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1kg切りで世界最長バッテリのノート。「1日持たなければ返金OK」で攻めるNEC

VersaPro UltraLite タイプVY

 NECパーソナルコンピュータ(NEC PC)は、重量1kg未満で世界最長のバッテリ駆動時間を実現したというモバイルノート「VersaPro UltraLite タイプVY」を7月30日に発売する。出荷は9月中旬を予定している。最小構成の価格は48万1,800円から。

 コロナ禍で進んだハイブリッドワークにおいて、Web会議の利用が加速しており、その中でバッテリ駆動時間が課題となっている。また、AI利用もクラウドからクライアントへと移る環境の中、ますますバッテリ駆動時間がクリティカルな問題になりつつある。VersaPro UltraLite タイプVYはこのバッテリ切れに対する不安を完全に払拭すること狙って開発したモバイルノートとなる。

 具体的には、軽量モデルでは容量74Whのバッテリー(L)を搭載している場合でも、1kg切りという軽量性でありながら、JEITA 3.0に基づく動画再生時の駆動時間で約20.1時間、アイドル時の駆動時間では約40.2時間を実現。軽量化には、東レ製の最新カーボン素材を採用することで1kg未満に抑えることを実現した。

 AI制御の「ロングバッテリーモード」を搭載し、ユーザーの利用傾向や予定に応じて、輝度調整やバックグランド処理の抑制といった動作を行なう。また、独自のファン制御によりファンの省電力化を図り、バッテリ駆動時間を延長。実計測でも、1日の勤務時間を8時間とし、ロングバッテリモードをオンにした場合、Web会議を5回(約5時間)行なっても、終業時には約50%のバッテリが残っていたという。

1kg切りモバイルノートとしては世界最長バッテリを達成
他製品とのバッテリ駆動時間比較
実利用でも終業時には50%以上バッテリが残っていた
実利用を想定したテスト

 バッテリの劣化を抑えて寿命を延ばすため、業務終了後のAC接続時は充電を80%までに抑え、業務開始直前の3時間辺りから100%まで充電をするといった挙動をAIが学習して制御する機能も搭載。これにより、5年後利用後の劣化(容量低下)を30%程度に抑えられるという。

 さらに近年、企業内で前任者が使っていたノートPCをリフレッシュして後任者が使うといった動きもあるが、この際、後任者はバッテリが劣化したまま使うのを嫌う傾向にある。そのためバッテリをユーザー側で交換可能なCRU(Consumer Replacement Unit)方式とし、ネジ4本外すだけでバッテリを換装可能な機構を取り入れた。なお、ネジは環付きで抜けないような工夫もしている。

長時間バッテリ駆動を実現できた技術的な背景
AIにより80%充電状態を長く維持することでバッテリ寿命を延長
その一方で30分で約7時間駆動できるバッテリを充電する機能も搭載
バッテリが交換可能

 このほかの特徴としては、有線LANといった充実したインターフェイスの搭載、19mmキーピッチでシリンドリカル形状によりタイピングミスが少ないキーボードの採用、Copilot+ PCへの準拠、ハードウェアの状態やサポートQ&A、マニュアルと連動したAIのサポートアシスタントの搭載(将来的にはNECが開発した生成AI「Cotomi」との連携も検討)、ヤマハのAudioEngineによるWeb会議に特化した音声周りの機能やAIノイズキャンセル機能の搭載、さまざまな耐久試験をクリアした高い堅牢性などが挙げられる。

軽量モデルは東レ製カーボンの採用で軽量化
インターフェイスなども充実
独自のAI機能を搭載。将来的にはCotomiとコラボも検討
AIはPC状態を把握しながらマニュアルや過去のサポートQ&Aを参照でき、ユーザーの困りごとを解決できる
ヤマハ開発のAudioEngineにより、Web会議の音声を聞き取りやすくしたり、自分の声以外を除外したりできる
国産品質も謳われている

 企業向け製品のためカスタマイズに対応。CPUはLunar LakeことCore Ultra 7 200Vシリーズで、Core Ultra 5 238V/236V/228V/226V、およびCore Ultra 7 258V/256Vから選べる。メモリはCPUの型番が8で終わるものが32GB、6で終わるものが16GB。SSDは256GB/512GB/1TBから選択。ディスプレイは1,920×1,200ドット表示対応の13.3型非光沢で、タッチ付きも選択できる。

 インターフェイスは、USB 3.2 Gen 2 Type-C 2基(一部モデルはThunderbolt 4)、USB 3.2 Gen 2 Type-A 2基、Gigabit Ethernet、HDMI出力、microSDカードスロット、Wi-Fi 7、Bluetooth、1080p/Windows Hello対応Webカメラ、指紋センサー、音声入出力などを備える。

 本体サイズおよび重量は、軽量モデルが229×214×17.9mm/約885g(バッテリー(S)選択時)または約995g(バッテリー(L)選択時)、通常モデルが299×214×18.2mm/約921g(バッテリー(S)選択時)または約1,031g(バッテリー(L)選択時)。通常モデルはLTE付きおよびタッチパネルなし(駆動時間が短くなる)が選択可能。

サポート体制の充実
製品の仕様
キーボードのアップ。配列にクセがなく打ちやすい
天板
ACアダプタ
本体左側面のインターフェイス
本体右側面のインターフェイス
Webカメラはプライバシーシャッター付き
非光沢だがタッチ対応のディスプレイ。しかも省電力だ
本体底面
液晶は180度開く
バッテリは底面カバーを外すことですぐにアクセスできる
バッテリ部にアクセスしてもメイン基板は見えないようになっている
バッテリーパック(L)は74Wh。製造はSimplo Technology
AI Plus Bizアプリ。Cotomiを利用したコンセプトデモが行なわれていた

攻めのビジネスPCの第1弾

 7月30日に都内で開かれた製品発表会では、NECパーソナルコンピュータ商品企画本部本部長の森部浩至氏が製品の開発の背景や特徴について解説。NECがレノボ合弁になった以降の製品開発を振り返り、「これまでNECのノートPCのイノベーションはどちらかというと個人向け(LAVIE)シリーズが中心だった」とする。つまり、個人向けPCが“攻め”だったのに対し、ビジネスPCはどちらかと言えば“守り”だったと言える。

森部浩至氏
これまでの数々のイノベーションはどちらかといえば個人向けが中心だった

 しかし、NEC(日本電気)本体の法人向けPC事業は2025年4月にNEC PCに移管。製品の企画や開発、販売、サポートまで一貫してNEC PC側で行なうこととなった。これを機に、これまでシェアを落としてしまった反省を生かし、ビジネスPCでも“攻め”の商品作りに転換すると宣言。その第1弾がVersaPro UltraLite タイプVYであると掲げた。

これまでのビジネスPCは“守り”だった
守りから“攻め”に転換する新戦略

 VersaPro UltraLite タイプVYの特徴としては、やはり世界最長を謳うバッテリライフを挙げた。「日本に根ざしてきた企業だからこそ実現できる、日本企業特有のニーズに応えた製品であり、電源(コンセント)を探す、バッテリの心配をしながら仕事するストレスから解放する製品である」と説明した。

 今回の製品の長時間バッテリ駆動の自信への表れの一環として「1日持たなければ、返品OKキャンペーン」を9月中旬から12月31日までNEC Direct法人専用ストアーで展開。7~8時間の労働時間を想定し、バッテリー(L)およびタッチパネル搭載モデルに対して適用を行なう。

1日持たなければ、返品OKキャンペーン

【8月1日訂正】記事初出時、バッテリー(L)の容量が誤っておりました。お詫びして訂正します。