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ミニPCってレベルじゃね~ぞ?最新CPUで驚異的な拡張性を得た「MINISFORUM MS-02 Ultra」

MS-02 Ultraの凄さが分かる内部から

 MINISFORUMは10月22日、千葉・幕張メッセで開催中の大型展示会Japan IT Week 秋 2025に出展し、新製品発表会を開催。この中で既にリリースされているRyzen AI Max+ 395搭載の「MS-S1 MAX」に加え、Core Ultra 9 285Hを搭載したミニワークステーション「MS-02 Ultra」を発表した。ちなみに発売時期や価格は未定だが、早ければ11月中にも正式リリースされそうだ。

 MS-02は、2023年末に投入した「MS-01」の正統後継、かつ大幅なアップグレードを実現したモデル。Core Ultra 9 285HXを搭載することで性能が2倍となったほか、メモリスロットが4基となり最大256GBまで搭載できるようになった。さらに、拡張スロットもLowProfileながら3スロット構成となり、搭載可能なカードの選択肢が大幅に広がった。加えて、25Gbpsのネットワークインターフェイスも追加可能になっている。

 発表会で登壇したプロダクトディレクターの蒋学(Jiang Xue)氏は「MS-02 Ultraは世界で一番強力なCPU、一番大容量なメモリを搭載でき、かつ一番拡張性に富み、さらに一番高速なネットワークインターフェイスを実現したミニPCである」とアピールした。

製品開発を率いる蒋学氏
2023年末に登場したMS-01はある意味歴代ミニPCの中で衝撃的な製品だった
満を持してMS-02 Ultraの登場
MS-02 Ultraの主な特徴

 まず拡張性について。従来のMS-01はPCIe x16形状のスロットを搭載したのが特徴だったが、1スロット厚のカードに限定されていた。一方MS-02 Ultraでは2スロット厚の拡張カードに対応し、GeForce RTX 5060のLowProfile版やNVIDIA RTX 4000 SFF Ada世代などが搭載可能となった。しかもPCIe 8ピン補助電源対応であるため、制限がかなり緩和された。

 拡張スロット自体も、従来はPCIe 4.0 x8レーン接続だったが、Core Ultra 9 285HXとなったことで、PCIe 5.0 x16が1基、PCIe 4.0 x4が1基、PCIe 4.0 x4+x4+x4が1基(形状はx16、オプションでSFP28対応の25GbE NICプリインストール済み)と本数/レーン数ともに増えている。

拡張スロットが3基に増えた。うち1基はPCIe 5.0 x16、1基はPCIe 4.0 x4、1基はPCIe 4.0 x4+x4+x4

 続いてはCPU性能だが、最上位モデルは従来のCore i9-13900HからCore Ultra 9 285HXに世代ジャンプしたことにより、ピーク時の性能は約2倍となった。CPUの性能を引き出すために、本機では前面吸気/背面排気というラックサーバーのようなエアフローを採用し、最大140WのTDPを達成している。なお、拡張スロットは、横置き時は左側面(縦置き時は上部)から吸気し、上部(同右側面)に排気する構造となっており、こちらも140W前後の拡張カードに対応できるとのことだ。

CPUにはCore Ultra 9 285HXを採用
Cinebench R23の結果。性能はほぼ2倍以上だ
放熱設計

 メモリはSO-DIMMだが、CPU実装面に2枚、裏面に2枚装着するようになっており、最大256GBという驚異的な容量を実現する。またECCも対応し、24時間/365日の連続稼働に耐える信頼性を実現したとしている。

DDR5 SO-DIMMスロットは4基。ノートPCでも数少ないが、ミニPCとなれば初だという
ECCメモリもサポートし、高信頼性を謳う

 そして何よりも特徴的なのは、サーバー顔負けのネットワークやインターフェイスの部類だ。オプションで拡張カード方式とは(上位モデルは標準装備)なるが、2基のSFP28ポートを備え、最大25Gbps×2の通信が可能。しかも通信先のメモリに直接アクセスできるRDMA(Remote Direct Memory Access)をサポートする。

 このカードを抜きにしても、1基の10Gigabit Ethernet、そして1基の2.5Gigabit Ethernetポートを装備。後者はvProに対応し、BIOSレベルからリモートからの管理が可能となっている。さらに、80Gbps転送が可能なUSB4 Version 2.0ポートを前面に2基、40Gbps転送が可能なUSB4ポートを背面に1基備えている。実質Thunderbolt 5と4になっており、ケーブル1本でP2Pネットワークが構築できる。

背面のネットワークインターフェイス
2.5Gigabit EthernetはvProによるリモート管理も対応
USB4 2.0やUSB4でもP2Pネットワークが構築できる

 極めつけは350WのFlex電源ユニットを内蔵している点。外付けのACアダプタが不要なので、設置スペースを最小化できる。なお、本体は手回しネジによりツールレスで開けられる構造となっており、パーツの増設やメンテナンスもきわめて容易だ。

Flex電源ユニットを内蔵する
主な仕様まとめ

 このように、MS-02 UltraはMS-01にあったあらゆる弱点を潰して大きく進化したモデルだ。さすがにMS-01のようなコンパクト性はないのだが、それでも本体サイズは221.5×225×97mm程度と、スリムデスクトップPCと比較しても十分コンパクトになっている。

 とはいえ、もうこのスペックになってくると、“ミニPC”や“ミニワークステーション”というより、“ミニサーバー”の性質の方が強い。そういう意味では、また新たな製品ジャンルがMINISFORUMによって切り開かれたのかもしれない。

本体縦置きにした場合
本体横置きにした場合
本体背面のインターフェイス(ビデオカードはGIGABYTE製)
会場ではCinebench R23の結果を表示した状態だった
動態デモもあり、自由に触れることができる
本体内部。サーバーのように整然とした配置で美しい
個人的にはいっそこのまま置いて使いたいレベルである