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KDDI、どこでも誰でもPCをネットに常時接続。5年300GBの「ConnectIN povo」登場
2025年7月31日 13:00
KDDIは、法人向けPCのワイヤレスWAN通信量バンドルプラン「ConnectIN」の一般消費者向け版「ConnectIN povo」の提供開始を発表した。
2025年1月に発表されたConnectINは法人格を持つユーザーしか利用できなかったが、今回の「ConnectIN povo」は法人格を持たない一般のユーザーも利用可能となる。
搭載製品の第1弾は日本HPから、「HP EliteBook X G1i 14 AI PC」などの製品にバンドルされ、本日より日本HPの直販Webサイトなどで販売される。
法人限定という制約があったConnectIN
KDDIのConnectINは、セルラー通信モジュール(WWAN)を搭載した機器に対して、一定期間の通信プランをバンドルするというサービスだ。
従来セルラー通信モジュールは、もともと携帯電話から発展したスマートフォンやタブレットなど音声通信由来のデバイスに搭載されることが一般的で、PCなどのそれ以外のデバイスはモバイルルーターやスマートフォンのテザリングなどにより、インターネットに接続するという使い方だった。
しかし、PCはもちろんのこと、IoT(Internet of Things)と呼ばれるような白物家電なども、常時インターネットにつながることを前提に設計された機器が近年増えている。そうした機器では、スマートフォン用の月額契約をユーザーに求めるのは難しく、最初からそのデバイスを利用する年数分サービスプランが添付された(つまり料金が製品の価格に上乗せする)形の通信料金という、通信キャリアにとっては新しい形のビジネスモデルが機器メーカー側から求められつつある。
その端的な例は自動車だ。自動車のカーナビなどはそうした形の事例が増えているほか、OTA(On The Air)で自動車のソフトウェアをアップデートするような最新の自動車では、最初からセルラー通信モジュールが内蔵されており、自動車の寿命が尽きるまでの通信料金があらかじめ自動車の価格に含まれた形で販売されているのだ。
ConnectINはそうしたニーズに対応する通信サービス。1月に最初の事例として、法人向けPC用のプランが発表された。概ね3~5年などの期間、データ通信を容量無制限で利用できるという形になっている。法人のIT管理者にとって、購入時に通信料金もまとめて支払うことができ、データ容量などの管理をする必要がないといったメリットが得られる。
ただし、ConnectINを利用するには法人格をもったユーザーのみという制約があった。具体的には、利用にあたってユーザーが法人であることを証明する書類をPCメーカーに提出する必要があり、フリーランスの記者、プログラマー、クリエイターなどの個人事業主は利用できない状況だった。
このため、ビジネスPCを利用する個人事業主や一般消費者などが、ConnectINに対応した法人向けPCを買っても使えない。多くのPCメーカーは法人向けPC自体を個人事業主が購入することを妨げていないのにかかわらずだ。
そうした制約に気が付かずにConnectIN対応PCを購入してしまう個人事業主などもいて、クレーム対応になる事例もあったと聞いている。そのため、法人限定ではないConnectINの登場が期待されている状況だったのだ。
一般消費者向けは5年で300GB+公衆Wi-Fi+VPNという形に
今回KDDIが発表した「ConnectIN povo」は、法人だろうが、個人だろうが、誰でも利用できる形にしたプランとなる。ただし、バンドルされている通信プランは法人向けのものとは大きく異なる。
すでに述べた通り、法人PC向けのConnectINでは一定期間(PCメーカーによって3年、4年、5年と異なっている)データ量が無制限で利用できるというのが最大の特徴になっていた。
それに対して、ConnectIN povoでは、KDDIの格安通信サービス「povo 2.0」で300GBのデータ容量を5年間利用できるトッピング(povoでのデータプランのこと)と、KDDIの子会社であるワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)が提供するWi-FiホットスポットサービスとVPNサービス「ギガぞうWi-Fi」の5年分の利用権が付いてくるというプランになっている。
| ブランド | ConnectIN | ConnectIN povo |
|---|---|---|
| 対象 | 法人 | 一般消費者 |
| 法人格を証明する書類 | 必要 | 不要 |
| データ通信 | データ容量無制限 | 300GB |
| povoトッピング追加 | ー | Webサイトで可能 |
| 期間 | 3~5年(PCメーカーの選択による) | 5年 |
| 期間終了後の買い足し | できない(別プランのeSIMに切り替えることは可能) | povoのトッピングを追加可能 |
| 公衆Wi-Fi | ー | ギガぞうWi-Fi/5年分 |
| VPN | ー | ギガぞうWi-Fi/5年分 |
