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Apple、iPhone 5sとiPhone 5cを発表。5sには指紋認証を搭載

~国内ではNTTドコモによる販売が決定。3キャリアの横並びに

5色で展開されるiPhone 5c
9月10日(現地時間)発表

 米Appleは9月10日(現地時間)、カリフォルニア州クパチーノにある同社キャンパス内にあるホールで新製品発表会を開催し、iPhoneの新モデルとなる「iPhone 5s」および「iPhone 5c」を発表した。これらは日本を含む9つの国で、9月20日から販売を開始する。北米ではiPhone 5cの事前予約が13日から行なわれることが明らかにされている。

 国内では従来キャリアのソフトバンクモバイルとKDDI(au)に加えて、NTTドコモが初めてiPhoneの販売キャリアとなる。AppleはiPhone 5sと5cそれぞれの製品リリースに加えて、NTTドコモからiPhoneが販売開始されることを単独のニュースリリースとして配信しており、特別扱いに近い厚遇だ。このリリースの中では、ドコモプレミアクラブの会員に限定して30,000台を13日からWebサイトで事前予約を受け付けすることも紹介されている。

64bitアーキテクチャを採用したA7プロセッサを搭載するiPhone 5s

iOS 7、新しいカメラ機能、指紋認証機能を搭載するiPhone 5s

 現行のiPhone 5の後継となるフラッグシップモデルが「iPhone 5s」となる。64bitアーキテクチャを採用する新プロセッサのA7を搭載。パフォーマンスはいずれも初代iPhone(国内未発売)比で、CPUが約40倍、GPUが約56倍という。

 製造のプロセスルールなどは現時点では公開されていない。ダイのサイズは102平方mm。64bitアーキテクチャの採用に合わせて、6月のWWDCでプレビューされた「iOS 7」もネイティブな64bitカーネル、ライブラリ、ドライバを搭載することが発表された。プリインストールされるアプリケーションは、すべて再設計されたとしている。iOS 7においては、64bitアプリと既存の32bitアプリが動作し、デベロッパの64bit移行もシームレスに行なえるとしている。

 また、コプロセッサとして「M7」という名称のASICを搭載。このプロセッサは、モーションセンサーや、加速度センサー、ジャイロ、電子コンパスなどを統合したもので、次世代のヘルス&フィットネスアプリに対応するという。WWDCでは発表されなかった「CoreMotion API」を公開し、ユーザーの活動量などの認識に活用される。

 機能面ではホームボタンに指紋認証機能を搭載した。サファイアガラスとスイッチ板の間に「Touch IDセンサー」を挟んだ構造で、所有者の指紋を登録することで、パスコードなしのセキュリティロック解除を実現する。また、App Storeにおけるアプリ購入時なども、Apple IDのパスワード代わりに指紋認証が機能する。

 ハードウェア面では背面カメラにあたるiSightカメラも更新された。画素数はiPhone 5と同様に約800万画素だが、センサーのアクティブエリアを約15%拡大して、1ピクセルあたりの受光面積を増やしている。レンズのF値は2.2。iOS 7のカメラ機能とあわせて、秒間10コマの連続撮影や、動画機能では120fpsのハイスピード撮影(スローモーション効果)にも対応する。フラッシュ機能は色温度の異なるLEDを2個搭載。発光量をそれぞれ調整することで約1,000段階の異なる調光を行ない、適切な色温度になるように発光する。

 本体色は、iPhone 5のWhite&Silver、Black&SlateにGoldが追加されて3色のバリエーションとなる。黒系統の色はBlack&Slateから「new space gray」に変わっているので、iPhone 5のいわゆる黒とは異なる色合いになるものと思われる。

新色となるゴールド。外観はLEDフラッシュと、ホームボタンのリング部分を除いてiPhone 5とよく似ている。純正ケースが共通化されていることから、既存のケースアクセサリはそのまま利用できる可能性が高い
Goldを加えた3色となるiPhone 5s。黒系統もnew space grayと名称が変更された。

 ストレージ容量は16GB/32GB/64GBの3種類が継続し、色×容量の組み合わせは9通りに増えた。北米のリリースでは、モデム機能の異なる4モデルがラインナップされており、各国のキャリアにあわせたモデルが販売される見通しだ。無線機能は、IEEE 802.11a/b/g/nとBluetooth 4.0。

 本体サイズは、58.6×123.8×7.6mm(幅×奥行き×高さ)。重量は112g。3G通話で10時間、3GのWebブラウジングで8時間、LTEのブラウジングで10時間の稼働が可能。待ち受けは最大250時間だが、バッテリ容量は非公表。

iPhone 5sとiPhone 5に対応する純正アクセサリのケース。全5色

 純正アクセサリとして、iPhone5sとiPhone 5に対応するケースが39ドルで販売される。

 価格は、北米における2年の契約込みでそれぞれ199ドル、299ドル、399ドル。各モデルの対応ネットワーク詳細は下記のとおり。このうち、国内キャリアが取り扱うのはA1453。

Model A1533*: CDMA EV-DO Rev. A and Rev. B (800、1,700/2,100、1,900、2,100MHz); UMTS/HSPA+/DC-HSDPA (850,900,1,700/2,100、1,900、2,100MHz); GSM/EDGE (850、900、1,800、1,900MHz); LTE (Bands 1、2、3、4、5、8、13、17、19、20、25)

