エイサー、8万円台からのモバイルノート「Aspire Timeline」
~競合他社より6~9カ月先を行ったマシン

Aspire Timeline AS5810T-D34

6月5日 発売
価格:オープンプライス



 日本エイサー株式会社は、軽量薄型で長時間バッテリ駆動と低価格を実現したモバイルノート「Aspire Timeline」シリーズを6月5日より発売する。価格はオープンプライス。

 Timelineシリーズは、「CULV (Consumer Ultra Low Voltage)」と呼ばれるセグメントの製品。CULVは低電圧で高性能でありながら、価格が従来よりも引き下げられたプロセッサのことで、これまで比較的高価だったモバイルノートを10万円以下の価格帯にもたらすことを目的としている。位置づけとしては一般的なノートPCとネットブックの間に来る。

 Timelineのエイサーによる定義は本体の厚さが1インチ(約25.4mm)を切ることとなっている。実際、ワールドワイドでは13.3型、14型、15.6型の3モデルが用意され、いずれも1インチ未満を実現している。

 その一方で、バッテリの長時間駆動にも注力した。CPUにULVを採用することで消費電力を約1W削減。これに加え、USBやEthernet、ExpressCardなど各種ポートに何もつながっていない時に電力供給を停止したり、LEDバックライトの採用や、光学ドライブ、マザーボードなどあらゆるコンポーネントにおいて、mWレベルの消費電力削減を積み重ねることで4W削減し、7Wという低消費電力を達成。6セルバッテリを使うことで、駆動時間は約8時間を実現した。

 さらに電源周りでは、スマートACアダプタを採用。通常のACアダプタだと、バッテリが満充電で本体がスリープ状態でも0.3W程度の電力供給があるが、スマートACアダプタではこのときの供給電力をほとんど停止する。

 また、Intelと共同で開発した「Laminar Wall Jets Technology」と呼ばれる冷却機構を実装。これは、飛行機のジェットエンジンにも用いられている技術で、エンジンの外殻周辺に空気を流すことで、外殻の温度上昇を防ぐもの。Timelineでは、本体底面に空気を流す隙間をつくることで、マザーボード上のチップの温度が本体筐体に伝わりにくくなっている。

Aspire Timelineは前モデルで1インチ未満の厚さを実現mWレベルの削減の積み重ねにより消費電力は7Wに
従来のACアダプタに比べ66%電力を削減するスマートACアダプタ空気の流れを利用し、筐体に熱が伝わるのを防ぐ仕組み

 日本では13.3型と15.6型を提供。13.3型の「AS3810T-H22」の主な仕様は、Core 2 Duo SU9400(1.4GHz)、メモリ2GB、HDD 250GB、1,366×768ドット表示対応液晶、Intel GS45 Expressチップセット(ビデオ機能内蔵)、Windows Vista Home Premiumを搭載。店頭予想価格は89,800円前後。

 15.6型の「AS5810T-D34」は液晶サイズ以外に、メモリが4GB、HDDが320GBになり、DVDスーパーマルチドライブを搭載。店頭予想価格は99,800円前後。いずれもプラス2万円でOffice Personal 2007が付属する。

 インターフェイスはほぼ共通で、USB 2.0×3(13.3型)/4(15.6型)、SDカード/MMC/メモリースティック(PRO)/xD-Picture Cardスロット、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 2.0+EDR、HDMI、ミニD-Sub15ピン、100万画素Webカメラ、音声入出力などを装備。

 スピーカーはドルビーサウンドルームに対応。本体サイズと重量は、13.3型が322×228×23.4~28.9mm(幅×奥行き×高さ)/約1.6kg、15.6型が378×259×24.8~29.7mm(同)/約2.4kg。15.6型のキーボードはテンキーを装備する。

AS5810T-D34は10キーを装備(写真は英語版)本体左側面本体右側面
AS3810T-H22本体左側面本体右側面

●発表会にはグループCEOが出席
Acerグループ最高経営責任者兼Acer会長のJ. T. Wang氏

 22日に開催された発表会には、Acerグループ最高経営責任者兼Acer会長のJ. T. Wang氏が登壇。Wang氏が日本の製品発表会に参加するのはこれが初で、同社が現在、いかに日本市場を重要視しているかを表わしている。

 Wang氏は、同社のAcer、Gateway、eMachines、Packard Bellというマルチブランド戦略について解説した後、Timelineの特徴も自ら紹介。特に低消費電力については、「競合他社に対して6~9カ月先を行く技術」と表現し、それをすでに量産開始していることを自負した。

 日本市場における取り組みについては、重要な市場であることは理解しながらも、特殊なデザインが要求されることから、参入を躊躇していたものの、ネットブックの「Aspire one」により世界共通のデザインであっても受け入れられることに自信を持ち、Timelineも日本へ投入することを決めたという。ただし、現時点では国内での出荷台数はあまり重視しておらず、Timelineの軽量薄型、長時間バッテリ、低価格というコンセプトそのものが受け入れられることが我々にとっての成功になるとの見解を示した。

 また、Acer本社でAcerブランドビジネス事業部Directorを務めるAndy Chang氏は、15.6型について、ATI Mobility Radeon HD 3470搭載モデルも準備があることを明らかにした。また、WiMAXについてもUQコミュニケーションズと協業を行なっており、将来的に搭載モデルを投入したいとの意気込みを示した。

 質疑応答ではWindows 7搭載機についても言及。基本的に各モデルごとに順次搭載を検討していき、ネットブックについては、Starterエディションを搭載するものもあるが、場合によっては機能性を重視し、上のエディションを搭載する予定であることを明らかにした。また、TimelineについてはWindows 7のタイミングでSSD搭載モデルも予定している。

AcerのAndy Chang氏今後登場予定のRadeon搭載機の性能比較SSDモデルも予定している

(2009年 5月 22日)

[Reported by 若杉 紀彦]