西川和久の不定期コラム
Apple「iOS 7」
~マルチタスキングに対応し、フラットデザイン採用の新OSが遂にリリース!
(2013/9/20 06:00)
日本時間の9月19日未明(2時頃)、AppleのiPhone/iPad用のモバイルOS、iOSの新バージョン、iOS 7がリリースされた。まだインストールしてから数時間しか経っていないものの、ファーストインプレッションをお届けしたい。
1年ぶりのOSアップデート
前バージョンのiOS 6.0がリリースされたのは昨年(2012年)の9月19日。ちょうど1年前となる。当時は新しくなった地図アプリの完成度に問題があり、大騒動(?)になったのも、今となっては懐かしい話だ。
もともとiPhoneは、3G/3GS/4/4Sと毎年買い替えていたが、さすがに二重の支払いと、iPhone 5にあまり魅力を感じなかったのでパスした経緯がある。今年はiPhone 5sに乗換えようと、金曜日のスケジュールを空け、万全の体制で臨んでいるが(笑)、数自体が少ないらしくどうなるかは蓋を開けてみないと分からない。
余談になるがiPhone 5cとiPhone 5s、実はルックス的には5c/ブルーが好みだ。ただどうしても5sでなければならない理由がある。搭載しているA7プロセッサは、ARM初の64bit、そしてiOS 7も64bitにネイティブで対応していると知り、元エンジニアとしては俄然興味が湧いた次第。できれば中身がA7の5cが欲しいところだが、それは来年以降だろうか……。
話がそれてしまったが、iOS 7へのアップデート自体はOTAなので簡単だ。設定/一般/ソフトウェアアップデートをタップし、指示に従いダウンロード・インストールするだけだ。無事起動すると、掲載したような画面を表示し、必要な情報を入力、完了後、ホーム画面が表示される。一連の流れを掲載したので参考にして欲しい。
以前からメジャーアップデートの時は、初期設定から行なう仕掛けになっていたが、今回も同様だ。ただ、メタリックだった背景から白一色のシンプルなフラットデザインに変更されている。基本的にメッセージは黒、選択する部分は青で書かれ、シンプルとは言え一目で分かるように工夫している。
また従来、Spotlightはホーム画面の一番左端になっていたが、iOS 7からホーム画面のどの位置でも、ホーム画面自体を下にスワイプするとSpotlightに切り替わるようになった。このため、初期設定から初めてホーム画面に推移した際、「Spotlightは移動されました。iPhoneの検索がiOS 7でさらに簡単になりました。ホーム画面で下にスワイプしてSpotlightにアクセスできます。」のメッセージをポップアップして知らせるようになっている。
さて期待のiOS 7とご対面。その第1印象は……!?
半透明を活かした美しいシステム
まずロック画面からいきなり全く違う印象を受ける。もう2年近く使っているiPhone 4Sが別のデバイスにでもなったような錯覚に陥るのだ。ホーム画面の普段見慣れている標準アプリのアイコンもフラットにそしてカラフルに生まれ変わり、全体的に若返った感じがする。考えてみれば日本語iPhone 3Gが登場したのは2008年7月。その頃から機能を徐々に増やしているものの、基本的なUIは変わっていなかったのだ。古臭く見えて当然だろう。
さらに画面上から下にスワイプすると表示する「通知センター」、下から上にスワイプすると表示する「コントロールセンター」には(平面的になったドックも同様)、半透明のパネルが使われ、下にある画面がうっすら見えているのも美しい。Spotlightのキーボードでさえも透けているのは驚きだ。フラットデザインとこの半透明のパネルは独特の世界観を持っている。
しかしキーボードに関しては、iOS 7に対応していないアプリの場合、従来の不透明で立体っぽい方が表示され、そのギャップに唖然とする。18日あたりからiOS 7対応のアプリアップデートが頻繁に発生しているものの、早く一通り出揃って欲しいところだ。
この半透明、スペックの低い端末、例えばiPhone 4だと、半透明は半透明だが、もっとグレーっぽい色で濁った感じで表示され、あまり透明感が無い。一応仕様上は4もOKとなっているものの、動きも鈍く(アニメーションを書いているのが見える感じ)、実質4S以上にしないと、この雰囲気は味わえないだろう。
コントロールセンターは、従来ホームボタンをダブルタップしてのタスク切り替え時、一番左にあった、再生/停止などが含まれている。iOS 7ではこれがなくなり、替わりに、コントロールセンターで、フライトモード/Wi-Fi/Bluetooth/おやすみモード/回転ロックの設定、輝度・音量調整、再生・停止、ライト/時計/電卓/カメラの起動ができるようになった。
ホーム画面に限らず、アプリ起動中でも下から上にスワイプすると表示できるため、こちらの方がよりスピーディに操作可能だ。またロック画面でも通知センターと共に表示可能だ(設定でオン/オフできる)。
フォルダはiOS 7から仕様が変わり、1フォルダで最大135個のアプリを収納できる。ただし、同時に表示可能なのは9個と減り。最大15ページングする必要がある。