Model A1453*: CDMA EV-DO Rev. A and Rev. B (800、1,700/2,100、1,900、2,100MHz); UMTS/HSPA+/DC-HSDPA (850、900、1,700/2,100、1,900、2,100MHz); GSM/EDGE (850、900、1,800、1,900MHz); LTE (Bands 1、2、3、4、5、8、13、17、18、19、20、25、26)

Model A1457*: UMTS/HSPA+/DC-HSDPA (850、900、1,900、2,100MHz); GSM/EDGE (850、900、1,800、1,900MHz); LTE (Bands 1、2、3、5、7、8、20)

Model A1530*: UMTS/HSPA+/DC-HSDPA (850、900、1,900、2,100MHz); GSM/EDGE (850、900、1,800、1,900MHz); FDD-LTE (Bands 1、2、3、5、7、8、20); TD-LTE (Bands 38、39、40)

5色展開のiPhone 5c。A6プロセッサ搭載で、ポリカーボネート筐体

iPhone 5c用の純正ケース。35個のパンチングが空いたデザインになっている

 発表会においてiPhone 5sより先に発表されたのが「iPhone 5c」だ。主要スペックは現行のiPhone 5にほぼ準じるが、フロントカメラのFaceTimeカメラが、新FaceTime HDカメラとして紹介された。本体色はグリーン、ホワイト、ブルー、ピンク、イエローの5色。いずれも、フロント側はブラックのパネルになっている。iPhone 5cにも純正のケースが用意されており、素材はシリコンラバー。下部には35のパンチングが施されており、ケースは黒を加えた6色展開。本体とカバーの組み合わせは30通りとなる。純正カバーの価格は29ドル。

iPhone 5cの正面、背面、側面。ボリュームボタンはバー状に変わった

 ストレージ容量は16GB/32GBの2種類。iPhone 5cの発表に伴って、現行のiPhone 5は同社サイトから姿を消しており、事実上のディスコンになる模様だ。価格は北米における2年契約込みで、それぞれ99ドルと199ドル。北米ではiPhone 4Sの16GBモデルが継続販売され、2年コントラクト契約で無料。国内においてiPhone 4Sが継続販売されるかどうかは現時点では不明だ。本体サイズは59.2×124.4×8.97mm(同)。重量は132g。

 iPhone 5sと同様に、モデム機能の異なる4モデルがラインナップされる。このうち、国内キャリアが取り扱うのはA1456。

Model A1532*: CDMA EV-DO Rev. A and Rev. B (800、1,700/2,100、1,900、2,100MHz); UMTS/HSPA+/DC-HSDPA (850、900、1,700/2,100、1,900、2,100MHz); GSM/EDGE (850、900、1,800、1,900MHz); LTE (Bands 1、2、3、4、5、8、13、17、19、20、25)

Model A1456*: CDMA EV-DO Rev. A and Rev B. (800、1,700/2,100、1,900、2,100MHz); UMTS/HSPA+/DC-HSDPA (850、900、1,700/2,100、1,900、2,100MHz); GSM/EDGE (850、900、1,800、1,900MHz); LTE (Bands 1、2、3、4、5、8、13、17、18、19、20、25、26)

Model A1507*: UMTS/HSPA+/DC-HSDPA (850、900、1,900、2,100MHz); GSM/EDGE (850、900、1,800、1,900MHz); LTE (Bands 1、2、3、5、7、8、20)

Model A1529*: UMTS/HSPA+/DC-HSDPA (850、900、1,900、2,100MHz); GSM/EDGE (850、900、1,800、1,900MHz); FDD-LTE (Bands 1、2、3、5、7、8、20); TD-LTE (Bands 38、39、40)

iOS 7は9月18日に正式リリース

 iPhone 5sおよびiPhone 5cにプリインストールされるiOS 7は、北米時間の9月18日の正式リリースが発表された。iOS 7への更新が可能な製品はiPhone 4以降、iPad 2以降、iPad mini、そしてiPod touch(第5世代)となっている。200に渡るとされるiOSの新機能は、前述の指紋認証機能やカメラ機能などハードウェア依存のものを除いて、ほぼ6月のWWDCで紹介された仕様が実装される模様だ。iOS 7の詳細は関連記事にあらためて目を通していただきたい。

 iOS 7の正式リリースにあわせて、これまで有料で提供されてきたiWorkアプリが無償化される。iWorkを構成していたプレゼンテーションの「Keynote」、ワードプロセッサの「Pages」、表計算の「Numbers」に加えて、「iPhoto」と「iMovie」の5アプリが対象となる。iOS 7への更新を行なうとこれらがダウンロード可能になる模様。iWorkは、iCloud上でWebアプリの提供を始めており、OS Xはもちろん、PCからも利用が可能となっている。ただし「Garageband」は、無償化の対象にはなっていない。

 国内におけるキャリアの対応状況だが、冒頭で述べたとおり、NTTドコモがiPhone販売キャリアに加わって、ユーザーは3キャリアからiPhone 5s、iPhone 5cを選択できることになる。

 Model A1530はTD-LTEのBand38,39,40を含むが、ソフトバンクがWCPで扱うBand41は含まれていないため、実質的にFDD-LTEのみの対応となる見通し。

 北米でのiPhone 5cの予約開始日は13日と発表されたが、5sおよび国内での予約開始日などは現時点では明らかになっていない。唯一、冒頭で述べたNTTドコモのプレミアクラブ会員に限定して、iPhone 5cの13日からのWeb予約のみが公表されている。

【8時10分追記】国内で取り扱われるモデルが確定したため、一部内容を修正しました。

(矢作 晃)