリューションを管理しようとすると、膨大な“データの海”に飛び込み、無数のコネクタやAPIがつなぎ合わされていることを認識する必要がある。先述の通り、AIが組織の中に入っていくためには「誰と誰が協力していて、どのように意思決定しているのか」を理解する必要があるため。これを管理するのはたいへんな仕事だ。
この問題を解決するのが、マイクロソフトが提供している管理の仕組みで、容易で直感的な管理を実現しつつ、セキュリティ性も担保できるという。具体的には「Work IQ」、「Foundry IQ」、「Fabric IQ」という3つの基盤だ。これらは組織固有のコンテキストやポリシー、御作法、人々の連携といった文脈を、AIが理解できるようにするもの。
- Work IQ: 会議の内容などを把握し、組織全体の状況を理解するための知能
- Fabric IQ: データ基盤をAIエージェントの足場にする
- Foundry IQ: AIエージェントが根拠に基づいて回答できるよう、情報基盤を提供
そしてこれら3つのIQを管理可能にするTrust層が「Agent 365」で、現場が作成したAIエージェントの一覧や、データへのアクセスを、ガバナンスに準拠しながら可視化。さらに現場におけるAIエージェントの導入を高速化する仕組みとして「Agent Factory」を提供している。
仮想企業“Zava”のAI活用事例をデモ
基調講演の中盤は、仮想のテクノロジーウェア企業“Zava”が、次期プロジェクト立ち上げに際してAIを活用する、というシナリオのもと、デモが行なわれた。デモの大まかな概要は以下の通りだった。
- 次期プロジェクトローンチに際して、会議スケジュールの決定、その会議内容に基づいた経営層に見せるための資料の作成、メールのやり取りなど、一連の作業をAIエージェントにおまかせ。複数のタスクも並行して行なえる
- 会社全体のデータをAIが把握しており、現在進行しているプロジェクトの資料作成に必要なデータファイルを自動的に予測/補完。社外秘の資料に関して引用すると、現在作成中の資料も自動的に社外秘のタグが付き、セキュリティ性が高まる
- リリースの計画書などもAIエージェントに依頼して作成。過去のデータなどから、製品単価、サプライヤーリスクなどを分析し、視覚的に分かりやすい資料にまとめる
- GitHub Copilotを使い、CLIで開発。ノーコードで新製品の販売ページなどを開発可能
- Fabric IQを使い、それぞれのデータに対してビジネス用語で意味づけをすると、その用語の意味を理解した上で回答が行なえるようになる
- Microsoftがこれまで提供しているセキュリティ基盤であるDefenderやIntuneなどを、そのままAgent 365で拡張可能。企業内に存在するAIエージェントの数や利用者の数、AIエージェント利用によって節約できた時間などを可視化できる。また、承認制導入、AIエージェントが攻撃されている可能性なども可視化
こうしたAIエージェントの活用により、仮想企業Zavaは成功した……というシナリオだった。
デモ後、壇上に戻った津坂氏は、「私も毎日のようにAIエージェントを作って使っている。実際、日本マイクロソフトのAIエージェント利用率は、全世界の中でもトップ」と語り、改めてAIエージェント導入の重要性について語った。
なお、このデモは作成された資料がベースであったのだが(ただし、プロンプト自体は日本語だった)、最後に行なわれた別のデモでは、日本語の資料などもまったく問題なく生成できることがアピールされた。
東京都、明治安田も導入済み
基調講演の後半は、AIを導入している事例や、AIの未来について、東京都副知事の宮坂学氏、明治安田生命保険相互会社取締役代表執行役社長 グループCEOの永島英器氏、日本競争プラットフォーム代表取締役会長の冨山和彦氏を交えたトークセッションが行なわれた。
宮坂氏は、東京都の行政の中における業務効率化やサービス向上を実現するために生成AIを導入しているが、専門性が高い情報を集めたり、意思決定したりする際に、約4万人の職員に対して生成AIを提供しているという。特に現場でインフラを作ったりする仕事や、情報処理に関してはAIの相性がよいのだという。
また、公務員人口が減っていく中、AIに対して投資して、AIが働けるようにしないと、今後は行政サービスが減るといった事態に陥ってしまう。市民に対して必要な給付や支援、企業のサポートなど、これまで申請から審査、実行まで半年かかっていたが、AIを使うことでこの必要な支援を届ける力を強化したいとした。
永島氏は、保険業は人との付き合いが30年から40年と“長い”仕事であり、個人保険だけで700万人の顧客を抱えている、レガシーが多い企業だと自社を評価。それをスリム化するために、オープン化をしつつクラウドに移行しようとしている。そのために、アクセンチュアに対して5年間で300億円の投資を行なうと発表してきたが、その基盤づくりやデータ整備などに、汎用型AIや特化型AIを活用するとのことだ。
さらに、保険業に求められるのは「安心」と「信頼」なのだが、安心はリスクを削ぎ落とすことで生まれるが、信頼は感情によって生まれるものだとし、AIを使って会社で安心を生み出す一方で、37,000人の社員が顧客と目と目でしっかり向き合って、信頼を紡いでいく必要があると語った。
冨山氏は、日本において、特に若年層の人口が減っている今はAIにとって「ベリーグッドな環境」が整っていると指摘する。今人材不足が深刻なのはホワイトカラーではなく現場のブルーカラーであり、なおかつ中小中堅企業だ。ホワイトカラーをAIによって代替していくことで、現場の生産性を上げることができるとする。また、ほかの国は現場を代替するロボットなどが導入されていっているが、日本はむしろ思い切ってAIをガンガン作っていけばいいとする。
その際に生まれるのが「知的スマイルカーブ」であるという。つまり、ボスの仕事と現場の仕事(これを冨山氏はミニボスと呼んでいる)の2つの価値は残るが、一方で情報分析といった仕事は(AIがやるので)意味をなさないということだ。その時代に必要なのは結果責任を取る覚悟ができているかということ。これさえクリアできれば、「上のボスと現場のミニボス、みんなリーダー」という時代がやってくるとした。































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