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岡山理科大、物体の衝突回数で円周率を求める理論の実証に成功

 岡山理科大学長尾研究室の長尾桂子准教授らによる研究グループは、2つの物体と壁面を用いて円周率を導出可能だとする理論の実証に成功したと報告、7月28日に学術誌「European Journal of Physics」に掲載された。

 質量の異なる2つの物体と壁の衝突回数が円周率に一致する、という理論が以前より知られている。より質量の大きい物体Pとより質量の小さい物体Qを用意し、図のように配置する。PをQへ向けて転がすと、Qに衝突し、続いてQが壁面へ移動し衝突、跳ね返る。そして再びPと衝突して跳ね返り壁面へと衝突、という動作を繰り返し、最終的には衝突が起こらなくなる。このとき、(Pの質量):(Qの質量)=1:εとすると、衝突回数N=[π/√ε]となる、という理論である。

 具体的には、(Pの質量):(Qの質量)=100:1で衝突回数31回、(Pの質量):(Qの質量)=10000:1で衝突回数314回になる。

 しかし摩擦や抵抗、反発係数などさまざまな要因により、現実の環境での実証は困難であった。今回研究チームは、物体を空中に吊り下げ、振り子の往復運動によって物体の移動を表現。摩擦を低減し、質量比100:1で合計31回の衝突を観測した。複数回の観測に成功しており、再現性があるという。

 3月14日にはYouTubeチャンネル「Stand-up Maths」がケンブリッジ大学工学部と共同で、摩擦を低減した面上での実験により同様の測定に成功している。