KDDI株式会社でパーソナル事業本部パーソナル事業戦略本部推進本部長を務める相原円氏は「1月に発表した法人PC向けのConnectINでは、IT管理者が管理している法人PC向けのプランということで、無制限にしても想定外の使い方をされないという見込みがあり、実際にサービスインしてからもそうした予想と違っていなかった。それを一般消費者向けにするにあたりどんなプランにするかいろいろ悩んだが、5年間で300GBのデータと、ギガぞうWi-Fiの5年分利用権という形にすることになった」と述べる。
実際、KDDIはWiMAX2+のようなモバイルルーター向けのプランで、無制限(ただし、3日間で10GB以上を利用すると通信制限が入る場合があるというフェアユース規定付きの無制限)のデータプランを導入しているが、スマートフォン向けのプランに比べると、平均のデータ容量などは高いと聞いている。
ConnectIN povoで無制限にした場合、そうした本来の価格では実現できないような使われ方をしてしまい、持続可能なビジネスにならないことが憂慮され、今回の5年間で300GBのトッピング+ギガぞうWi-Fiの5年分利用権という形になったのだという。
なお、ユーザーは購入後、専用のWebサイトから製品のシリアル番号とEID(32桁の識別番号)を入力してキャンペーンコードを受け取る。そしてpovoの開通作業を行ない、発行されるQRコードなどを利用してWindowsにeSIMのインストールをする必要がある。ConnectIN povoのプランは、購入したPCに紐づいており、ほかのPCなどへの導入や、ほかのユーザーに譲渡することはできない。
小売りでは9万6,000円分の価値があるConnectIN povo
ConnectIN povoを、povo 2.0の小売り向けに用意されているトッピングで構成しようとすると、実は結構な価格になる。
povo 2.0の小売り向けのトッピングでは、5年間で300GBというトッピングは存在しないため、直接的な価格比較はできないものの、5年間で300GBということは1年で60GBという計算になる。
それに近いものとしては60GB/年というトッピングが1万3,200円という価格で販売されているものと比較可能だ。それが5年分と考えると、6万6,000円となる。さらにWi2が提供する「ギガぞうWi-Fi」でPCが利用できるスタンダードプランは月額500円。つまり5年間で3万円で、ConnectIN povoに相当する通信プランの小売りでの価格は単純計算で9万6,000円分となる。
今回のConnectIN povoの小売価格(搭載がない場合との価格差)についてKDDIの相原氏は「価格はPCメーカーに決めていただく形になっているため、直接いくらということは言えない。しかし、現状各PCメーカーでセルラー通信モデムをCTOで追加すると2~3万円ぐらいの価格差になっている。それと同じような価格アップのイメージで、さらにリテール価格だとこれだけの価値の通信プランも入っているとなるとお買い得感はあるのではないかと思っている」と述べる。
また、KDDIによれば、そのバンドルされている300GBを使い切った場合や、限られた期間だけ無制限で利用したいなどの場合は、povo 2.0のWebサイトから販売されているトッピングを別途購入して利用できる。
たとえばデータ容量無制限のプランなら2時間で180円、1日で330円などのプランが用意されており、必要に応じたプランを購入できる。
さらに、povo 2.0ユーザーがローソンに来店すると0.1GB(1カ月で最大1GBまで)もらえる「povo Data Oasis」にも対応している。ただし、povo Data Oasisの活用にはスマートフォンにpovoアプリをインストールする必要がある。
ConnectIN povo搭載製品は日本HPから
KDDIによれば、ConnectIN povoは、まず日本HPのノートPCに搭載されて販売されることになる。と言っても今回日本HPが発売するのは法人向けPCとConnectIN povoの組み合わせになるため、WWANを搭載した法人向けPCが欲しいが、法人ではないため法人向けのConnectINを利用できないという個人事業主などが対象の製品となる。
具体的にはCore Ultra 200Vを搭載した「HP EliteBook X G1i 14 AI PC」、Ryzen AI 300シリーズを搭載した「HP EliteBook 8 G1a 13」、Ryzen 200シリーズを搭載した「HP ProBook 4 G1a 14」の3製品がラインナップされている。
HP EliteBook X G1i 14 AI PCは、5Gに対応したセルラーモデムが搭載されており、残り2製品は4G LTEまでの対応のセルラーモデムが搭載されている。KDDIの本社内で専用の室内アンテナという電波の利得としてはかなり恵まれた環境でのテストになるが、5Gに対応したHP EliteBook X G1i 14 AI PCを利用して通信速度を測るテストをしてみると950Mbpsと、かなり高速なテスト結果が出ていた(冒頭の写真参照)。
今回は日本HPの法人向けPCにバンドルされている形になっているが、今後ほかのPCメーカーも含めて一般消費者向けの販路で販売されているセルラーモデム内蔵のノートPCにバンドルされる可能性はあるとのこと。ただし、現時点では具体的な計画は明らかにされていない。今後、より広範なノートPCやさまざまな機器などにバンドルされることを期待したいところだ。
























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