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Intel、RAIDで効果を発揮する同社製SSDの特性を解説

~PCIeネイティブSSDは現在開発中

ピーター・ヘイゼン氏
7月30日 開催

 米IntelでNon-Volatile Memoryソリューション・グループのマーケティング・ディレクターを務めるピーター・ヘイゼン氏が30日に来日し、直近に発表された同社製SSDについて解説した。

 Intelは2008年に同社初のSSDとなる「X25-M」を発表した。あまり意識されていないと思うが、実は同社が開発/製造するNANDフラッシュメモリ製品は、全てSSDに利用されている。そして2008年以来、SSDの開発サイトは8から12に、携わる従業員数は2倍に、製品数は2つから18に、工場は1つから3つに増えるなど、その規模を拡大し続けている。

 その間、NANDの製造プロセスも50nmから20nmへと縮小されている。同社は6月にデータセンター向けの「DC S3500」、7月にコンシューマ向けの「SSD 530」シリーズを相次いで発表したが、これらはいずれもその20nmの最新NANDを採用している。

 NANDのプロセス技術には、同社がCPUで培ったものが応用されているわけだが、それ以外にも同社では、SSDに関して、一部コントローラの内製、ファームウェアの完全な内製を行なっているほか、全ての製品に関して5,000以上のテストを行ない、数百のプラットフォームで検証を行なうなどして、性能と信頼性を高めている。

 新製品の仕様については、関連記事を参照されたいが、ヘイゼン氏は、DC S3500には仕様書には現われない特徴があると説明した。それは、同製品はランダム読み込み性能が75,000IOPS、ランダム書き込み性能が11,500IOPSという仕様になっているが、同製品ではこの性能が常に維持されるのだという。

IntelのSSD部門は2008年からの5年で規模を大きく拡大
最先端プロセス技術を利用したNAND以外に、独自のファームウェアや検証などにより性能と信頼性を確保
スライド下段にあるのがDC S3500と他社製品のランダム書き込み性能の比較

 通常、SSDはウェアレベリングやエラー回復といった作業をバックグラウンドで行なっている。これが影響して、ランダムアクセス性能が大きくばらつく。ヘイゼン氏の示した資料によると、秒単位の計測を行なうと、競合他社の製品では、4KBランダム書き込みが0から18,000IOPSあたりの範囲でばらけてプロットされる。ユーザーが性能を計測した場合に、仕様書と異なる結果が出るのは、仕様上はその平均値が使われるからだ。

 これに対し、DC S3500は独自のアルゴリズムと最適化により、つねに11,500IOPSを維持できるという。このため、安定した性能が求められるデータセンターでは、同社製品の優位性が発揮される。

 また、RAID環境では、並行して複数のドライブにアクセスするわけだが、同じ製品を使っていても、タイミングによって性能が下がることがあり、RAIDコントローラは一番下の性能のものに併せて並列処理を行なうため、競合製品では完全に性能を発揮できない場合が出るが、DC S3500ではそういった事態は生じないという。

 このほか、ヘイゼン氏は、PCI Expressネイティブの新製品も開発中であることを明らかにした。競合他社では、PCI ExpressネイティブのM.2 SSDなどを製品化し、すでに出荷開始している。

 Intelでも、PCI Expressスロットに挿す拡張カード型SSD「910」を2012年に発表しているが、コンシューマ向けなどの新製品も現在開発中であるという。

SSD 530
コントローラはSandForce製
DC S3500。こちらは自社コントローラを採用する

(若杉 紀彦)