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AMDのリサ・スーCEOがCES 2026の前日基調講演に登壇

6月のAMDのイベントで講演するリサ・スーCEO(6月のイベントで撮影)

 AMDは、9月5日~9月9日に開催されているIFAの期間中にアナリスト・報道関係者向けのラウンドテーブルを開催し、AMDのクライアント向けSoCの現状などに関して説明を行なった。この中で、AMDは来年の1月6日からアメリカ合衆国ネバダ州ラスベガス市で開催される予定の「CES 2026」の前日基調講演に、同社 CEO リサ・スー氏が登壇するとCTAが発表したと明らかにした。

 CESの前日基調講演は、CESの開幕を記念する基調講演とされており、複数あるCES基調講演の中でも、もっとも格式が高いものだと認識されている。その前日基調講演にスー氏が登壇するということは、AMDがCESで新製品の発表を大規模に行なう公算が高まってきた。

Ryzen AI Max、Ryzen AI 300、Ryzen 200の採用が着実に進んでいる

AMD 上級副社長 兼 コンピューティング・グラフィックス事業本部 事業本部長 ジャック・ヒュー氏

 AMDでクライアントPC向けのSoCやdGPU製品の事業責任者となるAMD 上級副社長 兼 コンピューティング・グラフィックス事業本部 事業本部長 ジャック・ヒュー氏は、直近のAMDのデザインウインになどに関して説明した。

 AMDのノートPC向けの現行製品は、基本的に昨年(2024年)の6月に発表したRyzen AI 300シリーズ(Strix Point)がベースになっており、それをベースにしてバリエーション化している。Ryzen AI Max+/Maxシリーズ(Strix Halo)だけでなく、廉価版となるRyzen 200シリーズという、Zen 4コアを採用しながらRyzen AI 300シリーズとピン互換のモデルを2025年1月のCESで発表。既に多くの搭載PCが発表されている。

 そうした中で、ヒュー氏は「今回のIFAではLenovoがRyzen Z2 Extremeを搭載したLegion Go 2、Ryzen 9 9000 HXシリーズを搭載したLegion Pro 7を発表した。ほかにも、CESで明らかにした通り、Dellが我々のSoCを搭載した法人向けのPCを投入したことも大きな変化だ」と述べ、昨年のRyzen AI 300の発表以来、多くのデザインウインを獲得できたことをアピールした。

 その中でもOEMメーカーに評価されているのは、Intelに競合モデルがないRyzen AI Max+/Max、そしてRyzen AI 300、そのバリュー向けとなるRyzen 200だという。特にRyzen AI 300とRyzen 200はパッケージが同等で、ピン互換である点が評価されていると強調した。

Ryzen AI Max搭載ASUS ROG Flow Z13
Ryzen AI 300シリーズを搭載したThinkPad X13 Gen 6

 Ryzen 200シリーズは、ダイそのものはRyzen 8040シリーズとして知られたHawk Pointと同じなのだが、パッケージはFP8というRyzen AI 300で導入された新しいパッケージに変更されている。このため、OEMメーカーはRyzen AI 300とRyzen 200を同じ基板で設計し、最後にSoCを実装する段階で選択できる。このため、基板の設計や製造コストなどを下げることが可能で、「競合はLunar LakeとArrow Lakeで別の基板を設計製造しなければならないため、それをする必要がないRyzen AI 300/Ryzen 200はOEMメーカーに評価されている」(ヒュー氏)という状況が発生しているのだ。

 実際、Dellの日本法人が8月に東京で行なった会見で発表されたDell 14/Dell 16のAMDモデルでは同じ、基板を利用してRyzen AI 300とRyzen 200モデルが製造されていることが明らかにされており、OEMメーカーとしてもハイエンドモデルからバリューモデルまで1つの基板でサポートできることがメリットだと説明されている。

AMDのリサ・スーCEOがCESの基調講演に3年ぶりに登壇

3年前のCESで講演するリサ・スー氏、手に持っているのはInstinct MI300

 そうしたAMDだが、今回のIFAでは新製品などの発表は特になかった。次の大きな発表は、1月のCES 2026になる可能性が高い。というのも、CTAの9月9日(米国時間)に、AMD CEO リサ・スー氏が、2026年1月5日の夕方(米国時間)に行なわれる予定のCES 2026の前日基調講演に登壇すると明らかにしたからだ。スー氏がCESの基調講演に登壇するのは2023年のCES以来、3年ぶりとなる。

 CES 2026の基調講演は、複数回行なわれるのだが、その中でも開幕日(来年は1月6日)の前日夕方に行なわれる前日基調講演は、かつてはMicrosoftのビル・ゲイツ氏の指定席だったことで知られ、数ある基調講演の中でも一番格式が高いものと認識されている。そこにスー氏が登壇するのだから、AMDとしても力の入った発表を行なうことは想像に容易だろう。

 なお、PC業界でCES 2026の基調講演に登壇するのはスー氏で2人目となる。既に「YY」(ヤン氏の愛称)ことLenovo CEO ヤンチン・ヤン氏も基調講演に登壇することが明らかにされており、ヤン氏は1月6日17時にSphereで行なわれる基調講演に参加する予定で、Lenovoはそれに合わせた新製品を発表することがやはり期待されている。

 今回AMDがCES 2026の基調講演に登壇すると決まったことで、AMD、Lenovoが1月5日、1月6日のそれぞれに基調講演に登場するし、IntelもおそらくCES 2026に合わせて新製品を発表してくることが予想されているため、来年のCESはPC関連の話題が非常に豊富なイベントになることが確実な情勢だ。