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パナソニック、広島で「PCコンファレンス」を開催
~事業部長や設計担当者が製品への要望を直接ヒアリング
(2014/8/29 06:00)
パナソニック AVCネットワークス社ITプロダクツ事業部は8月28日、広島市のパナソニック システムネットワークス株式会社システムソリューションズジャパンカンパニー 中国社において、「パナソニックPCコンファレンス広島」を開催した。
PCカンファレンスは、ITプロダクツ事業部が「Let'snote」および「TOUGHBOOK」、「TOUGHPAD」の主要ユーザーを対象に、少人数規模で2001年から開催しているもの。今年(2014年)は、6月の札幌での開催を皮切りに、11月までの半年の間に、仙台、さいたま、金沢、名古屋、神戸、高松、広島、福岡の9カ所において開催する予定だ。
挨拶したパナソニック AVCネットワークス社ITプロダクツ事業部・原田秀昭事業部長は、「パナソニックのPC事業は1996年からスタートし、今年で18年目を迎える。2002年には、Let'snote R1を製品化し、世界最軽量、長時間の製品を投入し、それ以来、Let'snoteを進化させてきた。この進化は、常にお客様の声を聞いて実現してきたものである」とした。
「日々の営業活動においては、毎月1,000社の方々から声を聞いているが、それだけに留まらず、2001年からは、PCコンファレンスの名称で、法人のお客様と直接意見交換を行なう場を設け、ご指導をいただいている。お客様に近づくことで、これを製品作りや経営活動全般に反映させている。みなさんの声を製品開発に活かし、みなさんのビジネスに貢献したい」とその狙いを語った。
PCカンファレンスは、パナソニック側からは、原田事業部長をはじめ、技術部門、商品企画部門、営業部門、サービス部門の担当者など約10人が出席したほか、BtoB事業を各地域で担当するパナソニック システムネットワークスからも担当者が出席。各地域における重点ユーザーを招待して、新製品を含むパナソニックのPC事業の取り組みや基本姿勢などに関する情報を共有する一方、情報交換を通じて、次期製品に対する要望などを直接聞く場として活用している。
今回の広島での開催では、学生向けPCとしてLet'snoteを毎年約1,000台単位で導入している学校法人安田学園安田女子大学をはじめとする、中国地方の10法人15人の担当者を招待。3時間30分に渡って、情報交換を行なった。各地域ともほぼ同等規模で開催しているという。
パナソニックシステムネットワークス システムソリューションズジャパンカンパニー 中国社の梶谷聡社長は、「今日はITプロダクツ事業部から、設計担当者、開発担当者などが来ており、直接みなさんの話を聞く場になる。普段お付き合いさせていただいている営業担当者には伝えにくいことを話していただき、厳しいご指摘をいただきたい。みなさんの声は、真摯に受け止めて、事業部と販売が一体となって取り組んで行きたい」と語った。
また、パナソニックシステムネットワークス システムソリューションズジャパンカンパニー 中国社 営業グループ法人営業チーム・上野哲也チームリーダーは、「広島での開催は3回目となるが、今回はTOUGHPADに関する情報提供に力を注いだのが特徴。Let'snoteだけでなく、TOUGHBOOKやTOUGHPADが持つ堅牢性に高い関心が集まっており、この領域においてパナソニックが持つ強みをお伝えすることを狙うコンファレンスとした」と述べた。
「パナソニックのPC・タブレット商品のご紹介」と題して、製品説明を行なったパナソニック AVCネットワークス社ITプロダクツ事業部テクノロジーセンター ハード設計第一チームの西松英雄チームリーダーは、「Let'snoteやTOUGHBOOKは、頑丈、軽量、長時間駆動のほか、屋外視認性、セキュリティ、放熱設計、ワイヤレスという7つのコア技術を搭載。相反する要素を高い次元で同時に実現しているのが特徴。マグネシウムを厚くすれば、堅牢性は実現できるが、重くなる。また、薄くすれば堅牢性が失われる。これを独自の工夫によって、高いバランスで維持した」と説明。
「例えば当初は1mmの厚さだったが、今は、0.6mmまで薄くしながら、100kgに荷重に耐えられるようにボンネット構造を採用している。また、TOUGHPADは、TOUGHBOOKで培った堅牢性を活かし、頑丈タブレットとしてラインアップを増加。現在、5型、7型、10型に加えて、4Kの20型タブレットをラインアップしている」と語った。
PCカンファレンスでは、参加者の協力を得て、ボクサーグローブで、タフパッドの画面をパンチし、それでも駆動している様子をデモストレーションして見せた。
さらに、国内生産の体制を活かして提供している「Biz SOLUTION」についても説明。神戸工場での最終工程にキッティングラインを用意し、顧客ごとにカスタマイズを行ない、直接配送する仕組みを採用することで、企業に納品されたPCが、開梱してすぐに使える環境を実現している例を紹介した。ここでは、顧客と神戸工場とをVPN回線で直接結んで、ドメイン参加によるサーバー接続が必要な各種設定も、オンラインキッティングサービスとして対応できること、今年夏からは、一部タブレットを対象に、1台からキッティング対応するといった体制を整えたことを紹介した。
さらにAndroidを搭載したTOUGHPAD向けには、頻繁なOSのバージョンアップの管理などができる「クライアント環境アップデート管理」を提供していること、盗難や紛失した際にPC内のデータを遠隔消去するソリューションの「TRUST DELETE Biz」や、HDDをまるごと暗号化するクラウド型サービス「SecureDocマネージドサービス」などについても説明した。
一方、インテル ソフトウェア&サービス事業開発本部 インテル・セキュリティー・グループ 日本地区統括の坂本尊志氏が、「最新のデバイスが変わる私たちの働き方とセキュリティ対策」と題したITセミナーの講師を務め、最新のCPU動向や、Windowsタブレットの導入ケース、セキュリティ対策の現状、vProによる管理性の高さなどについて説明。具体的な事例を交えた内容に、参加者は真剣な表情で耳を傾けていた。
PCコンファレンス広島への参加企業の1社であり、中国地区でビジネスパートナーとして展開しているマツキの松木賢一代表取締役は、「PCの開発者に対して、要望を直接伝えられる場があるということは非常に有効。その要望が受け入れられなかった場合にも、必ず回答が来るところも評価している。お互いに信頼感が生まれる」と語る。
同社では、携帯測量システム「オルデコ」や測量CADシステム「Multi-X CAD」を販売。これをTOUGHBOOKと組み合わせて提案を行なっている。
「現場での堅牢性を優先すると、やはりTOUGHBOOKを選択することになる。TOUGHBOOKに変えてから、故障率は大幅に減少している」と語る。
また、松木氏は、「今回のPCコンファレンスにおいて、通常、提案しているTOUGHBOOKに付属しているペンが短くて使いにくいと相談したところ、別のモデルに付属しているペンの長さがちょうどいいことがわかった。こうした細かい部分を気軽に相談できるという点でも、PCコンファレンスの場はありがたい」とする。
パナソニックにとっても、パートナー、顧客にとっても、PCコンファレンスの機会は、効果を発揮していると言えそうだ。