利点としては、例えば写真系のアプリを数多く持っている場合は、複数のフォルダに分けて管理していたが、さすがに135個も入るとなると、もう同種のフォルダは1つでいいだろう。欠点としては、同時に9アプリしか表示できないので、多くのページがある場合、従来より見通しが悪くなることだ。
従来同様、ホームボタンをダブルタップすれば、タスク切替モードになる。しかしiOS 7では表示形式が全く異なり、アプリの画面をタップすればそのアプリに切り替わり、上にスワイプすればアプリの終了となる。これまでの長押ししたり、×をタップするより、スピーディーで操作も楽になったと言える。
またiOS 6までは、あくまでも最近起動したアプリ履歴一覧だったのに対し、iOS 7からはマルチタスキングに対応したため、リアルに今起動中のアプリ一覧となる。
iOS 5で話題になったSiriは、iOS 7からベータ版が外れ正式版となった。まだ少ししか試していないが、端末の位置をGPSで知り、それを元に聞いた結果を返すなど(ここでは「いちばん近いバス停」を尋ねてみた)、かなり使えるようになった。
米国ではともかく以前は、国内のローカルな情報には非対応で、結局冗談を言ってSiriの反応を見て楽しむなど、実用的ではなかったが、特に位置を基準とした問い合せに関しては結構使えそうだ。
iOS 7と同期するにはiTunesの最新版11.1が必要だ。また、これまでになかった仕様として、USBポートへデバイスを接続すると「このコンピュータを信頼しますか?」のメッセージが表示されるので、“信頼”/“信頼しない”を選択しなければならなくなった。
デザインが一新されたアプリケーション
一部を除き、ほとんどの標準アプリの画面キャプチャを掲載したので、まずはご覧頂きたい。一部背景が黒ベースになっているが、ほとんどが白ベース、そして直線やサークルを用いて全体的に整合性が取れているのが分かる。システム同様、アプリにもフラットデザインが適応された形だ。またサードパーティ製もFacebookアプリ(5.0)、Twitterアプリ(5.11)などいち早く(ギリギリ?)フラットデザイン化したものも出始めている。
多くのアプリは、iOS 6のものをそのままUIだけ変更したように見えるが、大幅に変わったのは、写真とカメラ、Safariだろうか。
写真に関しては、これまでとにかくあるだけズラッと並べていた見せ方をしていたが(ただしiOS 7も“アルバム”では同様)、“写真”では、年別/コレクション/モーメントと、時系列の一塊として扱えるようになった。どこで撮られたかも記録されているので、写真を探すにしても、単に眺めるにしても、その当時の状況がはっきり分かる。これは上手い見せ方だ。
カメラもパノラマ/スクエアモードやエフェクトを搭載するなど機能アップした。iPhone 5sで対応するとされていた、連続撮影のバーストモードは、4Sでも5枚までは撮影可能だ。ただその後、バッファをフラッシュするのに処理が重いのか、少しの間反応しなくなる。
エフェクトはモノ/色調/ノアール/フェード/なし/クローム/プロセス/トランスファー/インスタントの9種類。この小さい表示の状態でも、各エフェクトはリアルタイムに効いている。上位モデルの5や5c、5sではまた違った使用感になると思うが、4Sでも十分実用的に使えそうだ。
Safariに関しては、今まで最大8枚だったタブが、最大24枚になった上に、見せ方も変わった。昔懐かしいWindows VistaのWindowsフリップ3Dを正面から見ているようだが、使いやすいUIとなっている。
マップはUI自体は単にフラットデザインになった感じだ。しかし1年前と比較してデータの精度がかなり上がっている。Siriの絶好のパートナーとなるだろう。
設定はiOS 7で機能が増えた分、例えば通知センター、コントロールセンター、一般/Appのバックグラウンド更新など、細かい項目が加わった。ただ既にiOS 6の頃から、初心者には理解しにくい内容のものが増えたり、階層が深いものがあったりと、できればiOS 7で一度整理して欲しかったのだが、そこまでは手が回らなかったようだ。
ミュージックは音楽データを入れていないため、画面キャプチャを掲載していないが、大幅な変更があり、あのCover Flowがなくなり、タイル状にジャケットが並ぶだけとなった。この点は好みが別れそうだ。
なお、メール、連絡先は個人情報が多く、FaceTimeは相手がいないため、Passbookとミュージック/ビデオは該当するデータが無いため省略(16GBモデルなので音楽や動画は入れていない)。写真/年別にはモザイクを施している。予めご了承頂きたい。
マルチタスキングに対応したため、気になるバッテリ駆動時間は、今のところ使用時間が短く何とも言えない状態だ。同様に、機能を見落としていたり、間違っていたりする部分もあるかも知れない。無事、「iPhone 5s」をゲットした暁には何かあれば追記したいと思っている。
以上のようにiOS 7は、従来のイメージを一新し、フラットデザインを採用、ポップでスマートなOSとなった。半透明のパネルも美しい。また外観だけでなく、マルチタスキングやiPhone 5sでは64bitに対応など、内部構造もかなり異なっていると思われる。
リリース当初はアプリの互換性などで少しドタバタするかも知れないが、iOSの次世代を担うに相応しいアップデートと言えるだろう。